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冬至快楽

午後、近所の理髪店で、今年最後の散髪。

年末年始の予定を聞かれたので、「実家の人間たちと2、3日過ごした後、1月9日の夜から、2週間ほどラオスに行きます」と言うと、「出発まであと3週間もないじゃないですか」と返され、ちょっと愕然とする。そうか、もうそんなに近づいていたのか、出発の日が。

散髪を終えて外に出ると、まだ5時にもならないというのに、あたりはすっかり薄暗い。茜色の光が、西の空を染めている。そういえば、今日は冬至だった。時の経つのが早すぎて、やるべきことが何一つ追いついていないような気がしてくる。

まあ、焦っても、しょうがないけど。

まずはかっぱ巻き

昨日は、僕や関さんがガイドを務めているツアーを催行している旅行会社さんのオフィスで、忘年会。何人かの写真家さんたちも集まって、わいわいとにぎやかに、たくさん飲んで、たくさん笑った。

この間、関さんが名取洋之介写真賞を受賞したということで、旅行会社さんはそのお祝いも兼ねて、回らない寿司屋から握り寿司の大皿を用意してくれていた。トロ、赤身、ウニ、イクラ、ホタテ、エビ。華やかな握りが、ずらりと並んでいる。

「じゃあ、まずは関さんからどうぞ!」と僕たちが言うと、「あ、ありがとうございます! じゃあ!」と言いながら関さんが最初に箸をつけたのは、かっぱ巻き(笑)。

「なんで関さん、最初がかっぱ巻きなんだよ! トロいくでしょ、トロ!」「それじゃほかの人が食べられないよ!」

謙虚というか何というか、関さんらしいなあ(笑)。ほんと、いい人だ。

世界一のクリスマスツリー

午前中から夕方まで、八王子で取材。帰りにココイチでスープカレーを食べ、家まで戻ってくる頃には、すっかり日が暮れていた。

近所にあるキリスト教系の幼稚園のベランダが、この時期恒例の電飾で彩られている。この建物は教会でもあるので、電飾もおとなしく、品のようなものがある。同じ電飾でも、三鷹駅北口ロータリーで年末灯される電飾は、正直言ってあまり品がない。青や白のLEDを大木の枝にむやみに絡めつけていて、人間の身勝手さを感じてしまう。

神戸港に先日持ち込まれたという、「世界一のクリスマスツリー」とやらのことを思う。氷見の山から根ごと引っこ抜かれ、はるばる神戸まで運ばれ、震災の鎮魂とかいう被災者の感情をもろに逆撫でする惹句を後付けでまぶされ、クリスマスの後は切り刻まれて神社の鳥居にされる予定という、世界一のクリスマスツリーのことを。

そもそも、何が世界一なのかもよくわからない。高さなら、国内外にもっと大きな、しかも自生しているツリーがあるという。子供たちが願い事を書いたオーナメントをくくりつけた数で世界一ともいうが、つけたそばから風で割れてバラバラ落っこちて、ろくに回収もされていないという。あのプロジェクトに関わっている人間たちの愚かさという点では間違いなく世界一だが、それではそんな愚かな人間たちに無理やりツリーに仕立てられたあげく鳥居にされてしまう、樹齢150年のあすなろの木(かどうかも実ははっきりしない)が可哀想だ。

世界一、無残な、クリスマスツリー、なのだろうな。

黄葉、落葉

まだ安心できるような状況ではないが、抱えている仕事の一つがかなり整理できてきた。夕方、ごはんを食べに、外へ。

家のすぐ近所にある公園のそばを通りがかって、愕然とした。ほんのちょっと前まで、黄葉するまでもうしばらくかかるかなと思っていた大木の木々の葉が、今日は黄葉どころか、それを通り越して半分近くも散り落ちていたからだ。もっと早く気付けるタイミングもあったはずだが、頭の中に余裕がなさすぎたのだろう。まるで、2、3週間ほどタイムスリップしてしまったような、妙な気分だ。

いかんいかん。もう少し、立ち止まる余裕を持たねば。

師走の足音

この三日間は、執筆作業に集中。たまに資料探しや食材の買い出しに行ったりはしたものの、ほぼずっと家に引き籠っていた。

ほんの一週間くらい前には、そろそろ先行きが見えてきたかな……と思っていたのだが、甘かった。それから怒涛のように取材予定やら何やらが追加されて、わずかな私用の時間まで取られてしまい、王手、王手の連続状態に。詰んだ。まじで詰んだ。とにかく今は、前倒しできる作業は少しでも早く進めていくしかない。

何度も書いているけれど、フリーランスの仕事というのは、来ない時は全然来ないのに、来る時は信じられないくらい一気に集中する。もうちょっと、なだらかなペースでオファーしてもらえないかなあ……。まあ、師走の足音が近づいてきてる今ならではの現象なんだろうけど。