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ナロとの再会

午後、自転車に乗って、小金井方面へ。たかしまてつをさんと中村文さんのお宅に伺う。

こっちに引っ越されてからお宅にお邪魔するのは初めて。一軒家の二階はアトリエになっていて、何というかもう、夢のような空間。壁から窓辺から襖に至るまで、たかしまさんの絵でぎっしり埋め尽くされている。個展の会場かと思うほど。いいなあ。

中村さんとの仕事の打ち合わせの後、一階の縁側にいたナロにご挨拶。会うのは二年半ぶり、三度目くらいかな。前の時はほんの子猫の頃だったが、今はすらりとした妙齢のお嬢さんに成長していた。そして相変わらず、筋金入りのビビリ(笑)。僕のことも訝しそうな目で見ていたが、そんなにダメでもなかったらしく、用心深く、くんかくんかしてきた。緊張してうずくまってこっちを見てるうちに、寝落ちしそうになったりして(笑)。めんこいのう。

何だかすっかりいい気分で、僕はペダルを踏んで家路についたのだった。

音楽と牡蠣の夕べ

昨日は日中バリバリ働いて、夕方から外出。品川のグローリア・チャペルで開催される畠山美由紀さんのライブへ。

この日のライブは、先日発売されたばかりの「Coffee & Music –Drip for Smile-」に収録されているカヴァー曲がメイン。畠山さんの歌は言うに及ばす、ギターの小池龍平さん、フレットレス・ベースの織原良次さん、ピアノのジェイコブ・コーラーさんによる演奏が素晴らしかった。それぞれ途轍もない技量を持っている人たちが、さりげなく、こともなげに、心地よいメロディとリズムを紡いでいく。休日の午後、鎌倉散歩の途中にディモンシュでコーヒーを飲んでるような気分になった。

ライブの後は、近場で遅い時間にも開いてる店ということで、品川のグランドセントラル・オイスターバー&レストランへ。思い返すと、オイスターバーに来たの、二年ぶりかも‥‥。ヱビスビールを飲みながら、つるつるっと立て続けに生牡蠣を口に放り込み、バジルやオランデーズソースを載せた焼き牡蠣をハフハフ頬張り‥‥あー、幸せ。帰り道で身体がポカポカ火照るほど、牡蠣の滋養をがっつり吸収した感じ。

音楽と牡蠣に恵まれた、よい夕べだった。

愉しい密談

午後、八丁堀へ。ラダックガイドブックでお世話になった編集者さんと打ち合わせ。

今回、俎上に載せたのは、今までの書籍とはかなり毛色の違う企画。ものすごくシンプルなアイデアだが、そーいえば今までなかったなあ、という感じのものだ。話を聞いてくれた編集者さんも「ありだと思います」と言ってくれた。最初の一手としては悪くない。何だか打ち合わせというより、愉しい密談のような感じだった。新企画について話してる時は、概してそんなものだけど。

次は内陣に切り込んで、本丸攻め、つまり予算獲得に繋げられるかどうか。うまくいけば、来年の今頃はかなり面白いことになってるかもしれない。まだ何一つ決まってないから、獲らぬタヌキの何とやらにもほどがあるが‥‥とりあえず、がんばろ。

〆切に次ぐ〆切

取材のため、朝から電車に乗って南大沢へ。眠気が覚めなくて困ったが、缶コーヒーをがぶ飲みし、どうにか無難にやり遂げる。

やっぱり疲れを感じたので、家に戻ってから、夕方まで少し仮眠。晩飯を食ってシャワーを浴びたら、かなりしゃっきり。さっそく原稿に取りかかり、夜中までに何とかメドが立った。しかし、机上にはまだ山のよーに仕事が‥‥。

九月に帰国してからというもの、やたらめったら忙しい。文字通り、〆切に次ぐ〆切に追いまくられている。この調子だと、来年の一月末くらいまではせわしない日々が続きそうだ‥‥。紅葉の時期に合わせて、丹沢あたりを歩きたいと思ってたのだが、ちょっと無理かも。

ま、やるしかないか。

辿り着いたその先で

昨夜は、パタゴニア東京ゲートシティ大崎店で、冬のラダックをテーマにしたスライドトークイベントに登壇した。ただでさえマイナーなラダックという地域の、しかも観光客がほとんど訪れない冬の話をするという、ターゲットが狭いにもほどがある(笑)イベントだったにもかかわらず、定員を上回る85名もの方々が来場してくださるという、まさかの展開。どうなることかと思ったが、関係者の方々のサポートもあって、何とかやりきった。モエツキタ。シロイハイニナッタ。

トークの中でも皆の注目を集めていたのは、やっぱりチャダルの話と写真だった。凍結した川の上を歩いて旅するという世界でも他に類を見ない冒険だから、当然といえば当然なのかもしれない。ただ、あの時の僕が、凍った川の上を歩くことそのものよりも遥かに心惹かれたのは、つらい道程を歩き続けて辿り着いたその先で出会った、冬のザンスカールで暮らす人々の姿だった。

今までもこれからも、僕が取り組むのは、頂に登ったり、困難な道程を制覇したりすることではない。そんな厄介なことは他の人にお任せする(笑)。僕は、辿り着いたその先で、目にしたもの、出会った人々のことを伝える。それが自分の果たすべき役割だと思っている。