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消臭スプレー

昼、近所のフレッシュネスバーガーで、豆腐バーガーとコーヒーをおひるに食べていた時のこと。

隣の席に、昼休み中らしい二人組の女性が坐っていた。二人は煙草をふかしながらしばらく話を続けていたが、職場に戻る時間になったのか、席を立つ支度をしはじめた。で、びっくりしたのは、煙草の臭いを消すための消臭スプレーのようなものを取り出して、その場で、プシューッ! とそれぞれの髪に噴射したこと。周囲に広がる、人工的なお花畑の臭い。迷惑千万なデオドラント効果で、僕が飲んでいたコーヒーの香りはだいなしにされてしまった。まさか、飲食店の中でスプレーを噴射するなんて‥‥。常識以前の問題だと思うけど。

もし、それをしたら、周囲の人はどう感じるか。自分がしたいことをする前に人の気持を思いやる想像力が欠落した人が、最近とみに多いような気がする。

タイガーマスク現象

昼、近所のコンビニで、2月3日(木)にユーロスペースで開催される「カサヴェテス・メモリアルナイト」のチケットを買う。2011年の今になって、ジョン・カサヴェテスの姿をスクリーンで目にすることができるとは‥‥。尊敬する元編集者の方が企画したイベントだし、今から楽しみだ。

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最近、巷で話題のタイガーマスク現象。最初の「伊達直人」の善意ある行動(がマスコミにやたらめったら取り上げられたこと)によって、国内の児童養護施設が直面している現状に注目が集まっているのは、とてもいいことだと思う。ただ、そこからの連鎖反応で、大勢の「伊達直人」から児童養護施設などに次々とプレゼントが送られているというのは‥‥ちょっと冷静になった方がいいのでは、と思わなくもない。

去年の夏にラダックで洪水が起こって、大勢のラダック人が家や畑を失った時、インドの国内外からたくさんの支援物資がラダックに送り届けられた。もちろん、それらによって多くの被災者が救われたことは間違いない。でも中には、現地の被災者が必要としているものとはかなりズレた支援物資もあった。どこに置けばいいのか途方に暮れるほど大量のペットボトル入りの水とか(現地で活躍していたのは水を濾過する機械)、冬の厳しい寒さを凌ぐにはあまりにも薄すぎる毛布や衣服とか‥‥。その原因は、被災者が何を必要をしているのかということについて、外部の支援者と現地で支援活動を行っている団体との間で、意思疎通がうまくいっていなかったからだった。

社会的に弱い立場の人を善意で支援しようとするのは素晴らしい行為だ。でも、事前に何の連絡もなしに匿名でプレゼントを送るより、その人たちが今何を必要としているのかを聞いてからプレゼントや寄付をする方が、はるかに喜ばれるし、実際に役立ててもらえるはずだ。せっかくの善意がズレた押し付けになってしまわないように、ひと呼吸空けた方がいいんじゃないかと思う。

法の下で

終日、部屋で仕事。先週取材した案件の原稿を書く。明後日はまた取材だから、今のうちに進められるだけ進めておかなければ。

テレビでは、尖閣諸島沖の漁船衝突事件の映像を「自分が流出させた」と名乗り出た神戸の海上保安官の話題でもちきり。世間では「彼を逮捕すべきではない」という人も多いようだが、僕は必ずしもそうは思わない。中国と違って、日本は法治国家だ。動機は何であれ、彼は国家公務員法の守秘義務違反をした疑いがある(件の映像が国家機密にあたるかどうかは判断が分かれると思うけど)。彼のしたことが正しかったのか、それとも間違っていたのかは、法廷できちんと裁かれるべきだ。自ら名乗り出た以上、彼も自分が有罪になるかもしれないことは覚悟しているだろう。

そしてその法廷では、尖閣諸島沖でどんな事態が起こったのか、それを民主党政権がどんな手段でうやむやにしようとしたのか、そういったことも全部詳らかにされるべきだ。すべてを法の下で明らかにしてこそ、なぜ中国船の船長が超法規的措置で釈放される一方で、この海上保安官が罪に問われなければならないのか、そのいびつさが浮かび上がってくると思う。

まあ、仙谷官房長官は「彼は国家機密を流出させた!」とか息巻いているらしいけど、流出と同じ日にテレビ各局で放映されまくっちゃうような国家機密って、どれほどのもんなの? と思わずにいられない(笑)。