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ヤマ場を越えて

先週の土曜日は、モンベル御徒町店での関健作さんとのトークイベントだった。会場はおかげさまで大盛況で、トーク自体も、たぶんそれなりにうまくいったのかなと思う。

イベントの後、僕の本を手に長い列を作ってくださった方々一人ひとりにサインを進呈し終え、会場の撤収作業をしていた時、急にがくっと、身体の力が抜けるような感触を感じた。神経の緊張が急に解けたとか、それまであまり水分を摂ってなかったとか、そもそもこれまで忙しすぎた疲労蓄積の反動とか、原因はいろいろあったのだろう。とにかく、頭がふわふわというかふらふらして、どうにもつらかったので、打ち上げは二次会をパスして抜けさせてもらって、這うようにして家にたどり着き、そのままぶっ倒れて寝てしまった。

日曜日も、午後のリトスタに在廊している間はまだふらふらの余波が残っていたのだが、夜から晩ごはんをビールと一緒に食べ始めて、やっと落ち着いたというか、人心地ついたというか、普段の自分の感覚に戻れたような気がした。その後またぐっすり寝て、今日はもう、すっかり大丈夫。通常のお仕事モードである。

とにもかくにも、トークイベントという今月の最大のヤマ場は越えた。……まあ、来月もあるんだけどね。

それは大変なこと

どっぷり寝て、ゆっくり起きる。部屋でラーメンを作って食べ、昼過ぎまで、次の週末にやるイベントで使うスライドの準備。午後から夕方までは、写真展会場のリトスタに在廊。

今日は、去年のラダックツアーの参加者の方々が会場に訪ねてきてくださった。ひさしぶりにお会いして話をしながら、去年撮った写真のパネルなどを見てもらえたので、何だかとても嬉しかった。

一冊の本を買ってもらうこと。写真展に足を運んでもらうこと。イベントを観覧してもらうこと。インド行きの飛行機のチケットを買ってもらって、ラダックでのツアーに参加してもらうこと。考えてみれば、どれもこれも、大変なことだ。その人の人生の時間の一部分、働いて得たお金の少なくない金額を、わざわざ使ってもらっているわけだから。

書店にご挨拶に回ったり、写真展でいろんな方にお会いしたりしていて、あらためてそう実感する。すっかりわかっているつもりだった大切なことを、もう一度、自分自身の中で確認させてもらっている。

誰かの人生の隙間に

昨日と今日は、少しひさしぶりに、午後から夕方までの間、写真展の会場に在廊。カウンターでMacBook Airを開いて、むつかしい顔をしながら原稿を書いていたので、ちょっと近寄りがたい雰囲気も出てたかもしれない。そんなんじゃ在廊する意味がないか(苦笑)。

写真展を見に来てくださった方から、こんな話を聞いた。インドの旅から帰ってきた後、おなかの具合が悪くなって一週間くらい寝込んでいた時、アマゾンで買った僕の本を寝床でめくって読んでいたのだ、と。

本というものは、時に思いがけない形で、誰かの人生の隙間に、そっと差し込まれる。部屋の本棚のほんのちょっとした隙間に、一冊の本が差し込まれるように。だから僕は、この仕事を続けていられるのだと思う。

気持のやりとり

ここしばらく、取材で出歩いたり、写真展の会場に在廊したり、家に帰って原稿を書いたりで、あっという間に日々が過ぎていく。4月になって、ちょっと立ち止まって一息つける時間ができるかもと思っていたけど、そんな気配は微塵もない。

それでも、写真展の会場に訪ねてきてくれる友人・知人の方々と話をしたり、初対面の方々から写真の感想やラダックについての質問をいただいたりしていると、本を出すのと同時に写真展をやってよかったとしみじみ思う。目に見える形ではないけれど、こういう気持のやりとりをさせていただけるというのは、書き手としても、撮り手としても、何物にも代え難い経験だから。

次はいつこんな経験をさせてもらえるかわからないし、もう二度とないのかもしれないのだから、毎日、この感触をしっかり噛みしめながらやっていこうと思う。

朦朧としつつ

今朝は6時起き。9時から武蔵境で取材2件。終わった後に新宿に移動し、午後の取材の前にひさしぶりに麺通団でかまたまうどん。隣の席には、きゃぴきゃぴした女子高生のグループ。隔世の感……。

午後の取材が予想よりスムーズに終わったので、2時間半程度だったけど、写真展会場のリトスタに在廊。すると、去年のラダックツアーの参加者の方が一人でふらっといらっしゃってくれた。ひさびさにいろいろお話もできたし、がんばって在廊しててよかった。

家に帰ると、朦朧としながらも短い原稿をどうにか一本書き上げ、連絡業務をあれこれと片付ける。もう限界だ……しかし明日も朝から取材。毎年のことながら、今の時期はきつい。今年は他にもいろいろあるから、なおさら。