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写真を撮られる

昨日、歯の詰め物が取れてしまったところがあったので、今日は朝イチで歯医者へ。治療はすぐに終わったのだが、保険証が先月末で失効していたことに今頃気付いた。それを市役所に取りに行ったりして、朝から結構バタバタ。

午後は神保町で取材。といっても、僕が取材するのではなく、される側。僕が今手がけている仕事の中でも、写真にまつわる話を中心に聞かれた。それはそれで気疲れしたのだが、さらに追い打ちをかけられたのが、写真の撮影。

「じゃ、扉ページ用の写真は、外で撮りましょうか、外で」

‥‥え? ‥‥そ、外?

かくして僕は、大勢の人が行き交う神保町の街のあちこちで、顔をひきつらせながら、写真を撮られる羽目になったのだった。ただでされ撮られ慣れしていないのに、こんな街の中でなんて‥‥。恥ずかしくて死にそうだった。神保町界隈で働いている知り合いに目撃でもされたら、本当に倒れてしまっていただろう。

いやもうほんとに、ああいうのは勘弁してください。

経験という足枷

夕方、今関わっている案件の依頼元から電話。で‥‥ひさしぶりに、やっちまった。電話口でのケンカ。あんなことでカッとなってしまって、我ながら大人げない。頭にきた原因はまあいろいろあるのだが、事前にちょっと準備したり説明してくれたりしていれば簡単に回避できたはずの作業が、先方がそれらを怠ったためにこちらが二度手間、三度手間となっているのが、共通した問題。

編集者という仕事は、ライターやデザイナーをはじめとする周囲のスタッフが、できるだけ円滑に気持よく作業ができるように配慮するのが大きな役割の一つだと僕は思っている。その際、経験が豊富かどうかは実はあまり関係ない。駆け出しの編集者でも、丁寧に心配りをしてくれる人は大勢いる。むしろ、中途半端にキャリアを積んで「自分は仕切れる」と思っている(あるいはただ思い込んでる)編集者の方が、相手の手間を考えなくなったり、仕事が雑になったりしがちになる。経験が足枷になっているわけだ。

今回のやりとりで一番失笑したのが、データを納品する際のファイル名の付け方の件。Mac上でZIP圧縮したデータをWindowsで解凍すると、ファイル名の2バイト文字が文字化けしてしまうので、今回はアルファベットにリネームして納品したのだが、「こちらの指示した日本語ファイル名で納品できないなら、そちらのパソコンにWindowsをインストールしてはいかがですか?」と言われた。そんなことするくらいなら、この依頼、最初から断ってる(苦笑)。

しかしこの世の中、便利なものはあるもので、Windowsでも文字化けしないZIPファイルが作れる「WinArchiver」というアプリがあることを友人に教えてもらった。いやー、Mac最高(笑)。

さくさく進める

終日、部屋で仕事。今取り組んでいるのは、某Webサイトに掲載する情報のライティング。昨日の打ち合わせで判明した修正点を反映させて、とりあえず明日納品する分のデータを整理する。この案件の作業分はまだ半分以上残っているのだが、何とか再来週までには終わらせなければならない。

来月からは、去年も関わった媒体の仕事で、何カ所か地方取材をすることになった。もしかすると、北は北海道から、南は九州まで‥‥と、文字通り日本縦断モードになるかも(汗)。同じくらいの時期に、ある書籍に収録する記事のための取材も何件かすることになりそう。そしてもちろんその後は、夏にラダックで取材してきた分の仕事も待ち構えている。何というか、多忙といえば多忙だ。

こういう忙しくて目が回りそうな時、僕なりに編み出した脱出法は‥‥とにかく、さくさく進めてしまうこと。「あーやだなーめんどくせー」と思っても、先送りにしたらさらに憂鬱が続くわけで、だったら少しでもその憂鬱を減らす方向で動いた方が、結局、気が楽になる。それであんまりはかどらなくても、とりあえず進めた、という自分への言い訳にはなるし。

まあそれでも、依然として「あーやだなーめんどくせー」とは思ってるわけだが(笑)。

仕事の振れ幅

終日、部屋で仕事。昨日調達したまほろば珈琲店のコーヒーで脳にカフェインを充填し、一昨日に取材した分の原稿に着手。ラジオの音も消し、無音の中、無心で書き続ける。

‥‥ある程度、原稿の形ができてきたと思ったら、もう夕方。近所のココイチでカキフライカレーをもふもふと食べ、家に戻ると、今度は別のところから依頼されたWebサイト掲載記事の執筆に取りかかる。こっちもいろんな切り口を要求される案件なのだが、まさか、北海道のヒグマについて書くことになるとは思わなかった(笑)。

最近よく人から言われるのが、「ヤマタカさんがこれまでに書いてきた本の一覧を見てると、同一人物とは思えない」ということ。確かに、我ながら振れ幅が大きすぎる‥‥とは思う(苦笑)。まあ、吹けば飛ぶよなライター稼業、書けるものなら何でも書かなければ、世知辛い今の世の中では、とても生き残っていけない。

安曇野の山奥にでも引き蘢って、自分の好きな文章だけ書いて暮らしていけたら、理想的なんだけど。

がんばりすぎない

午後、銀座でインタビューの仕事。ラダック関係以外ではひさしぶりの取材だったが、どうにか首尾よくやり遂げる。

その後、外苑前に移動し、以前「ラダックの風息」のデザインを担当していただいた井口文秀さんのオフィスを訪問。軽く打ち合わせをさせていただいた後、井口さん行きつけの広尾の寿司店へ。寿司といっても、値段的にはかなりこなれている店なのだが、その割にはとてもおいしかった。

井口さんとは、僕が雑誌編集をしていた頃からの戦友的な間柄。約10カ月ぶりにお会いしたのだが、僕が何の遠慮もなくいろんな話をするのを、ニコニコと笑いながら聞いていただいた。

話が僕の父の話題になった時、井口さんが僕にこう言った。

「ヤマタカさん。お父さんのことがあったからといって、がんばりすぎない方がいいですよ」

井口さんは約七年前にお母様を急な病で亡くされたのだが、その時、そこから立ち直ろうとがんばりすぎて、逆に辛い精神状態に陥った時期があったそうだ。あまりに強く思い詰めてしまうと、それが自分自身を追い詰めてしまう、と。

本当にそうだなあ、と思う。今の僕は、父を失ったことだけでなく、その後ラダックや日本で僕を支えてくれたたくさんの人たちに絶対に報いなければ、と背負い込んでいるふしがある。背負うものが重すぎると、僕自身がそれに押しつぶされてしまうかもしれない。

がんばりすぎないように、がんばろう。