ひさしぶりに遠出。といっても、同じ東京都内の奥多摩へ。ずいぶん昔に一度歩いたことのある、奥多摩湖から奥多摩駅までのハイキングコースをまた歩いてみた。この間新しく購入したばかりの、リコーのGR DIGITAL IVの試し撮りもかねて。まずは、奥多摩駅からバスに乗ってやってきた奥多摩湖にある、小河内ダムの水門。
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目指すべき高み
取材のため、朝から巣鴨へ。午前中に一件、午後に二件。それぞれ、まずまず首尾よくやり遂げたが、集中力のオン、オフをくりかえすのは、やっぱり疲れる。
すべての取材を終えた後、品川へ。キヤノンギャラリーで開催中の石川梵さんの写真展「人の惑星(ほし)」のオープニングパーティーに出席させていただく。名前を聞くだけでくらくらするほど錚々たるフォトグラファーの方々の迫力に圧倒されながら、会場の片隅でビールをすする(苦笑)。でも、石川さんや、一年ぶりにお会いした庄司康治さん、「梅里雪山 十七人の友を探して」の著者の小林尚礼さん、「グレートジャーニー」の関野吉晴さんなど、何人かの方にご挨拶ができたので、よかった。
石川さんの「人の惑星(ほし)」は、世界各地の壮大な自然の空撮と、さまざまな民族の生活や文化に密着した写真の数々が同居した、とてつもなく濃密な写真展だった。石川さんが写真を撮り続けてきた、30年という時間が凝縮されている。その密度に圧倒されながらも、「‥‥だったら、自分はどうする?」と、頭の片隅で考えている自分がいた。刺激を受けたというにはおこがましいけれど、改めて、自分の中にある目標設定をセットさせてもらえた気がする。
今まで目指してきたものに、間違いはない。ただ、目指すべき高みは、もっと上にある。
「ラダック ザンスカール トラベルガイド インドの中の小さなチベット」
「ラダック ザンスカール トラベルガイド インドの中の小さなチベット
」
文・写真:山本高樹
価格:本体1700円+税
発行:ダイヤモンド・ビッグ社
A5変型判144ページ(オールカラー、折込地図付)
ISBN978-4478042670
一年半前から準備を続けてきた書籍が、まもなく発売になります。ラダック全域とザンスカールなどを網羅したガイドブックです。豊富な写真と詳細な地図で各地の見どころを紹介するとともに、歴史やチベット仏教、人々の暮らしにまつわるコラムも。ありのままの姿のラダックを知り、かの地を旅する時の手がかりとなる一冊です。
震災の記憶
午後、吉祥寺へ。吉祥寺美術館で開催中の石川梵さんの写真展「The Days After 東日本大震災の記憶」を観る。
去年起こった震災の時、石川さんは翌日自らセスナをチャーターし、東北の被災地の空撮を行った。その後も陸路で被災地を回り、二カ月にも及ぶ現地取材に取り組んだ。取材は今も続けられていて、この写真展ではつい先月撮影されたばかりの、震災から一年後の被災地の写真も展示されていた。
それは、報道写真のような「記録」の写真ではなかった。一人の写真家が長い時間をかけて見つめ続けた、「記憶」の写真。たとえようもない悲しみと、虚無感と、そして‥‥雲間から微かに射す光。そこに光があるのかどうかさえ、わからないほどの。
人間は、忘れる動物だ。特に、自分と直接関係のない他人の悲しみについては、忘れるのが早い。悲しみだけに囚われて生きていくのは決していいことではないけれど、でも、あの震災の「記憶」は、すべての日本人が胸の奥に小さな痛みとして抱え続けていくべきものだと思う。でなければ、被災地の人々をこれから支えていくことなどできはしない。
石川さんの写真は、あらためてそのことを教えてくれた気がする。