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疎開について思うこと

近頃、巷では「疎開」という言葉がよく使われている。依然予断を許さない状況が続く福島第一原発や、未だに時折発生する余震、計画停電や物資の不足などに不安を感じて、東京から西日本に疎開する人が増えているのだという。

個人的には、今の東京の状況は、あわてて逃げ出さなければならないほどの非常事態とはどうしても思えないのだが、疎開をすること自体は、別に周囲に引け目を感じる行為でも何でもないと思う。実際に危険かどうかは別として、東京から離れることで精神的な安定を得られるのであれば、そうした方がいい。特に、幼い子供を家族に持つ方は、子供の心のケアのためにも、考慮していい選択肢だと思う。

でも、そうして疎開をする人には、絶対に忘れてほしくないことがある。こうしている今も、地震に見舞われた被災地の避難所には、逃げたくても逃げられない状況で、飢えや寒さに耐えながら、それでも必死に生きようとしている人たちがいるということを。

僕は東京で暮らしながら、今の自分にできることをやっていく。

課せられた不自由の中で

東北関東大震災が起こってから、一週間が過ぎた。被災地の状況は依然として深刻だ。今は一人でも多くの人が救出されて、安全な場所に避難されることを祈るしかない。郵便局で募金くらいしかできない自分が、つくづく歯がゆい。

ラダックのブログでも書いたのだが、今、被災地でない安全な場所で暮らしている人たちができるのは、「課せられた不自由の中で、できるだけいつも通りに生活すること」なのではないかと思う。死者を悼む気持は大切だし、被災者の方々を常に思いやることも忘れてはならない。でも、必要以上に不安にかられて縮こまっていては、心がかちこちにこわばって、そのうちぽきりと折れてしまう。これから被災者の方々を支えていかなければならない側の人たちが、そんな状態では話にならない。

計画停電や交通網の乱れ、買い占め(苦笑)による物資やガソリンの不足などは、被災地に比べればちゃんちゃらおかしいレベルの不自由だ。そうして課せられた不自由の中で、家族や友達と話し合ったり、遊んだり、一緒にごはんを食べたりして、できるだけいつもと同じように暮らす。そうすればきっと、気持がふっと和らいで、他人を支える余裕も出てくる。

僕自身、そうした日常の大切さを、今、あらためて噛みしめている。

Aside

東北関東大震災の被災者を支援するため、日本赤十字社が義援金の受付を開始している。現時点では、一般の方が被災者の方々を支援するのに一番確実な方法なので、ご協力をお願いします。

義援金窓口1 郵便局・ゆうちょ銀行
口座記号番号 00140-8-507
口座加入者名 日本赤十字社 東北関東大震災義援金
取扱期間 平成23年3月14日(月)~平成23年9月30日(金)
※郵便局窓口での取り扱いの場合、振替手数料は免除されます。
※郵便窓口でお受取りいただきました半券(受領証)は、大切に保管してください。
※通信欄にお名前、ご住所、お電話番号を記載してください。

義援金窓口2 クレジットカード・コンビニエンスストア・Pay-easy
詳細はこちら
※「寄付目的」の選択項目で、義援金名を指定してください。
※寄付金額は、2,000円以上から受け付けています。

担当窓口
日本赤十字社 東北関東大震災義援金担当
Tel: 03-3437-7081  E-mail: info@jrc.or.jp

ひと声かける

朝、偵察がてら、近所の大型スーパーへ。

開店間もない時間なのに、すごい人の数。野菜は普通にあるが、保存食になりそうなものは軒並み売り切れ。その一方で、冷凍食品はたくさん残っている。みんな、計画停電にかなりナーバスになっているのだろう。この季節なら、停電中に冷蔵庫を開け閉めさえしなければ、そんなに食品へのダメージはないのだが。キャベツ半分とブロッコリー、牛乳などを調達。

たくさんあるレジの前には、どこも長い行列ができていた。店内アナウンスは、交通網の混乱の影響で通常の六割の数のスタッフしかいない、と申し訳なさそうに告げていた。僕が並んでいる列のレジでは、併設のベーカリーショップから来た若い男性スタッフが、本業ではないレジ業務を必死になってこなしていた。僕の後ろのおばちゃん二人は、「変なレジに並んじゃったわねえ」と、心ないことをしゃべっていたけど‥‥。

僕の会計の順番が来て、ベーカリーショップの男性がおつりを渡そうとした時、僕は「がんばって!」と声をかけた。すると、憔悴していた彼の表情がパッと輝いて、「ありがとうございます!」と答えてくれた。

たったひとことのやりとり。でも、そういう些細なことでも、僕たちは気持を分け合える。

スーパーにかぎらず、飲食店や商店でも、交通網やライフラインの混乱に翻弄されながら、お客さんに笑顔を見せてくれている人がたくさんいる。そういう人たちに、僕たちからも「がんばって!」とひと声かけるようにしたら、きっとがんばれるのではないかと思う。お互いに。

停電に備えて

昨日の夜は、自分でもびっくりするほど、ぐっすり眠れた。外を歩いていても、街はすっかり平静を取り戻したかのように思える。お店はどこも開いているし、電車も時刻通りに運行していたし。

でも、明日から関東一帯では、電力の供給不足に伴って、計画停電が実施されることになった。各地域で、時間帯別に一日三時間ほど停電になるそうだ。明日は多分、いろんな面で、相当な混乱をきたすのではないかと思う。せめて、停電になる時間があらかじめきっちりわかっていればいいのだが‥‥。

僕の家では、いつも集中して仕事をしている時間帯のど真ん中で停電するので、その時はネットも使えないし、読書でもするしかないかな、と思っている。場合によっては、日が暮れてから停電になる地域もあるかもしれないが、当面、ろうそくは使わない方がいい。余震でろうそくが倒れると、火事につながるので。

もし夜に停電してしまった場合、周囲に話し相手になる人がいないと、たぶん、ものすごくヒマになると思う。そんな時はiPodを用意しておいて、音楽でも聴こう。僕が以前ラダックで暮らしていた時、停電は日常茶飯事で、丸一日電気が来ない日もざらだったのだが、iPodは暗闇の夜を過ごす時の良き友だった。

今度の計画停電がどのくらいの期間続くのかはわからないけど、まずはやってみるしかない。