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つながりを保つもの

昼、取材のため外出。中央線で八王子まで行き、そこから横浜線に乗り換えて、矢部という駅へ。ひさしぶりに、大学案件の取材。

本来なら今はインドにいるはずだったので、仕事関係の方々には2月の段階でその旨を伝えて、取材などの依頼はあらかじめお断りしておいた。今の時期、特に大学案件は忙しいはずなのに、こっちの都合で2週間留守にするというので、ずいぶん迷惑をかけたはずだ。

それなのに、インド取材がキャンセルになった後、そのことをメールで知らせると、大学案件の主任さんは「そんな時に乗っかるのは恐縮なところですが、取材、ありますよ!」とすぐに返事を送ってきてくれた。つながりというのはありがたいものだなあ、とこんな時だからこそ思う。

そういう仕事のつながりも、ほったらかしにしていたら、いつかは錆びてちぎれてしまう。それを保つものは、たとえ地味でも質のいい仕事を、一つひとつ、丁寧に積み重ねていくことでしかない。

下北沢に還元

昨日の夜は、下北沢にある書店B&Bでの「撮り・旅!」と「エスニックファッション シーズンブック」に出演させていただいた。今回のイベント、オンラインで申込段階で決済が発生するシステムだったので、直前までかなり予約が低調だったのだが、当日予約なしで直接お店に来た人がたくさんいて、開始時間になってみると、大入満員の大盛況。相当心臓に悪い展開だったが、お店のペイラインも余裕で超えてくれたので、ほっとした。

トーク自体も、eTHno loversのみなさんは会場を華やかに楽しく盛り上げてくださったし、旅音の林さんは写真もトークも抜群の安定感だったので、僕自身はかなり楽な気分で話をさせていただけたと思う。全体的には、まずまずうまくいったんじゃないだろうか。会場のお客さんたちにも、楽しんでいただけていたらいいのだけれど。

撤収が終わった後は、会場のすぐ近くの中華居酒屋で、10人くらいでのささやかな打ち上げ。B&Bさんから僕たちにいただいた出演料は、そのままきれいに飲み代に使わせていただいた(笑)。下北沢にそのまま還元できて、まあ、よかったかな。

ものものしさ

昼、吉祥寺から井の頭線で渋谷へ。マメヒコでコーヒーを飲み(海外取材前で家のコーヒー豆を切らしてるからありがたい)、本屋やタワレコをひやかし、キーンの直営店でトレッキングシューズを二年ぶりに新調した。よく晴れた日で、風もなく、のんびり散歩するにはうってつけの冬の日だった。

ただ、今日の渋谷・原宿界隈は、いつになくものものしい雰囲気だった。街角の至るところに、プロテクターに身を固めた警察官が大勢待機していて、道端には警察車両がずらり。バリケード用の折り畳み式の柵が用意されている場所もあった。その時はなぜかよくわからなかったのだが、あとで調べると、今日はこの界隈で天皇制に反対する団体のデモがあり、それにまた反対する人たちが集まってきて、かなり険悪な雰囲気になっていたようだ。

誰かを不当に貶めたり迷惑をかけたりするのでなければ、どんな思想を持とうと、それは人それぞれなのかもしれない。でも、こんなうららかな天気の日に、あんなに大勢の警察官が出動しなければ抑えきれないような人と人とのぶつかりあい、傷つけあいが起こりかねない今の日本の雰囲気は、やっぱりどこかおかしいと思う。

たとえ自分自身が正しいと信じ切ってることでも、それを他の人に伝えるやり方までもが正しいかどうか、誰かを不用意に傷つけたりしないかどうか、立ち止まって考えてみるべきじゃないだろうか。大きな声を張り上げなくても、拳を振り上げなくても、伝えられることはちゃんとある。

根掘り葉掘り

疲れてたからか、昼過ぎまで前後不覚に寝た。もそもそと起き出し、少し仕事をして、夕方、いくつかの用事を片付けに外へ。

吉祥寺でプリンタのインクを買った後、晩飯にカレーを食べようと思って、店に入る。席についてポークカレーを注文し、運ばれてきたのをさて食べようかという時、隣のテーブルにおばさんが一人やってきた。

そのおばさんはこの店が初めてらしく、メニューを開いて店員さんを呼び止め、いろいろ質問しはじめた。野菜カレーにはどんな野菜がどれくらい入っているのか、豆カレーには豆以外にどんな野菜が入っていてその割合はどうなのか、チキンカレーにはチキン以外に具は入っているのか、チキンとポークとビーフではどれが一番おいしいのか、スペシャルカレーにはどんな具がどういう割合で入っているのか‥‥。しまいには、それぞれの肉の産地まで。

まあ、世の中にはこういう人もいるのだろうな。あらゆる不安要素を排除しないと、どうにも気になって仕方がないという人が。根掘り葉掘り聞かれてる間、ずっとその席に釘付けにされていた店員さんが気の毒だったけど(でも笑顔で感じよく応対してた、スバラシイ)。

そのおばさんが注文を決めるまでの間に、僕はすっかり自分のポークカレーを食べ終えてしまった。

笑顔の撮り方

終日、部屋で仕事。あちらこちらとの連絡業務のかたわら、来月下旬の下北沢B&Bのトークイベントで使うスライドや自分用の台本の準備など。

今回のトークイベントのテーマとして提案されたのが、「笑顔の撮り方」。あらためて思いを巡らせてみると、正直、ちょっと困ってしまった。なぜかというと、僕の場合、誰かの笑顔を撮ろうと思って写真を撮った経験が、たぶん一度もないのである。笑顔を撮ろうと意識したことのない僕が、笑顔の撮り方についてまともなことを語れるとは思えない。どうしよう。

じゃあ、いつもどんな風にして撮ってるんだと言われると、これまた言語化しづらいというか、ハァ?と思われるようなことしか話せない気がする‥‥。仕方ない。正直に、たどたどしく話すしかないか。