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強行軍

今回のアラスカへの旅は、現地から日本に戻ってくるまでが、かなりの強行軍だった。

現地時間の12日、宿泊先からヘリ(!)でタルキートナへ。地ビールのブリュワリーのパブで飲みつつMacをWi-Fiにつないで少し仕事をし、列車に乗って3時間かけてアンカレッジへ。駅からタクシーを拾って空港へ。ターミナル内の地ビールのパブでまた飲みながら(苦笑)少し仕事をして、夜半過ぎのフライトで、明け方、シアトルへ。空港内のフードコートの片隅で、スタバのコーヒー飲んだり、サーモン&チップスを食べたりしながら、Wi-Fiにつないでちまちまと仕事。昼過ぎのフライトで約10時間かけて成田へ。着いたのは日本時間で14日の夕方だった。

で、翌15日は朝6時起きで、午前と午後に八王子方面で取材。昨日も国立で取材。気を張っていたからそこまでしんどくもなかったが、今日は気が抜けたのか、ぐったりとまではいかないものの、身体がだるく感じた。眠くないのに眠いという、よくわからない状態。

まあでも、アラスカの地ビールは、うまかった。

命の在り処


昨日の夕方、アラスカからシアトル経由で日本に戻ってきた。

冬のアラスカを訪れたのは初めてだったが、思い切って行ってみて、本当によかったと思う。実際に行ってみなければ絶対に感じ取ることのできないものが、あの場所にはあった。冷え切った風に晒されているだけで身の危険を感じるほどの雪と氷の世界。でも、いや、だからこそ、そこには無数の命が潜んでいるのだとわかった。

アラスカでの旅の時間を積み重ねながら、自分が書こうとしているもの、伝えようとしていることの輪郭が、ほんの少しずつ、見えてきたような気がする。それがどこに行き着くのかは、まだ、自分でもまったくわからないのだけれど。

Into the Wilderness

明日から約1週間、再びアラスカに行く。

明日の夕方発の飛行機に乗り、シアトル経由でアンカレジへ。翌朝、鉄道に乗ってタルキートナという小さな町まで行き、そこからセスナに短時間乗せてもらって、原野のど真ん中にある湖に着氷(湖面は凍結しているから)。湖のほとりにあるロッジに数日間滞在し、スノーシューを借りて周辺を歩き回り、写真を撮る。

楽しみではあるのだけれど、同じかそれ以上に、怖い、という気持がある。半年前、南東アラスカのクルーゾフ島で味わった、あのぞわぞわするような感覚が、また甦ってくる。答えの見えない真っ暗な淵に佇み、飛び込むかどうか、逡巡するような……。いや、自分でもわかっている。飛び込むしかないのだ。たとえ結果がどうなろうとも。

帰国は14日(火)夜の予定。では。

まずは編アシより始めよ

僕が初めて出版業界の仕事を経験したのは、大学時代。自主留年して海外を数カ月ほど旅しようと考えていた時、旅費を稼ぐため、学生寮の近くにあった出版社で編集アシスタントのバイトを始めたのがきっかけだった。

最近、フリーライター的な仕事に就くことを志望する人は、Web媒体が募集するライティングの案件に応募するパターンが多いと聞く。確かにそれでも文章を書く仕事の経験を積めなくはないが、そもそものスタート地点から自分一人でこの仕事を覚えるのは、効率が悪いし、たぶんいろいろ抜けてしまう要素も出てくる。Web媒体でまずまず書けていても、紙媒体のメソッドにはうまく対応できなかったという話もよく聞く。原稿をチェックする編集側の質やスキルも、Web媒体は概して甘めなところが多い。

個人的には、ライターの道を志すのであれば、まずは出版社や編集プロダクションで、編集アシスタントのバイトやインターンの経験を積むことを強くおすすめする。編集の仕事に接すると、本や雑誌がどんな風に作られるのか、そこにはどんな意図や工夫が込められているのかを知ることができる。そういう編集者としての感覚は、ライターとしてやっていく上で、ものすごく役に立つ。いろんな場面で機転や応用の効く感覚なのだ。

なので、まずは編アシより始めてみてはどうだろう。もちろん、やるならちゃんとした媒体で働く方が絶対プラスになるのだが、意外とあちこちで募集してるんじゃないかと思う。

それなりにそれっぽくまとめる能力

ライターの仕事にもいろいろあるけれど、クライアントから依頼されて、どこかで誰かに取材して、それを基に原稿を書く場合。

取材がいい感じに盛り上がって、話の内容も面白ければ、たいていのプロのライターなら面白い原稿が書ける。でも、何かの原因で取材がうまくいかなかったり、話が予期していたよりも薄い内容だったりすると、さてどうしよう、ということになる。事前の準備不足でそうなったなら同情の余地なしだが、ちゃんと準備していたのにあれやこれやで困ったことになるというケースは、ライターをしていると、実は結構よくある。

で、どうするか。この場合、ルポルタージュではなくクライアントワークなので、イマイチなことをイマイチと書くわけにはいかない。かといって、そこまで面白くもないものをすごく面白いと書いたり、話を盛り上げるために実情とは異なることを書いたりするわけにもいかない。微妙なところをほんのりオブラートにくるみつつ、嘘や誇大表現にならない範囲で文章の流れを整える。薄い内容の話を、それなりにそれっぽくまとめる能力。これ、ライターが身につけておくべき能力としては、かなり高度な部類に属するんじゃないかと、僕は勝手に思っている。

それなりにそれっぽくまとめる能力。確かに高度なスキルではある。でも、これを発動させても、当たり前だけどそれなりの原稿にしかならないので、誰も気付いてくれないし、誰もほめてくれない。書いてる本人も、モチベーションは上がらないし、満足感も得られない。残るのは、どうにか窮地を切り抜けたという安堵だけ。

ライター稼業なんて、まあ、そんなもんだ。