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情報は、裏を取らねば

終日、部屋で仕事。夏に取材してきた題材をもとに、来月から再開するWeb連載の原稿を書き進める。

題材にもよるが、僕らのようなライターが原稿を書く時は、いろんな情報を調べながら書き進めることが多い。文献だったり、ネット上の資料だったり、自分で取材して調べた情報や証言だったり。その時、常に注意しなければと心に留めているのが、その情報が本当に正しいかどうか「裏を取る」ということだ。

今の時代、ネットで検索すれば、ウィキペディアなどにまとめられた情報が簡単に手に入る。ところが、そうした情報には、往々にして間違いが含まれている。ライターは間違った情報をうっかりうのみにしないように、複数の情報を突き合わせて、完璧にとまではいかなくても、可能なかぎりミスを避けるようにしなければならない。

日本で一番有名な旅行用ガイドブックとかでさえ、間違った情報(刻々と変化する宿の値段とかではなく、変わりようがない地理や歴史の情報)を載せていて、どうしてこうなった?と思って調べたら、ネット上の誤情報をそのまま拾っていた、という事例もあるので、油断ならない。情報は、裏を取らねば。

チーム再結成

午後、都心へ。来春出す予定の新しい本について、デザイナーさんと印刷会社の担当者さんを交えての打ち合わせ。

この顔ぶれで集まって本を作るのは、これで2冊目。再結成したチームの、お互いによくわかっているという安心感と信頼感。そしてまた、本をまるまる1冊、一緒に作れるのだという、ぞくぞくするような期待感。仕事なんだけど、作りはじめる前から作業が楽しみで仕方ない。きっと面白い仕事になるし、必ずいい本にしてみせる。そして、一人でも多くの読者のもとへと届ける。よっしゃ。

……その前に、今、目の前で山積みになってる、先に片付けとかなきゃいけない別の仕事を、なんとかします……。

余裕、なくなる

気がつけば、余裕がまったくなくなってしまっていた。

8月の終わりにインドから帰ってきて、1カ月半くらいは日本でゆっくりできると思っていたのだが、タイ案件の依頼元の都合で、予想より10日も早く出発しなければならなくなった。10月から半年ぶりに再開する予定のWeb連載も、タイに行く前にある程度書きためておかなければならない。帰国してから突発的に入ってきた書き仕事もいくつかあるし、インドで撮ってきた2カ月分の写真のデータ現像作業もある。何より、来年の春に出す予定の新しい本の準備作業がある。

それなのに、毎日とても眠いのである。ソファに横になれば、あっという間に1時間寝落ち。疲れてるのか、単にぐうたらなのか。とりあえず、そろそろ本気でしゃっきりせねば、タイに行くこともままならなくなる。

というわけで、これからガンバリマス。

1文字の価値は何円であるべきなのか

しばらく前に、巷で言うところのビジネスSNSというサイトに、自分の情報を登録してみた。それにプロフィールを登録しておくと、自分の特性や環境に合う仕事の募集情報を得られたり、企業から打診のメッセージが届いたりする。僕のところにも、いくつかの企業から問い合わせの連絡が来た。

で、当然ながら原稿料や報酬の金額についてもやりとりするのだが、よく聞かれるのが「目安となる単価感のようなものはありますか? 1文字につき何円とか?」という質問。最近の書き仕事、特にWeb関係の案件は、1文字につき何円、というやり方で算出されているらしい。

現時点で自分が担当している仕事のうち、Web関連の一番安い案件で計算してみると、1文字10〜20円くらい。これでもかなり安い。しかし、件のビジネスSNSなどで問い合わせの来る案件だと、その10分の1かそれ以下。つまり、1文字につき1円かそこらということになる。1万字書いても1万円。怖ろしい。執筆にかかる時間から時間給に換算したら、いったいいくらになってしまうんだろう(苦笑)。

正直に言えば、単に所定の文字数を埋めるためだけに書けと言われれば、僕は、いくらでも速く書くことはできる。ただ文字数を稼ぐためだけならば。でも、そんな風にして量産された文章に、何の存在価値があるだろうか。そんなものを書いてしまったら、僕は、読んでくれる人(もしいるならば)に申し訳ないという気持しか出てこない。

そもそも文章の価値は、1文字につき何円、といったやり方で計算できるものではないし、計算すべきでもないと思う。同じ文字数でも、専門知識や豊富な経験が要求される文章、取材や調査の手間がかかる文章、執筆や編集のテクニックが必要な文章、何よりその人にしか書けない文章。少なくともそういう仕事には、内容や難易度に応じて、それに見合うだけの真っ当な対価がきちんと払われるべきだ。

1文字につき何円というやり方でしか文章の価値を測れない人や企業は、結局その程度のものさししか、自分たちの中に持ち合わせていないのだと思う。

カメラマンと体幹

今年の初めから、腕立て伏せ、腹筋、プランク、スクワットといった部屋の中でできるエクササイズを継続的にやってきて、具体的に効果があったと実感した点は、「カメラバッグを担ぐのが楽になった」ことだと思う。

カメラバッグに関しては、数年前からほぼバックパックタイプに切り替えている。機材が少なめの時はロープロのプロタクティック350AW。80−400mmの望遠レンズなどで機材が多めの時は、同じくロープロのプロランナーBP450AW2。どちらも機材がぎっちり入っているとかなり重く、長い時間背負っていると、特に背中から腰にかけてのあたりが疲れやすかった。

でも今年の夏の取材では、カメラバッグの重さが、去年までに比べるとあまり苦にならなかった。たとえば、ザンスカールのプクタルに歩いて向かった時、標高4000メートル近い場所の山道を機材がめいっぱい詰まったカメラバッグを背負って歩いていても、腰や背中はまったく平気だった。腹筋とプランクの習慣で、普段から体幹の筋肉をまんべんなく使えていたからだと思う。移動中や撮影中に身体がきつく感じないというのは、それだけ撮影に集中できるという意味で、ものすごく大きなメリットだと思う。腰痛の防止にもなるし。

年々おっさん化が進むにつれ、何もしないでいると、筋肉もしぜんと衰えていってしまう。これからも疲労に気を取られずに撮影し続けられるように、エクササイズの習慣は続けていこうと思っている。