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安売りはしない

昼、友人のライターとリトスタで会っておひるを食べる。同業者が集まると、当然のように互いの仕事の話になる(苦笑)。相変わらずの出版不況で、なかなか難しいねという結論にしかならないのだが。

まあでも、最近特に思うのは、景気が悪いからといって、自分の能力や自分が持っているコンテンツを、安売りすべきではないな、ということ。前にも同じようなことを書いたけど、きちんとした労働やコンテンツには、それにふさわしい対価が支払われるべきで、クライアントの懐具合などでその価値が決められてはいけないのだ。だから、多少の付き合いがあるからといって、あまりにもあんまりな条件を提示されたら、きっぱり断る勇気は必要だと思う。結局、それが自分の価値を守ることにつながるのだから。

というわけで、僕はもう安売りはしませんので、そこのところよろしく。

戻ってきた静寂

先週取材した案件の原稿は、昨夜のうちにだいたい形にできたので、今日はガイドブックの方の作業。制作途中の地図をチェックしたり、本文のゲラをチェックしたり。目がショボショボする。気がつけば夜半過ぎ。

この三カ月間、僕をさんざん悩ませ続けていた近所の道路工事は、先週末にようやく完了したらしい。今日は水を打ったように、しーん、と静まり返っていた。ていうか、これが当たり前なんだよな、この界隈では。毎朝ドリルの振動とともに目覚め、パワーショベルが地面を掘り返す音でラジオも聴こえず、電話の打ち合わせがローラー車の轟音に遮られるような日々も、これで終わりだ。やれやれ。

しかし、武蔵野市にはほとほと愛想が尽きた。引っ越そうかな‥‥。

「伝える者」としての仕事

昨日の午後は、ジュレーラダック主催のトークイベントにゲストとして出演して、写真をスライドで見せながら話をした。持ち時間は30分だったのだが、結局、10分以上もオーバーして喋ってしまった。会場は思ってたよりも盛況で、終了後にも何人かのお客さんと話をさせていただいた。自宅からわざわざ僕の本を持ってきて、サインを依頼してくださった方も二人いて、何だかとても嬉しかった。

僕はライターで、編集者で、時々はフォトグラファーでもあるけれど、トークに関しては、技術的にもとてもプロとは言えないと思う。でも、トークイベントで人前に出る時は、いつも「これも大切な仕事だ」と自分に言い聞かせて、万全の準備をして臨むようにしている(今回はギャラは発生していないけど)。わざわざ時間を作って、遠路はるばる足を運んで、お金を払ってまで見に来てくれるお客さんに対して、いいかげんなことはできないし、したくない。ちょっとでも「見に来てよかったな」という気持を持って帰ってもらうために、全力を尽くす。それも、「伝える者」としての自分の仕事なのだと思う。

これからも、折々に機会があれば、そういう役割をきちんと果たしていきたいと思う。

ありのままを

昨日の夜、ラダックガイドブックの初校が上がってきた。紙のゲラは明日届くのだが、一足先にPDFで全体の様子を見渡してチェックしている。

見ていて思うのは、何というか、「ラダックの風息」と同じ気配をまとった本だなあ、ということ。今回の本はガイドブックだから、内容も造りもまったく違うはずなのだが、全体を通じて伝わってくる気配は、まぎれもなく「風息」のものだ。書き手と撮り手とデザイナーが前と同じだから、というだけでは説明できない理由がある気がする。

たぶん、どちらも「ありのままのラダック」を伝えようと悪戦苦闘している本だから、そんな風に感じられるのかもしれない。伝わっているかどうかは、わからない。でも、僕が伝えたいことは、どちらの本にもありったけ、ぶち込んでいるという自負はある。

編集作業も、いよいよ佳境。最後まで気を抜かずに、いい本を作る。

こういう時にかぎって

昼のうちから、あれこれと細かい仕事に追われる。ガイドブックの地図職人さんからは次々と作成済みの地図の校正が届くし、先週取材した案件の依頼元からは新しい取材依頼が来るし、夕方には、ガイドブック本編の最初のレイアウトデータがアップされてくるしで、ばたばたしてるうちに、もう深夜。

僕みたいにフリーランスで仕事をしていると、一年を通じて平均的にまんべんなく仕事が入ることはあまりなくて、来ない時はさっぱり来ないし、来る時は一度にわっと来たりして、なかなか思うようには捌けない。「あー、こういう時にかぎって、何でまた‥‥」と、惜しい断り方をしなければならないこともあったりする。

それはさておき、こういう時にかぎって、近所の道路工事が夜の10時頃までゴロゴロと続けられてるというのは、まじで勘弁してほしいのだが。武蔵野市には、ほんとに愛想が尽きた。