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校正という仕事

昨日は午前中から出版社で打ち合わせ。今作っている本の初校に、外部の校正者の方がチェックを入れてくれたゲラを受け取った。

校正者の方が赤ボールペンで指摘してくれた明らかな誤字脱字や文法上の間違いは、ほんの数える程度だった。ただ、それ以外に鉛筆書きで書き込んでくれていた「明らかな間違いではないけれど、ここはこうする選択肢もあるかも」「ここはあえてこうしているんでしょうが、一応念のため」といった内容の指摘の数々が結構多かった。

書き手にとって、鉛筆書きでのそうした提案や指摘、確認をしてもらえることは、ものすごく助かる。書き手一人のものの見方や考え方に囚われず、客観的にその文章の正確さを判断することができるからだ。編集者もそういう役割の一端を担うことはあるが、彼らは主に内容の方向性や良し悪しを判断する立場なので、文章そのものを微に入り細に入りチェックし、日本語としてのクオリティを上げるという作業では、プロの校正者にはかなわない。

自分の書いた文章が、こんな風にしてさまざまな人の手を経て、一冊の本として仕上がっていくのは、本当に、著者冥利に尽きる。

十年分の素材

午後、玉川学園前で取材。ひさしぶりに、今季初の大学案件。

コロナウイルス禍に世界が翻弄されている昨今、同業者でも特に旅を主戦場にするライターやカメラマンの方々は、取材などの仕事が吹っ飛んだりして、大変そうだ。僕も少なからず影響は受けているが、それでも今日みたいに普通に国内での仕事の依頼をもらえる境遇にあるのは、まだ恵まれている方だろうなと思う。まあ、国内は国内でどこの企業もいろいろ大変なので、例年よりは仕事の本数も目減りするとは思うが。

そんな状況なのだが、実は思いの外、次の目標はすんなりと定まりつつある。

来月刊行される予定の本の原稿を書き上げた時、うまく言えないが、自分の中で何かがすとんと腑に落ちたような、とてもすっきりした気分になった。それと同時に、2009年に書いた最初の本「ラダックの風息」と、今回の本との間に流れた十年間の歳月の中で、自分があの土地でやってきたことをすっかり振り返って、整理し直し、今までやってこなかった別の形でまとめることができそうな感覚が、掴めてきたのだ。それもこれも、今回の本を書く過程で、自分の中で腑に落ちたものがあったからこそだと思うが。

いったん思いつくと、構成のアイデアは、次から次へと出てくる。各年の取材ノートも残っている。写真ももちろん残っている。十年分の素材が手元にある。家にいながらにして取り組めることが、文字通り、山のようにある。

まずは来月出す本をきっちり仕上げて、その後は、それらのアイデアに取り組もうと思う。がんばろ。

「地球の歩き方インド 2020〜2021」

新型肺炎流行の影響で、日本からインドへの入国が不可能になったばかりというめっちゃ泣けるタイミングですが(苦笑)、「地球の歩き方インド 2020〜2021」が来週末頃から発売されます。

この2020〜2021年版では、制作スタッフの交替を含めて大幅なリニューアルが行われていて、僕は今回から、取材・撮影・執筆・編集スタッフとして参画しています。具体的には、ザンスカールについての巻頭グラビア記事6ページのほか、アムリトサル、シムラー、ダラムサラ、マナリ、キナウル、スピティ、ラダックといった地域のページを担当。写真はもちろん自前ですし、文章も担当範囲内はすべてゼロから書き直して、地図やページレイアウトも再構成しています。

特にラダックやスピティに関しては、拙著「ラダック ザンスカール スピティ[増補改訂版]」ほどの緻密さはないですが、他のガイドブックには負けない情報密度になっていると自負しています。ラダックへのパッケージツアーに持っていく程度の用途であれば、これで十分かと。

この最新版を持って、ぜひインドへ!と言えないご時世なのが、ほんと、何だかなあという感じですが(苦笑)、入国がまた可能になったらすぐ行くぞ!と予習に励みたい方は、お手元に一冊キープしておいていただけると嬉しいです。よろしくお願いします。

インドビザ無効化

昨日の夕方、急に、これまでに発給されている日本人向けのインドのビザはすべて無効になる、と発表された。新規のビザの申請は一応大使館で受け付けているようだが、おそらくほぼ不可能だろう。これからしばらくの間、日本からインドに行くことはできなくなった。

あと10日くらいしたら、僕も取材や執筆・編集で関わっている「地球の歩き方インド」の最新版が発売されるのだが、よりによって、このタイミングとは……(苦笑)。今年の夏の催行を計画していたラダックやザンスカールでのツアー企画も、実現は非常に厳しくなった。まったくもって、やれやれである。

とりあえず今は、目の前の仕事……来月出る新しい本の編集作業に、集中しなければ。刊行記念トークイベントも延期にする可能性が出てきたけど、それも含めて、その時その時に選べる最善の選択肢を、選んでいくしかない。

そもそもテレワーク

新型肺炎COVIC-19流行の影響で、世間的に外出が憚られる雰囲気の今日この頃。僕も、食材の買い出しとかで駅前に行く以外、ほぼ終日、家に籠もって仕事をしている。

……あれ? それって、今までとまったく同じじゃないか(苦笑)。そうだった。僕の場合、そもそもの業務形態がテレワークみたいなものだった。そんなわけで今も家で、春に出す予定の新刊の初校を、ためつすがめつチェックし続けている。

それでもまあ、これから先は、仕事への影響も少なからず出てくるだろう。日本からの入国をストップしている国が増えてきているし、インドも日本人へのe-Visaとアライバルビザの発給を停止した。米国も日本からの渡航をストップする可能性が報じられている。日本からどこの国にも行けなくなったら、当然、取材の仕事はなくなる。

でも、こればっかりは、仕方ないし、どうしようもない。そうなった時に備えて、できる範囲で対策を準備しておかねば、だ。