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あと二カ月

台風が近づいてるからか、風が強く、やたら蒸し暑い。何もしなくても気力がそげていく。

終日、部屋で仕事。昨日取材した分の原稿に取り組む。夜までにはほぼ形になったが、明日からはまた、いくつか書かねばならない原稿がある。小さいながらも切れ間なく仕事が来るというのはありがたいことなのだが、「撮り・旅!」という難関を終えた後なので、正直、しばらくぼーっとしていたい気分なのも確か。

誰もいない湖のほとりで、一週間くらいテントを張って、歩き回って、写真を撮って、本を読んで、寝転んで空を見上げて‥‥。あと二カ月ほどしたら、たぶん、そんな日々が来る。

どちらの気持も

雨粒が落ちてくるのは見えないのに、歩いてると服がじっとり湿ってくるような、そんな天気の日。

午後、南大沢で取材。相手の方に、「ライターという仕事は大変でしょう? 実はうちの息子も、フリーライターをやっているんですよ」と言われる。どんなジャンルのお仕事を、と聞くと、机の上にあった、音楽やサブカル系のムックを見せてくれた。各ページに散らばる小さな記事に、一つひとつ、丁寧に付箋が貼ってあった。

「でもね、この間、身体を壊して、入院してしまったんですよ」

聞くと、週刊誌の編集部から無茶なスケジュールでの仕事を立て続けに依頼されたり、悪質なクライアントに原稿料を踏み倒されたり、あちこち振り回されているうちに体調を崩してしまったのだそうだ。

「ライターの仕事はやめた方がいいんじゃないか、とも言ったんですが、聞いてくれなくてね‥‥」

そうですね、とも、もう少し見守ってあげてください、とも、僕は言えなかった。何者かになろうとして、必死にあがいている駆け出しのライター。息子の書いた記事に付箋を貼りながらも、行末を案じている父親。どちらの気持も、僕には痛いほどわかる。

たぶん僕は、他の人よりほんの少しだけ運がよかったから、今の仕事をかろうじて続けられているのだと思う。

七夕に校了

昼、千駄ヶ谷にあるデザイナーさんの事務所で、「撮り・旅!」の打ち合わせ。一部分だけ再度出してもらった色校と、インクジェット出力した残りのページの色味などを確認。大きな問題もなく、この後は印刷会社さんにお任せすることになる。

「‥‥これで、校了‥‥ですよね?」と僕。
「そうですよ、もちろん」

何だか、最後はちょっとあっけなくて、すぐには実感が湧いてこなかった。打ち合わせを終えた後、一人で新宿まで歩き、喫茶店でアイスコーヒーをすすり、本屋をうろうろ。そうするうち、少しずつ、じわじわと感じるようになった。ああ、終わったんだなあ、また一冊、と。

三鷹に戻り、駅の近くで本を買い、喫茶店で3分の1読み、居酒屋に場所を移して3分の1読む。本を読みつつ、一人酒。何だかいろいろたがが外れた感じだが、悪くない。そういえば、今日は七夕か。

作戦会議

午後、「撮り・旅!」の色校の入った包みを抱えて、千駄ヶ谷にあるデザイナーさんの事務所へ。中に入ると、打ち合わせスペースには出版社の担当編集さんの他、印刷所の担当者の方々が四人も。デザイナーさんたちを加え、計八人での打ち合わせ。

今日の打ち合わせは、デザイナーさんからの提案。単に色校に個別の写真への指示をつけて戻すより、全員で集まって意見の擦り合わせをして、この後の印刷にあたっての方針を確認しておいた方がより確実ということで、こういう場を設けることになった。面付けした色校を広げたワーキングテーブルを大勢で囲んで、ここはどうだ、あそこはどうする、と話し合っていると、何だかラスボスとの最終決戦に臨む作戦会議をしてるような気分になった。脳内BGMはおなじみのこれ(笑)。

それにしても、ここに至るまで、若干の余裕を持たせたスケジュールにしておいて、本当に助かった。来週明けにもう一度、一部のページの色校を出し直して確認することになったが、それで問題なければ、今度こそ校了だ。いよいよ、本ができあがる。

気を抜けない

午前中に、デザイナーさんから今作ってる本の色校正が入った大きな包みが届く。リビングの机の上で、面付けされた状態の大きな色校を広げ、各写真家さんから送られてきた指示を参考に、写真を一枚々々チェックしていく。

今回の「撮り・旅! 地球を撮り歩く旅人たち」は、ほとんどのページに写真が使われていて、それぞれのテイストも千差万別なので、印刷にはことのほか気を遣う。本当はもう一回ダメ押しで簡易色校正を出したいところなのだが、諸事情(時間とか、予算とか)で難しいと言われてしまったので、デザイナーさんと一緒に印刷所に行って、最後の最後に印刷の現場で確認させてもらうしかないかな、と考えている。

ここで気を抜いたら、今までの苦労がすべて水の泡になってしまう。少しでもいい本を作るために、やらねば。