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スマートな旅

約三週間半のタイ取材を終え、今朝、東京に戻ってきた。

今年のタイの旅は、トラブルらしいトラブルもほとんどなく、スムーズに終えることができた。毎年ほぼ同じ地域を定点観測的に回っているので、土地勘もあるし、注意すべきポイントも頭に入っているから、当然と言えば当然なのかもしれない。あと、言わずもがなだが、テクノロジーの進化に助けられてる面も大きいと思う。

インターネットとスマートフォンによって、旅は格段に便利でスマートになった。その日泊まる宿をネットで事前予約しておくのは当たり前で、飛び込みで訪ねたら逆に訝しがられる。道に迷ったら地図アプリ(オフラインでもGPSで現在位置がわかるアプリもある)を見れば、目的地まで最短距離で移動できる。僕はまだ使ってないけど、タクシーも、今やGrabやUberなどのアプリでピンポイントで呼ぶ時代だ。

その一方で、昔からある安宿街は小綺麗なドミトリー主体のホステルに取って代わられ、トゥクトゥクやソンテオはGrabに客をすっかり奪われて、暇を持て余している。そういう時代の流れにはもはや逆らえないのかもしれないし、ノスタルジーに浸るつもりもないのだが……何だろう。何もかもが効率よくスマートに手配できてしまえることに、ちょっと拍子抜けというか、物足りないものを感じてしまう。

自分が二十代の頃からくりかえしてきた旅をふりかえってみても、記憶に強烈に焼き付いているのは、トラブルにさんざん振り回されて苦労した時の旅だ。自分自身で決断し、周囲の人々にも助けてもらいながら、どうにかして苦境を切り抜ける。そういう経験でしか味わえない旅の本質というのは、確かにあると思う。

自ら好き好んでトラブルに飛び込んでいくのは愚かだけど、あらゆるトラブルをスマートにかわしながら効率よく旅をすることに慣れすぎるのも、どうなのかな、と思った。

[15min.#04]本をつくることについて15分話す/山本高樹

かれこれ十数年前、とある雑誌の編集部で一緒に働いていた友人のライター、木村早苗さんに、最近の自分についていろいろとインタビューしていただきました。収録は吉祥寺にあるスコティッシュバー、ウィグタウンにて。

[15min.#04]本をつくることについて15分話す/山本高樹

ここ最近受けたインタビュー取材の中では、抜群に良いクオリティの原稿でした。よかったらご一読ください。

PayPalで不正利用トラブル

生まれて初めて、VISAデビットカードを不正利用されそうになった。正確には、僕が以前作ったPayPalのアカウントに、何者かが不正にアクセスして、勝手に買い物をしようとした、ということだが。

今日の夕方、PayPalから「○○へのお支払いは承認されました」という謎のメールが来て、その後VISAデビットカードの口座に1万5000円ほどの請求があったとの知らせ。どうやら、僕はフランスの化粧品メーカーからやたら高いクリームか何かを買って、それをドイツのハノーバーにいる誰かさんに送る手筈にしたらしい(苦笑)。

すぐにカード機能を一時停止にして、銀行の関連窓口に電話して相談し、カードを再発行してもらうことに決定。その後、PayPalのカスタマーセンターとも電話がつながり、すぐに不正アクセスによる事案と認定してもらえた。アカウントはPayPalの方でブロックしてもらって、一段落したらアカウント自体を削除する方向で調整。金銭的な実害はまったく出なかったので、ほっとした。自宅にいるタイミングですぐに対応できて、よかった。これがもし、海外取材中の出来事だったとしたら……想像するだに恐ろしい。

僕自身、PayPalのアカウントはまったく使っていなかった。今年初めにデリー空港のプラザプレミアムラウンジを予約する時、PayPalでの支払いが必要ということでアカウントを作ったのだが、それ以来アクセスもしていなかった。二段階認証の設定をちゃんとやっておけばよかった……油断していた。ちなみにデリー空港のプラザプレミアムラウンジ、操作画面がやたらまぎらわしいので気付かなかったのだが、よくよく見ると、PayPalのアカウントを作らなくても普通にカードで直接予約ができる仕様だったことが判明(苦笑)。何だったんだ、今回の苦労は……。

それにしても、PayPalのカスタマーセンターの担当者と電話で話した時、おそらく外国の人(会社のあるシンガポールの人かも)だと思うのだが、特有のイントネーションながらも完璧な日本語で、ものすごく丁寧かつフレンドリーに応対してくれたのが印象的だった。「同じようなご相談が、今日の午後だけで何件も来てます!」とか、そんなこと言っていいのかよ、とも思ったが(笑)。

「PayPal 不正」で検索したら、最近同じようなトラブルに遭遇している人のツイートが山ほど見つかった。中には、僕とまったく同じ「フランスの化粧品の高いクリームを買ってハノーバーに配送させられそうになった」人もいた(苦笑)。これだけやられまくってるってことは、たぶんPayPalのシステム自体の弱点を突かれてるのだろうと思う。カスタマーセンターに優秀な人材を置くことは大事だけど、その前にシステムのセキュリティをちゃんと改善してほしいものだ。まあ、僕のアカウントはまもなく削除するつもりだけど。

今現在、PayPalのアカウントを持っている方は、とりあえずログインして、変な痕跡がないかどうか確認した方がいい。二段階認証の設定をしていない人は、すぐに設定を。ほとんどPayPalを使っていないという人は、アカウント自体を削除しておいた方が無難だと思う。みなさんも、ハノーバーにバカっ高いクリームを送らされたりしないように(笑)、気をつけて。

直結への回帰

しばらく前から、自宅のオーディオ環境の調子が、あまりよくない。

今、僕の家で使っているのは、オンキヨーのCR-N765というネットワークCDレシーバーとD-112EXTというスピーカー。CR-N765にはApple TVを光デジタルケーブルで繋いでいて、iPhoneに入れている音楽のプレイリストを聴いたり、radiko.jpやネットラジオアプリでラジオを聴いたりする時は、自宅内のWi-Fi環境を介したAirPlayで、Apple TVを経由してオーディオから音を出している。

だが最近、iPhoneからAirPlay経由で音を出していると、頻繁に接続が切れてしまうようになった。以前は時々あったもののそれほど気にはならない程度だったが、最近は10分も経たないうちにまた切れてしまったりするので、さすがにストレスがたまる。ネットで検索して見つけた改善策をいくつか試してみたものの、効果なし。単体でAirPlayに対応している新型のCR-N775に買い替えて、Apple TVを介さずにAirPlayに接続できる環境にしてしまおうかとも思ったが、原因がCR-N765やApple TVになかった場合は何の改善にもならないので、躊躇してしまう。

さてどうしたものか……と考えて、単純にして最も確実な解決策に行き着いた。Lightning-USBケーブルで、CR-N765とiPhoneを直結。10秒ほどでイニシャライズが完了すれば、iPhoneで再生する音楽をそっくりそのまま再生できる。当たり前だが直結しているので、再生中に音が途切れたりすることもない。

直結して音楽を聴くようになると、「音が途切れないって、こんなに快適なのか……!」と、当然といえば当然すぎることを実感(苦笑)。仕事机の横に置いている充電台の上にiPhoneがないのはちょっと違和感を感じるが、iPhoneに電話がかかってきてもMacBook Proの方で受けることもできるし、まあそこまで不便ではない。

それにしてもアップルには、AirPlayの性能を、もうちょっと何とかしてもらいたい……。

「なろう系」のテンプレに思う

少し前に、「なろう系」という言葉を初めて知った。なんじゃらほい、と思って調べたら、「小説家になろう」という小説投稿サイトに投稿されがちな系統の小説を指す言葉なのだとか。たぶん、この言葉が使われる時には、その作品を揶揄するような意味合いが込められることが多いのだろう。

Web上で見つけた情報によると、「なろう系」と呼ばれる作品の多くは、こんな感じのテンプレに沿って書かれているのだという(以下一部引用)。

・主人公が何らかの理由で異世界へ転生・転移する。
・序盤で主人公がチートと呼ばれるほどの力を得る。努力を必要としないことが多い。
・ありふれた知識・能力でも異世界では英雄に等しい活躍ができる。
・行く先々でヒロインを助けてモテてハーレム作り。
・とにかく作品名が長く、作品名だけで内容がわかってしまうことが多い。

僕自身は、こうしたテンプレに沿って書かれた「なろう系」作品を読んだ経験がないので、それが面白いかそうでないかを言える立場にはないし、言うつもりもない。ただ、このテンプレを見てふと思ったのは、これは全部、書き手とそれを支持する読者の、露骨な願望の表れなのだろうなあ、ということ。自分が今生きている嫌な現実から逃れたい。他人を圧倒できる能力を手っ取り早く身に付けたい。それで周りの人たちから賞賛され、モテたい。

もし仮に、自分がそういう人生を実際に生きることができると言われたら……逆に退屈だろうなあ。人生は、ずっこけまくりの挫折しまくりで、どんなにカッコ悪くても、なりふり構わず這い上がって掴み取る方が、ずっと面白いと思う。