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お茶を飲んだり、ごはんを食べたり

この週末は、ひさしぶりに相方と二人で、外で飲み食いをする機会があった。土曜の夕方に三鷹の横森珈琲でお茶を飲んだのと、日曜の夕方に西荻のコノコネコノコでお酒を飲みつつごはんを食べたのと。

これまでずっと、日常の中で当たり前のようにしていたことだったのに、コロナ禍の影響で、かれこれ3カ月もご無沙汰していた。その間も、リトスタやコノコネコノコにはテイクアウトでお世話になっていたのだが、あらためて、二人で出かけて外でお茶を飲んだり、ごはんを食べたりすると、いつのまにか失われていたものの大きさ、そしてそれが少しずつ戻ってきたことのありがたさを、しみじみと感じた。

東京の感染状況は、まだまだまったく油断できない状況なので、しばらくは、外で飲み食いをするにしても、込み合わなさそうな場所と時間帯を選んでというやり方になると思うが、それでも、やっぱり、とても嬉しい。少しずつ、取り戻していければな、と思う。

スヰートポーヅ

二十代の終わり頃、ほんの二、三年だったが、九段下にあった雑誌の編集部に、契約社員として勤めていた。当時から僕はぼっちが好きだったので(苦笑)、社内の人と一緒におひるを食べに行くことはめったになく、たいてい一人で、神保町の方にぶらぶら歩いていって、どこかの店に入っていた。

すずらん通りの餃子専門店、スヰートポーヅには、通りがかった時に「あ、ここはおいしそう」と直感で入ったのが最初で、あのあたりでは誰もが知ってる老舗の人気店なのだという予備知識は、まったくなかった。完全に皮を閉じていない独特の小ぶりな餃子。赤だしの味噌汁と一緒にたいらげれば、その日の午後は、満ち足りた気分になれた。雑誌の編集部を離れてからも、昼頃に神保町界隈に来る用事がある時は、たいていスヰートポーヅでおひるを食べるようにしていた。

そのスヰートポーヅが、閉店することになったという。コロナ禍の影響か、それ以外に理由があるのかは、わからない。あの店は、あの佇まいで、ずっと変わらずにあそこにあるのだと、どこかで思い込んでいた。でも、変わらないものなど、どこにもないのだろうな。新型コロナウイルスは、日本中の至るところで、それを無慈悲に炙り出している。

嗚呼、残念だ。せめてもう一度、餃子中皿定食、食べたかった。

身構えてしまう

午前中、池袋へ。ジュンク堂書店池袋本店で今日から始まる、『冬の旅 ザンスカール、最果ての谷へ』刊行記念写真展の設営のお手伝いに。設営作業自体は1時間ほどで終わった。スペースや予算など、いろいろ制約のある中で、まずまず良い感じに展示できたのではないかと思う。

担当編集さんと別れ、麺屋武蔵二天でおひるを食べ、電車を乗り継いて、丸の内、神保町、新宿の書店をいくつか回る。『冬の旅』が店頭でどんな感じに置かれているかを確認して、版元にフィードバックするため、という大義名分はあるが、ぶっちゃけ、自分の本が店頭に並べられてるのを見ておきたかったからだった(苦笑)。

大きめの書店では今日はどこも『鬼滅の刃』最新刊を買いに来た人たちの行列ができていて、ソーシャル・ディスタンスを意識してる分、とても長い列になっていた。それ以外のフロアでも、平日の昼間の割には結構人が来ている。街の中も、池袋や新宿はいつもの数分の1だとは思うが、それでも大勢の人が行き来していた。

電車に乗って都心に出て、大きなターミナル駅を利用したのは、ずいぶんひさしぶりだったのだが、正直、疲れた(苦笑)。ラッシュアワーに比べれば列車内は全然がらがらだし、街にも人混みができているわけではないのだが、それでも、マスクを外したまま大声で携帯で話をしてるおっさんや、マスクをしないまま電車に乗ってきて菓子パンをかじってるにーちゃんなどを見かけると、やっぱり身構えてしまうし、可能ならしっかり距離を取って迂回してしまう。今のこの状況では、都心に出かけたところで、気晴らしになるどころか、逆に気疲れしてしまう、と思った。

いつまで続くんだろうなあ、この状況は。

週末の平日感

昨日はシネスイッチ銀座で映画を見るため、ひさしぶりに銀座に行った。

人が少ない。駅も歩道も、すいすい歩ける。百貨店の中も、すっかすかだ。いつもは行列の千疋屋のパーラーにも並ばずにすんなり入れた。週末のはずなのに、まるで平日に銀座に来たみたいな感じだった。

新型肺炎の影響で、中国人を中心とした外国人観光客が激減して、日本人も「無理に出歩かなくてもいいか」という心理になっているのだろう。しかし週末であの状況では、街で商売をしている人たちは、大変だと思う。百貨店や商店は売り上げガタ落ちだろうし、人が集まる飲食店もなんとなく敬遠されるだろうし。

2020年は、世の中が、いろいろしんどいことになりそうな予感がする。

プロの仕事

昨日の夜は、荻窪の中華料理店、潮州へ。

かつて阿佐ヶ谷にあった頃から、潮州は、僕にとって、人生で一番おいしい中華料理を味わえる店だった。その潮州の料理長の馬さんが、ご家庭の事情で、今月いっぱいで店を離れられることになった。なので、相方と二人、今月最後の週末に、ぎりぎりすべり込みでお邪魔した次第。

XO醬。ピータン豆腐。エビマヨ。酢豚。レタスチャーハン。何というか、ほんまもんのプロの仕事を、一皿々々、いただいたような気がした。この一皿を作るのに、どれだけの修練と努力と集中力と気配りと、そして、まごころを、込めているのだろう。料理に限らず、プロとして仕事を残していくのであれば、かくあるべし、という姿を見せていただいたような、そんな気持ちになった。

おいしさに感動するだけでなく、勇気を奮い立たせてもらえるような料理は、めったにない。ごちそうさまでした。ありがとうございました。