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あなごの日

土用の丑の日が近づくこの季節になると、何とはなしに、うなぎとか食べたいなあ、という気分になる。

しかし、うなぎは去年あたりからやたら値上がりしているし、そんな中でうっかり中途半端なのを食べてがっかりしたくもない。だったら、うなぎじゃなくて、あなごを食べに行こうか、と思い立つ。

今日行ったのは、知り合いづてでたまたま知った、日本橋にある老舗のあなご専門店。考えることはみな同じのようで、前の日に予約しておかなければ入れないほどの盛況ぶり。カウンターで冷酒をすすりつつ、あなごの白焼きと、う巻きならぬ、あ巻き(あなご入りの卵焼き)をいただく。メインはもちろん、あなごの箱めし。焼いたのと煮たのを両方のせる「あいのせ」で。見た目からはうなぎのようにこってり濃厚に見えるけど、口にしてみると、思いのほかあっさりと、でもあなごの味はしっかりしていて、とても食べやすい。最後はあなごのだし汁でお茶漬けにして、さらさらと。

すっかり満足して家に戻り、このブログを書く前に何の気なしにネットで検索してみると、昨日七月五日は「あなごの日」なのだという。あまりにもタイムリーで、ちょっとびっくり(笑)。来年もまた、あなごを食べに行こうかな。

anagohakomeshi

野菜の恵み

終日、部屋で仕事。「撮り・旅!」の色校正の修正指示の取りまとめと、一昨日の取材の原稿執筆。夕方までに、どうにかメドがつく。

午後、実家から荷物が届いた。畑で穫れた夏野菜が詰まっている。太陽の光をめいっぱい浴びて育った野菜たちは、手に取ると何だか福々としていて、これでうまくないわけがない、と思えてしまう。夕食にはさっそく、ナスとズッキーニとピーマンを使ったラタトゥイユと、刻んでゆでたモロヘイヤと納豆の和え物を作った。熱々のラタトゥイユを頬張っていると、じわっ、と汗が出てくる。

以前、大学の取材の仕事で聞いた話だが、植物が行っている光合成の仕組みをすべて人工的に再現することは、あまりにも複雑すぎて無理だろうと考えられているそうだ。今の人類の叡智を結集しても、その辺に生えてる草一本と同じ仕組みさえ再現できないのだという。

そう考えると、野菜ってのはすごい恵みなんだな、と思う。ありがたくいただきます。

お鉢が回る

午後、南大沢で取材。大学案件では三、四週間ぶりくらい。

六月に入ってから今回までの間にも何件か取材はあったそうなのだが、それには依頼元が新しく契約したライターさんを起用していたそうだ。今日は最先端系のややこしめのテーマの取材だったので、僕にお鉢が回ってきたらしい。いや、何度も言うけど、僕もコテコテの文系なのだが(苦笑)。

苦労しつつもどうにか原稿四本分の取材を終え、片道一時間の電車に揺られて帰路につく。吉祥寺で降りて、リトルスパイスでアジアンレッドカレー。辛味で火照った首筋に、夕方の風が気持いい。

夏至を過ぎて、一年も折り返し。あっという間だな。

三鷹の雹

昼を過ぎてしばらくした頃、部屋の窓から外を見ると、空が真っ暗。遠雷が次第に近づいてきて、雨粒が窓ガラスや外の生け垣を激しく叩きはじめた。

それでもまあ、夏によく降る夕立のようなものかなと思っていたし、実際1、2時間ほどで小止みになったのだが、ネットで流れてきたニュースを見て、驚いた。うちからほんの少し南、三鷹から調布にかけての一帯で、大粒の雹が降りまくって、あたり一面が銀世界になるほど積もってしまったのだという。その気になればすぐ歩いていけるくらいの距離なのに、何という落差だ。

心配なのは、あのあたり一帯の農地で栽培されている野菜や果物。かなりのダメージを受けているのは想像に難くない。よりによって、なぜそこに‥‥。自然は時に、残酷な仕打ちをする。

オカヒジキの処遇

この季節になると、実家から季節の野菜の一つとして、オカヒジキが送られてくる。

初めてこの野菜を見た時は、「‥‥草じゃん!」という印象。どうやって食えばいいのかわからなくて、実家に電話した記憶がある。おひたしやサラダにして食べてみると、それ自体に味らしい味があるわけではないが、歯ごたえはシャキシャキとして心地いい。ただ、ひたすらシャキシャキ食べ続けてると、やっぱりそのうち飽きてくる。

だったら、その生命線である食感に変化をつければいいのでは、と、最近はエリンギと組み合わせることが多くなった。フライパンでオリーブオイルをニンニクとともに熱し、ベーコンとエリンギを炒め、刻んだオカヒジキを投入してさっと炒めて、最後に醤油と塩こしょう。オカヒジキのシャキシャキと、エリンギのコリコリした食感が交互に味わえるので、食べていても結構楽しい。オカヒジキの処遇としては、個人的には一番おすすめ。

それ自体の味に特徴はないけど、他の食材と組み合わせることで初めて存在価値が出る野菜。何だか、自分に似てるなあ、と思った。