Tag: Work

トラベルライターと呼ばれて

去年あたりから、「トラベルライター・写真家」という肩書で人前で紹介される機会が多くなった。

十数年前にフリーランスになった時、僕はIT系の雑誌の編集者をしつつ、広告・デザイン系の雑誌でインタビュー主体のライターもしていた。当時はまさか、今の自分がこんな肩書で呼ばれるようになるなんて、想像もしていなかった。特に自分で肩書や営業先を変えたわけではないけれど、ラダックについて書いた二冊の本で、結果的にそういう風に見られるようになったということなのだろう。

今年の後半には、あるガイドブックの改訂のために必要な海外取材の依頼も受けているのだが、そういう完全な請け負い仕事としてのトラベルライターの業務をさらに増やしていくべきかというのは、正直悩みどころ。もちろん、やってやれなくはない。けど、それは自分にしかできない仕事かと言われると、そうでもない気がする。

行きたい場所に行き、見たいものを見て、撮りたいものを撮り、書きたいことを書く。自分らしい旅をやりきった成果をカタチにするのが、僕がトラベルライターとして力を入れていくべき仕事なのだろう。その橋頭堡にするための企画を自ら作って提案していくことを、粘り強くやっていかなければ、と思う。

雌伏の時

年が明けてしばらく経つが、去年から続いている作業とは別に、僕個人が発案した企画は、なかなかスタートが切れないでいる。

そもそも、その企画は、決して通しやすい企画ではない。どの出版社に持ち込んでも、十中八九、断られるだろう。企画の良し悪し以前に、そのジャンル自体が売れにくいという宿痾を背負ってしまっている。でも、僕はその本を作りたいのだ。それがこの世界に存在するということに、意味があると思うから。

出版社の編集者の方も、無理筋なのを承知の上で、懸命に動いてくれている。今は、じっと待つしかない。

まだまだやれる

2012年、最後のブログ更新。

毎年同じことを言ってるようだが、今年もいろいろあった一年だった。仕事の面では、前の年からじっくり準備していた「ラダック ザンスカール トラベルガイド」をようやく上梓。ラジオに何度も出演させてもらったり、パタゴニア大崎店で大規模なスライドトークイベントをさせてもらったり、それなりにいろいろやれたと思う。夏にひさしぶりに訪れたスピティで、たくさんの村を歩いて訪ねることができたのは得難い体験だったし、母の付き添いで訪れたアラスカでは、これからの自分が目指すべきもののヒントも得られた。

でも、そうした出来事をふりかえって感じるのは、自分はまだまだやれる、ということ。その時その時で力を出し惜しみしていたわけではない。しかしこれからは、自分が一番力を使うべき分野に、もっと集約するように心がけなければならないな、と思う。仕事を選り好みするのとはちょっと違うが、一番大切にすべきものがおろそかにならないよう、うまくバランスを取っていきたい。

そう、僕は、まだまだやれる。

仕事納め

午後、自転車に乗って小金井へ。鉛色の空の下、空気はとことん冷え切っていて、自転車をこげばこぐほど、指先がぴりぴりとかじかんでくる。

昨日までにチェックを終えた初校のゲラを中村さんにお渡しし、打ち合わせの後、きょとんとしてたナロにも挨拶して(笑)、帰路につく。今にも雨が降り出しそうだったが、どうやら濡れずに家に着くことができた。

これで、今年は仕事納め。今回の本づくりの作業自体は年が明けてからもしばらく続くので、あんまり仕事が納まったような気分にもなれないのだが、今のところ特に大きなトラブルや手戻りもなく順調に進行しているので、とりあえずはひと安心。心穏やかに年を越せそうだ。

それにしても、寒いな。明日は一日、本を読んで過ごそう。

やりきれるか

昨日は誕生日だった。といっても何か特別なことをするでもなく、いつも以上に地味に過ごした一日だったけど。

次の一年は‥‥仕事の面で、もっとしっかりやらなければ、と思う。単純に生計をもっと安定させる必要もあるし、自分が好きな仕事‥‥旅にまつわる仕事をもっとスムーズに、コンスタントに続けていくための地盤づくりもしなければならないと思っている。その先のステップに歩を進めるために。

次のステップで、ぼんやりと、やってみたいと思っている場所がある。でも今は、正直言って、どうやったらそれにうまく取り組めるのか、そこで何をものにできるのか、見当すらつかない。ただ、やらなきゃいけない、やらずにはいられないという、駆り立てられるような気持だけは、確かにある。かつて、ラダックを初めて訪れた時のように。

文章や写真に関して、自分は卓越したセンスや能力を持ち合わせている人間じゃないことは、わかりすぎるほどわかっている。でも、自分がいつかやろうとしていることで大事なのは、できるかどうか、ではない。やるか、やらないか、最後までやりきれるか。それがすべて。

その時のために、しっかり準備をして、力を蓄えようと思う。