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一山越えて

先週土曜は、モンベル御徒町店での「LADAKH LADAKH」刊行記念トークイベント。司会進行役を務めさせてもらったのだが、はたしてうまくいったのだろうか……その判断はお客さんに委ねるしかないけれど。個人的には、イベントの最後におまけで流させてもらった、自分の写真のスライド動画(この間、冬のラダックで撮ってきた写真)の時が、一番緊張した。最後の最後で、場がしらけてしまわないかと心配で心配で(苦笑)。

終了後、神田の居酒屋で関係者だけでの打ち上げ。そこでIPAビールをしこたま飲み、二次会は角田明子さんのスタジオで、朝までコース(苦笑)。ひさびさにやらかしてしまった……二日酔いにならなかったのが奇跡なくらい。まあでも、愉しかったなあ。出演者と関係者の方々にも喜んでもらえて、よかったと思う。

……と、いつもの年なら、ここでめでたしめでたしというところなのだが、今年は違う。5月は中旬に大阪でまたイベントがあるし、その後は吉祥寺で写真展もある。一山、越えはしたけれど、まだまだ先がある。がんばらねば。

自分に甘々

昨日は、自宅で使う食器や日用品をいくつか探しに、ひさしぶりに九品仏のD&DEPARTMENTへ。併設のカフェでおひるを食べようと思って、ステーキランチとグラスビールを注文。昼から至福すぎる時間。

必要な日用品の買い出しを首尾よく終え、帰りに自由が丘に寄り道して、ぶらぶらしてるうちに見つけたAlpha Beta Coffee Clubというカフェでコーヒーを飲みつつ休憩。開放感のあるいい雰囲気のカフェで、珍しめのクラフトビールもあったので、自由が丘に来たらまた寄りたいと思った。

夕方からは、吉祥寺の李朝園で焼肉三昧。自分の企画した本が校了したら、関係者打ち上げとかとは別に「肉」を食べに行くことにしてるのだが、この間「LADAKH LADAKH」が校了したので、それで。カルビとか、厚切りヒレ肉とか、特上リブロースとか。しみじみうまかった。また一冊、仕上げることができたんだな、という。

で、その後は同じ吉祥寺のウィグタウンに流れて、IPAビールをパイントで、オーバンをロックで。最初から最後まで、自分に甘々な一日。まあ、たまにはよかろうて。

「クマみたいな」の不可解

午後、新宿へ。とある雑誌の企画で取材を受けることになったので、その収録。収録場所に指定された喫茶店に行ってみると、結構店内が広くて、しかもほとんど満席。これは相手の取材チームを探し出すのに苦労するかも、とちょっと焦る。連絡をくれた担当編集の方は「姿をお見かけすればお互いすぐわかると思います」とメールに書いてくれていたのだが。

幸い、インタビュアーの方をこちらが一方的に存じ上げてはいたので、どうにか取材チームのテーブルを発見。初めてお会いした担当編集の方が開口一番、「もっとクマみたいな、ごつい感じの人かと思ってました……」と。はい、また出ました、初対面の方からのこの類のコメント。2019年はこれが最初になるか。

今まで何度かブログにも書いているが、どうも僕は、初対面の人から「クマみたいなごつい感じの人かと思ってたけど、全然違いますね」というコメントをもらうことが多い。まじで、年に5、6回は言われてるんじゃないかと思う。しかも、かなりの高確率で「クマみたいな」という形容詞がつく。いったい僕に関する物事の何がどんな風に作用して、「クマみたいな」イメージを人々の脳内に構築させているのだろうか。とんと心当たりがないのだが。

謎だ。謎すぎる。

冬の影

一年ぶりに、陣馬山から高尾山までの尾根道を歩いてきた。去年は風が強くて結構寒かった記憶があったので、しっかり着込んだ上にザックにはインナーダウンとアウターシェルを詰め込んでおいたのだが、今日は風はほとんどなく、時間が経つにつれ気温もぐんぐん上がって、15℃くらいにまでなった。おかげでラクに歩けたが、ぴりぴりと頬を切るような風を期待していたので、ちょっと物足りなかった気もする(笑)。

年末年始の不摂生のせいか、今日は身体がかなり重く感じた。ひさしぶりの山行だからか、足さばきもいまいち思うようにいかない。こういう時はペースをおとなしめにキープして、じっくりと慎重に足を運ぶように意識する。すると、だんだん山歩きでの足さばきの感覚が甦って、調子が戻ってきた。トータルでは、約6時間。去年は5時間半くらいだったはずだが、気持ちスローペースで休憩もやや長めだったので、こんなところだろう。

朝の早い時間帯にこの尾根道を歩く時、冬の日差しが足元に木々の影を落とすのが好きだ。立ち止まって写真を撮っていたら、山歩き慣れしていそうな父親と男の子が、仲良くおしゃべりしながら僕を追い越していった。

iPhoneを忘れる

午前中のうちに仕事がかなりはかどったので、昼に少し外出。用事を片付けるため、吉祥寺に行く。三鷹で住んでいた部屋は駅から徒歩15分の場所だったが、今の西荻窪の部屋は駅から歩いて5分もかからない。運動不足を補うべく、今日は吉祥寺まで歩いて行くことにした。

歩きはじめて10分ほど経って、新着メールをチェックしておこうと思ってショルダーバッグの中を探ると、iPhoneがない。折り畳み傘やエコバッグ、スーパーでの買い出しのメモ、読みさしの文庫本は入れておいたのに、iPhoneだけうっかり忘れてきたらしい。一瞬、家まで取りに戻ろうかと考えたが、いや、今日は仕事関係で切羽詰まった連絡が来る可能性は低いし、と思い直し、そのまま歩き続けた。

iPhoneを持たずに外を歩いていると、普段の自分の行動が、いつのまにか、思っていた以上にiPhoneに依存する形になっていることに気付く。空模様が微妙なら天気予報アプリやアメッシュを見るし、道順に迷ったらGoogle Mapを見る。信号待ちとかのほんのわずかな時間でも、新着メールをチェックしたり、FacebookやTwitterをちまちまと辿ったり、何歩歩いたかを万歩計アプリで見たりする。でも今日は、どれも見られない。うっすら不安にはなりつつも、その分、てくてく歩きながら、ゆっくりいろんな考えごとをすることができた。

テクノロジーを活用するのはけっして悪いことではないけれど、日々の暮らしのほんのちょっとした隙間までデジタルのかけらで埋め尽くしてしまうのは、何だかとてもせわしないことのようにも思える。たまには忘れてみるか、iPhoneを。