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それにしても腹が減る

午後、築地で打ち合わせ。去年と今年の夏の取材の成果を中心にした写真記事を、雑誌で発表できることになった。〆切までのスケジュールはかなりタイトだけど、愉しい仕事だから苦にならない。がんばろ。

それにしても、腹が減るのである。スピティからラダックまでのトレッキングの時、炎天下の中を毎日七、八時間ばかりも歩き続けていたので、予備燃料タンクである余分な皮下脂肪をすっかり使い切ってしまったからだろうか。あー、ひもじい。

まあ、日本の食べ物が、それだけおいしいということもあるのだろう。みんな普段当たり前のように食べてるけど、日本の食べ物のうまさと有り難みをあらためて再認識する今日この頃。しかし、ひもじいなあ。

いきなりフル操業

昨日の朝、インドから日本に戻ってきた。

もともとは先週の土曜朝に戻ってくる予定だったのだが、金曜朝にレーからデリーに飛ぶはずの飛行機がレーの悪天候でキャンセルになってしまい、同じ日の夜に乗る予定だった帰国便も、二日後の日曜夜発の便に変更せざるを得なかったのだ。いつもお世話になっている日本の旅行会社のご協力のおかげでたいした出費にもならず事なきを得たが、手配がつくまではヒヤヒヤものだった(苦笑)。

今日は午後から目黒で打ち合わせ。九月下旬から四週間の予定で取り組むタイ取材について。初めての媒体だし、取材場所も行ったことのない街ばかりなのでどうなることやらという感じだが、何とかうまくやり遂げたいところ。明日も午後から大事な打ち合わせがあるので、さっきまでその準備に追われていた。帰国していきなりフル操業。まあ、ありがたいことではある。

春先に出版社に預けて以来、しばらく進捗が滞っていた新しい書籍の企画の件も、再び検討作業が動き出したという。いい答えが出るといいな。そんなこんなで、いろいろフル操業でがんばる。

個人で本を作る

早くても来年以降の、おぼろげな目標なのだが、僕個人で本を作って世に出すような活動をやってみようかな、と考えている。一人で出版社を立ち上げるところまでは考えてないのだが、僕個人の屋号というか、レーベルのような形で。

もちろん本業の部分では、出版社と協力しながら本を企画して作る仕事を続けていく。ただ、最近の自分が考える企画のアイデアの中には、一般的な出版社からは出しにくい類のものも少なからずある。いい企画だし、作って世に残しておくべき本だけれど、売りにくい、みたいな。そういうアイデアをあきらめずにすくい上げて、出版社に頼らずに自分で作ってしまえないだろうか、と思っているのだ。

企画から執筆・編集まで、主な作業は自分でできる。制作時に外部の力が必要なのは、デザインと印刷・製本くらい。一般的な自費出版と比べて、かかる費用は格段に少ない。専用のサイトを立ち上げて前もって受注を行って、適正な刷り部数を見極め、販売はオンラインと一部の書店、イベント会場などで行う。

個人宅でたくさんの在庫を管理するのは大変だし、このやり方で作る本でがっぽり儲けるつもりもないから、本当に欲しい人に確実に届けられるだけの部数にとどめて作るつもりだ。本業ではないし、かといって趣味でもないが、読者の方に喜んでもらえるものを作って届けることは、自分にとってもお金以上に価値のある活動になると思っている。

まだ、どうなることやら、というくらい柔らかい状態のアイデアだけど、うまくいくといいな。

理不尽な仕打ち

何かが思うように進まなかったり、うまくいかなかったりして、ため息をつきたくなるような時、本棚にある色川武大の「うらおもて人生録」に手が伸びる。この本については前にも書いたことがあるけれど、今でも何か思い悩むたびにページをめくりたくなる本だ。

人間が持っている運は、プラスマイナスゼロ。15戦全勝で勝ちっ放しのまま終えられる人はまずいない。勝てる時にしっかり勝てる最低限の実力をつけ、8勝7敗あたりを狙って、9勝6敗にまで持って行けたら大成功、と戦後の賭場で修羅場をくぐってきた色川さんは書く。

自分自身をふりかえってみると‥‥やっぱり、とんとんくらいなのかな。同年代で会社勤めしてる人に比べればしがない収入で、しかも不安定なフリーランサー。その代わり、行きたい時にどこにでも行けて、好きなことを本に書けるという自由を享受している。社会的な立場の弱さからいろいろえげつない苦労もさせられるけれど、社内で逃れられない人間関係に振り回されるようなストレスはない。自分の名前で書いた本で、喜んでくれる読者の方がいてくれるのは、何物にも代えられない嬉しさだけど。

たぶん人はみな、プラスマイナスゼロの運の波間で、8勝7敗か7勝8敗のあたりの浮き沈みをくりかえしながら、懸命に生きているのだと思う。やるべきことを真っ当に積み重ねていけば、だいたいそうなるのだろう。最低限の積み重ねをせずに大負けをくりかえして人生を呪ってる人もいるが、それは実力からなるべくしてなった結果だと思う。

ただ、時に運は残酷なことをするもので、どう考えても理不尽な仕打ちを人に与えることがある。災害や事故に巻き込まれたり、別に不摂生でもないのに病に冒されたり。そういう話を聞くたびに気の毒に思うし、少なからずぐさりとくるものもあるが、同時にそれは、自分自身の弱さを見直すきっかけにもなる。それまで自分が抱えていた苦労や悩みなど、ちっぽけなものにすぎないのだと気づかされる。

自分にだって、いつ、そういう理不尽な時が訪れるかわからないのだ。やれる時に、やれることを、やる。最終結果がプラスマイナスゼロか、もっとマイナスになったとしても、それも実力と納得して、笑って終えられるように。

枯れゆく花

今日も南大沢で取材。三鷹からは遠いし、取材はむつかしいし、連日かなりしんどかったが、それもひと区切り。

駅からの帰り道、何となく、梅雨は終わったな、と感じる。道端に咲くアジサイの花が、少しずつ朽ちはじめていたから。たぶんこういうことは、気象庁の見解よりも、枯れゆく花の方が雄弁なのかもしれない。

で、今、天気予報のサイトを見たら‥‥明日から、猛暑? いきなりだなオイ。