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清澄白河で深川めし

先週の土曜は、夜から渋谷で「タレンタイム」を観る前に、清澄白河のあたりを少し散歩した。

清澄白河の駅で降りたのは、たぶん初めてだと思う。まったく土地勘もイメージもなかったのだが、背の高い建物があまりなくて、空が広々と見えるなあ、というのが第一印象。昭和の頃の雰囲気を残す街並には、どこかしらモダンな香りも漂っている。少し前にオープンしたブルーボトルコーヒーは、清澄白河の名を世間に知らしめるきっかけになったが、それ以外にも感じのいいコーヒー豆の焙煎屋さんが、この街にはあちこちにある。ベーカリー、洋菓子店、ワイナリー、ビアバー。古い建物をうまく改装して造られた、新しめの店も結構多い。

映画を観る前の腹ごしらえに、たまたま通りがかった深川釜匠という店に入って、深川めしを食べる。深川めしには、アサリやネギを煮込んだものの汁かけごはんタイプのものと、アサリの炊き込みごはんタイプのものがあるそうだが、この日食べたのは炊き込みごはんタイプ。「うそっ?!」というくらい大量のアサリが混ぜ込まれている。ボリュームたっぷりだけど、あっさりしていて、とてもうまかった。卓上に無造作に置かれているサランラップの箱が謎だったのだが、聞くと、深川めしを食べ切れなかった人が、余った分をラップに包んで持ち帰れるようにしているそうだ。

知らない街を歩くのは、やっぱり面白い。今度来る時は、汁かけごはんタイプの深川めしも試してみたいな。

アトレやディラよりも優先すべきこと

午後、八王子で大学案件の取材。駅からさらにバスで移動した場所だったので、何気に遠かった。帰りに煮干しラーメンを食べ、中央線で帰路につく。

武蔵小金井駅だったか、発車しかけた電車が急停止した。人身事故だろうか、と不穏な想像が頭をよぎったが、反対側の空のプラットフォームから誰かが線路に転落した、とのアナウンス。何が原因だったのかはわからないし、怪我されていたかもしれないが、とりあえず、ほっと安堵する。

ここ何年かの間に、中央線の各駅は、一つの設計図をコピー&ペーストしたかのように、どこもかしこも同じような佇まいになり、アトレやディラという名前の同じような商業施設がくっつく形になってきている。それはそれで別に悪くはない(かといって別に良くもない)が、そういう駅や商業施設の改装よりも先に、各駅のプラットフォームにホームドアを設置するのを優先すべきではないだろうか。中央線は昔から、人身事故や飛び込み自殺の多い路線だ。ホームドアがあるだけで、どれだけの命が失われるのを食い止められることか。

最近では、列車の1両あたりのドアの数が異なっても対応できるような新しいタイプのホームドアも登場しつつある。商業施設よりも何よりも、まずは人命を守ってほしい。

初夏の土曜日

昨日は梅雨っぽい天気だったが、今日は昼から晴れて、風も吹いて爽やかな日になった。

午後、広尾で昨日から始まった吉田亮人さんの写真展へ。今日は会場で吉田さんと石井ゆかりさんとの対談があるとのことで、すべり込みで拝見させてもらった。先日のKYOTOGRAPHIEで吉田さんが発表した「Falling Leaves」の制作過程の話も。写真家をやめようと思ったほど悩み抜いた末、写真家として、人としての原点と、これからの道を見出した吉田さん。大きな一歩を踏み出されたのだな、と思う。

その後、神保町に移動して、スヰートポーヅで餃子中皿定食をたいらげ、少し書店街をぶらつき、夕方から岩波ホールでチベット映画「草原の河」を観る。山あり谷ありの大感動作とかではないけれど、静かで、しみじみ、じんわりとくる映画だった。標高の高い場所が、少し恋しくなった。

……まあ、あと1カ月後には、行くんだけども。そう考えると、それはそれで、何だか茫然としてしまう。

だし巻き卵、そしてインディア

一昨日の夜は、ラダックのツアーでお世話になっているGNHトラベル&サービスの事務所で飲み会。三井昌志さん、小林尚礼さん、藤木ケンタさん、中田浩資さんという錚々たる顔ぶれ。今回の宴は、中田さんが得意料理のだし巻き卵をひたすら焼きまくって、皆にふるまうという趣向だった。大葉とじゃこ入り、まるごと明太子入り、穴子入り、そしてプレーンなだし巻き卵。中田さんの手際はどれもお見事で、ふわっふわのだし巻き卵は本当においしかった。ごちそうさまでした。

そして昨日は、日本橋で開催されたインド関連本の販売イベントと、矢萩多聞さんたちが出演するトークイベント「ぽかーんインディア」へ。4人の出演者がそれぞれインドにまつわる「ぽかーんとした話」をするイベントだったのだが、面白かった〜。特に多聞さんの「イングリッシュティーチャー」の話は、個人的に強烈にツボに入った。インドという国、本当に底が知れない……。

二日続けて、たくさん笑うことができて、なんだか気分がせいせいとしている。

雲の爆発

今日は昼過ぎ頃から不穏な天気で、都内ではあちこちで、いわゆるゲリラ豪雨が降ったらしい。家で仕事しながら時折アメッシュを見ていると、見事なくらい赤黒い(=降水量が多い)パターンが、上空をまだらに蠢いていた。

ゲリラ豪雨の直訳になるのかわからないが、集中豪雨のことを英語ではCloudburst、「雲の爆発」と呼ぶそうだ。僕がこの単語を知ったのは、2010年夏のラダック。深夜に突然発生した集中豪雨で、ラダック全土で約600名もの死者・行方不明者が出た災害の時だった。僕自身、山中でのトレッキングからほうほうのていでレーに帰り着き、街の中に貼られていた新聞の切り抜きの見出しを見て、この単語の意味するところを知った。Cloudburstという言葉は、たぶん、ずっと忘れられないだろう。

今日の東京みたいなゲリラ豪雨が、もしラダックで降ったら、家の何軒かは流されてしまっているかもしれない。草木の乏しい剥き出しの大地は、雨に対しては本当に脆い。ラダックを取り巻く自然の怖ろしさには、そういう側面もある。