Tag: Work

無音の中で

終日、部屋に籠って原稿を書く。連休中はちょっとサボってたから、気合を入れ直さなければならない。

普段、雑誌や本の原稿を書く時は、ラジオをつけたりしているのだが、今回のラダックの本は、原稿を書き進めつつ、編集者の視点でも常にチェックしていく必要があるので、音楽すら聴く余裕がない。何もつけず、無音の中で、時折頭をかきむしりつつ、ひたすらカタカタとキーボードを叩く。こういう時、車通りもほとんどないうちのマンションの立地は、本当に助かる。

キーンコーンカーンコーン、と、武蔵野市が街の中に立てたスピーカーからチャイムが鳴る。もう五時か。テキトーにメシ食った後、第二ラウンドだ。

紙の本の底力

先日から、蔦屋書店やオリオンパピルスといったユニークな棚作りをしている書店を巡っていてつくづく思うのは、紙の本には、まだまだ捨てたものではない底力が眠っているということ。

たとえば、クリスマスプレゼントに相手が好きそうなテーマの本をプレゼントしたらきっと喜ばれるだろうけど、電子書籍のデータをメールで転送したら、何か微妙というか、その喜びはやっぱり紙の本には及ばないと思う(写真やイラスト、装丁が素敵な本ならなおさら)。書店や古書店、図書館などでは、紙の本ならではの「出会い」もある。

確かに、流通やコストを理詰めで考えていけば、電子書籍の方が理にかなっている面もあるし、これから移行が進んでいく部分も少なからずあるだろう。でも僕は、紙の本の底力も信じていたい。自分の本を読んでわざわざ手紙をしたためてくださったり、読んだのがきっかけで実際にラダックまで行ったという方から話を聞いたりするたびに、なおさらそう思う。それは、ブログや電子書籍ではできなかったことだと思うから。

これからも、一冊々々、納得できる本を作る仕事を積み重ねていきたい。

タンスの整理のように

昨日、今日と、本の原稿に取り組んでいるが、なかなかはかどらない。

書く内容とボリュームを細かく検討しているうちに、前に描いたラフがしっくりこなくなって、ラフを描き直しているうちに台割まで調整するはめになったりと、行きつ戻りつしている感じ。対岸も見えない茫洋とした海に、小舟で漕ぎ出したような気分だ。

一冊の本を書く時には、全体を俯瞰で見渡す目と、細部をきっちり決め込んでいく目が同時に必要になる。全体のことばかり気にしていると細部がおろそかになるし、細部にこだわってばかりだと、他の部分との兼ね合いに問題が出やすい。いいたとえが思いつかないのだが‥‥たくさんの服を、タンスに整理していく時のような感覚だろうか。どこに何をしまうのか、タンス全体での配分を考えつつ、一枚々々の服を丁寧に畳んでいく必要もあるし。

まあ、僕の家のタンスは、パンツも靴下も、ぐっちゃぐちゃだけど(笑)。

普通の一日

ここ最近、あまり睡眠時間が足りてなかったので、二度寝して昼頃に起きる。

飲み会続きで疲れた胃腸をいたわるため、今日はおひるをあえて抜いてみた。缶コーヒーを飲みながらメールやニュースのチェックをしていると、どうやら金正日が死んだらしい。哀悼の意を表する雰囲気はどこにも微塵も感じられないが、みんなの関心事は、北朝鮮がやけっぱちになってミサイルをぶっ放したりしないかということの方だから、むべなるかな。

仕事の方は、これから作る本のカラーグラビアの構成の検討。どの写真をどんな風にして載せるか、実際にレイアウトイメージを作って試行錯誤しながら考えていく。夕方、ちょっと腹が空いてきたので、冷凍ごはんをあっためて、納豆とキムチと生玉子をのせ、味噌汁と一緒に食べる。

まあ、そんな感じの普通の一日。一応、誕生日だったんだけどね。

いいチームで

昼、外苑前で打ち合わせ。これから作るラダックの本について、デザイナーの井口さんと編集者さんを交えてのキックオフミーティング。僕としては、長い間一緒に仕事をしてきて気心の知れたデザイナーさんと組めるので、とても助かる。編集者さんも別れ際に「いい本にできるような気がします!」と言ってくれて、心強いかぎり。今回も、いいチームで本を作れそうな気がする。

まあ、実際に作業が本格化すれば、いくつもの修羅場が待ち受けているのは間違いない(苦笑)。ただ、こういうチームで仕事がやれる時は、なるべく他の人にスムーズに気持よく作業してもらえるように、いつもよりなおさら、問題になりそうな部分はできるだけ自分のところでクリアするようにしなければならないな、と思う。自分のところでめいっぱい無理をすることになっても、他の人の力を活かせるなら、それでいい。

いいチームで、いい本を作る。そのためなら、何だってやるさ。