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今頃になって

昨日は夕方から、綱島のポイントウェザーで、今日から始まるラダック写真展の設営。すぐに終わるだろうとたかをくくっていたのだが、予想よりずっと大変で、お店の近所から手伝いに来てくれた友人たちがいてくれなかったら、たぶん全然終わらなかったと思う。本当に助かった。おかげで今日から、無事にスタート。

で、今日は午前中のうちに市役所に(制度的には非常に不本意ながら)マイナンバーカードを受け取りに出向いた。で、家に帰ってきて、仕事を……と思ったのだが、急にものすごく身体がだるくなってしまった。ベッドに横になって、夕方まで3、4時間寝る。

今頃になって、ここしばらくの疲れが出てきたのかな。来月からはまた、タイ取材が始まるんだけど。

森と氷河と鯨


昨日の午後、予定通りに南東アラスカから日本に戻ってきた。この間のラダックでの滞在に比べれば、期間も半分だし、あっという間だった気もするのだが、ラダックから戻ってきた時以上に、浦島感というか、周囲の環境にうまく馴染めなくて、ぼーっとしてしまっている。日本に、というより、人間のいる環境に。

南東アラスカでの日々は……短い間に、本当にいろんな出来事があった。誰かに話しても、すぐには信じてもらえないような出来事も。氷河の青い氷。苔の繁茂する深い森。ハクトウワシのまなざし。無邪気にじゃれあうクマ。ボートを取り巻くザトウクジラの群れ……。

あまりにも気高く、美しいものを、僕は、目にしすぎてしまったのかもしれない。

出発前の嵐

台風9号の首都圏上陸で、朝から天気は大荒れ。幸い、特に出かけなければならない用事もなかったので、旅の荷造りの仕上げをして、あとは部屋で雨と風の音を聞きながら、おとなしく過ごす。

元々は今日から出発する日程を考えていたのだが、お盆明けの平日に1日東京にいることで、仕事関係の連絡がつきやすいようにした方がいいと思い直して、明日の出発に変えたのだった。今となっては、本当に運が良かったと思う。もし出発予定が今日だったら、飛行機の遅延や欠航で、現地の細かい事前手配が危うくパーになるところだった。

まあ、明日からの2週間、何もかも予定通りにうまく運ぶとはまったく思ってないけれど、まずは五体満足無事に戻ってくることを目標に、新鮮な気持でアラスカを楽しんでこようと思う。

帰国は9月5日の予定。ではまた。

旅というより

夜、来週火曜からのアラスカへの旅の荷造りに、ようやく着手。

今回の目的地は、南東アラスカ。二年前のようにキャンプをするわけではないのでテント関連は不要なのだが、無人島にある丸太小屋に数日間泊まるので、厳寒期用寝袋とマットレス、炊事道具、フリーズドライの食料、海から上陸する際の長靴など、それなりにいろいろ持って行かなければならない。グレゴリーの95リットルのダッフルバッグが、みるみるうちに満杯になっていく。

おまけに撮影機材も、カメラボディ2台にレンズ4本(うち1本は80−400mmという横綱級)という一番大がかりなセットだし、パソコンとハードディスクもあるしで、ダッフルバッグと同時に全部背負ったら鎖骨が砕けそうなレベルである。何というか、旅の準備というより、引っ越しか夜逃げでもするみたいな気分になってきた。

毎度のことながら、アラスカ、いろいろしんどい。

「DDLJ 勇者は花嫁を奪う」


成田とデリーの間を往復するエア・インディアの機内で、そういえばまだちゃんと観てなかった、と思ってがっつり観たのが、「Dilwale Dulhania Le Jayenge」。日本では以前ひどい邦題をつけられていたが、最近は「DDLJ 勇者は花嫁を奪う」と呼ばれている作品だ。この映画が公開されたのは1995年。その当時大ヒットしただけでなく、ムンバイの映画館マラーター・マンディルでは、その後20年近く、1000週以上にわたって上映され続けるという、ギネスブックにも載る超ロングランヒットとなった。

厳格な父と家族とともにロンドンで暮らすシムランは、インドに父の決めた一度も会ったことのない婚約者がいる。独身最後の思い出作りに友達とヨーロッパ旅行に出かけた彼女は、お調子者のラージと出会い、ひょんなことから二人で旅をするようになる。初めは喧嘩ばかりしていた二人だったが、旅が終わる頃、それぞれが自分の気持に気付く。しかし、シムランは結婚式のためインドに連れて行かれてしまう。それを追いかけるラージの選んだ行動は……。

何というか、観終わった後、本当に掛け値なしに幸せな気分になれる映画だった。シャールクは普段おちゃらけてばかりだけどここぞという時はキメるという彼の一番得意な役柄だし、カジョールの輝くばかりの美しさと喜怒哀楽の演技も唯一無二の存在感を放っていた。ヨーロッパの列車旅が終わった時、シャールクと別れた直後のカジョールの表情にはどきりとさせられたなあ。そして180分見続けた後の、ラストのあのあまりにも有名すぎるシーン。

映像作品として見た場合、ツッコもうと思えばツッコめるポイントは山ほどある。時にベタすぎるほどベタな展開や、冗長すぎるんじゃないかと思えるくだりも。でも、そういう部分も全部ひっくるめて、この作品の魅力になっているとも言える。そして「DDLJ」のDNAは、その後作られた数え切れないほどのインド映画にも脈々と受け継がれているのだ。海外のライフスタイルへの憧れ、インドの伝統と格式への誇り、家族との絆、男の戦い、叶わないと思っていた恋の成就……。

これからもこの作品は、インドの人々の間で、愛すべき映画の一つとして、ずっと語り継がれていくのだろう。本当に幸せな作品だと思う。