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同じような街ばかり

午後、市ヶ谷で取材。カメラマンさんが警察の検問で怪しまれて、開始時間ギリギリになってようやく到着するというハプニング未遂があったが、取材自体は滞りなく、順調。しかし、オバマが来日するといろいろ大変だ(苦笑)。

帰りの電車で、一つ手前の吉祥寺で下車。確か昨日オープンしたという、新しい駅ビル「キラリナ」をちょっと覗こうと思ったのだが‥‥文字通り、足の踏み場もないくらいの大混雑。ちょろっと通り抜けただけで、早々に退散。

しかし思うのだが‥‥最近、都内にある街並って、どこも同じような顔つきになってしまってる気がする。見た目そっくりのビルに、似たり寄ったりの雰囲気の店、よく見かける商品たち。「こうすれば人気が出る、こうすれば売れる」という風潮に、猫も杓子も右へならえという感じ。そういう街を歩いてても、わくわくしない。

たとえ地味でも、「よそはよそ、ウチはウチ」と、マイペースでやってる店が並んでる街の方が好きだな。

論理と熱意

午後、八王子で取材。三鷹から電車に乗ってすぐ、取材の開始時間が一時間ずれるという連絡が届く。間が悪いったらありゃしないが、仕方ない。八王子の駅前でしばらく時間をつぶす。

取材自体は、今日はまずまずうまくいったと思う。相手はものづくりについて教える立場の方々だったのだが、何かを作ること、それを教えることへの熱意と信念のようなものが、言葉の端々からびしびしと伝わってきた。そういう言葉は生きているし、力がある。ライターとしては書きがいのある取材になった。

以前、法律を教える立場の人が、法律を勉強すれば、プロの法律家にならなくても、社会のさまざまな場面で論理的で説得力のある言葉を操れるテクニックを身につけられる、という意味のことを言っていた。それも一理あるのかもしれないが、僕にはそれがあまり響かなかった。論理があれば、人は説得できるのかもしれない。でも、論理だけでは、本当の意味で人の心までは動かせない。心を動かすのは、熱意とか、信念とか、そういう形のない、でも誰の中にもあるはずのものではないだろうか。

結局、僕らはみんな、人間なのだから。

たまにはこんな日も

朝から夕方まで、大宮方面で取材。それなりに準備を整えて臨んだのだが、僕の役割の範囲外のところでいろいろあって、終始バタバタの状態。どれも、僕自身は何もできない部分なのだけれど、うーん‥‥もう少し何とかならなかったものか‥‥。

そんなこんなで、ちょっとやさぐれた気分で帰りの電車に乗っていると、池袋駅で埼京線が緊急停止。山手線に乗り換えたら駅間で緊急停止。何事かと思ったら、中野駅の総武線で人身事故が起こったらしい。詳しい事情は知る由もないが、新宿からは異常なくらいに激混みの中央線に乗り込むしかなく、身体をぺちゃんこにされながら、どうにか三鷹に帰り着いた。

ほんとにもう、今日はさんざんだった。それも、自分自身ではどうにもできないところばかりで。まあ、たまにはこんな日も‥‥と、すっぱり忘れて、気持を切り替えた方がいいのかな。

ヨッパライ

午後、綱島のポイントウェザーでインタビューの収録。夕方の閉店後も少しお邪魔して、よもやま話。

それからの帰り道、東横線の各駅停車に乗っていたら、中目黒のあたりで大人数のグループが乗ってきた。目黒川での花見の帰り道なのか、たいそうご機嫌で、車内でも大盛り上がり。まあ、それは別にいいのだが‥‥電車の中で、よろよろと突っ立ったまま酒盛りをするのは、さすがにやめてほしいと思った(苦笑)。何をとち狂ったか、細長いシャンパングラスで飲んでる女もいるし。

渋谷で山手線に乗り換えると、今度は車輪付きのトランクにまたがったまま、ゆらゆらしてる若い男の二人組がいる。電車が動いたひょうしに、危うく足をひかれそうになった。

まったく、どいつもこいつもいいかげんにしてくださいまし。

想像力

夕方、本屋に行ったついでに、駅前の揚げ物定食の店に入る。わかる人にはわかると思うが、そのチェーンの本社ビルの一階に入ってる店。味噌カツ定食を注文。

しばらくすると僕の分が運ばれてきたのだけれど、料理が載ってる黒いトレイが、およそ四分の一くらい、びっちょり濡れている。水滴がついてるというレベルではない。ただの水ならまだいいけど、お茶とかソースとかだったら嫌なので、通りがかった店員さんに聞く。

店員「あっ、これは‥‥水ですね。お取り替えしましょうか?」
僕「いや‥‥水ならいいです」
店員(手に持ってたテーブル拭きを見せて)「お拭きしましょうか?」
僕(かなりドン引きして)「いや、いいです」

何というか‥‥この間書いた、メールに返事を書かない編集者の件もそうだが、結局、想像力の問題なんだろうな、と思う。びっちょり濡れたトレイで料理を出されたら、相手がどう思うか。懇切丁寧にしたためて送られてきたメールを無視したら、送り主がどう思うか。そういうところを想像しようとするだけで、いろんなことがずっとうまく回るようになるのに。

自分自身、いろんな場面でそういう想像力を忘れないようにしようという、戒めも込めて。