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旅の先にあるもの

また、旅に出る時が来た。明日からタイへ、約4週間。

僕にとって、旅をするという行為自体は、テーマでもなく、こだわるべきことでもない。旅に出て、どこに向かうか。そこで何をするか。旅の先にあるものの方が僕にとっては大切だ。今回のタイへの旅の先にあるものは、とりあえず日々膨大な量のリサーチと撮影のノルマなわけだが(苦笑)、密かに「ここは個人的にもこだわって撮ってやろう」と考えてることも少しはあるので、そういう愉しみも忘れないように旅をしてこようと思う。

帰国は11月1日(日)朝の予定です。ではまた。

「BE-PAL」ラダックフォトレポート短期連載

bepal_ladakh1501小学館のアウトドア雑誌「BE-PAL」のWebサイト上で、2015年7月から8月にかけてラダックで取り組んだ取材を基にしたフォトレポートの短期連載が始まりました。9月30日(水)から毎週水曜日、全部で5回の記事が掲載されます。マナリからレーに至るまでの山越えの道の様子をはじめ、パンゴン・ツォのメラクで数日間滞在した時の体験や、SECMOLフェイ・キャンパス訪問記など、いろいろ盛りだくさんです。興味のある方はご覧になってみていただけるとうれしいです。よろしくお願いします。

そういえば

この週末は、のんびり過ごそうと思っていた。昨日はナマステ・インディアにちょこっと顔を出し、リトスタで飲んで、家に着いたらソファで寝落ち。今日は特に予定も入れず、家でだらだらするつもりでいた。

しかし、夕方頃になって、はたと気づいてしまった。そういえば、この夏、ラダックで出席して撮影した現地の結婚式の写真、送ってくれと言われてたのに、すっかり忘れてた‥‥ということに。次から次に降りかかる〆切やら、南ア取材やらに追いまくられてるうちに、頭の中からすっぽり抜けてしまっていたらしい。

で、さっきまで、ひーこら言いながらセレクトと現像をしてたという‥‥。ゴンパサルレ(ごめんなさい)、とラダックの方角に向かって謝ってみる。

キリンを撮る

この間の南アフリカ取材では、ピーランスバーグ国立公園で大小いろんな種類の野生動物の写真を撮った。何しろ相手は動物なので、簡単に撮れるようなことはほとんどなく、いつも右往左往しながら連写を重ねて、当たりが混じるように祈るような撮り方しかできなかった。

たとえば、ゾウのように図体の大きな動物なら、ある程度距離が近ければいくらでも好きなように撮れると思いがちだが、納得のいく表情の写真を撮ろうとすると、ゾウはなかなか手ごわい。長い鼻がしょっちゅうくるんくるん動くので、中途半端にフレームから外れたり、しっくりこない形になったりしてしまう。

一番苦労させられたのは、キリンだった。背の高い草食動物ならではの警戒心の強さもあるが、いざ撮れそうな位置にポジショニングできても、あの長い首はものすごく厄介だ。右に左にゆらゆら傾いて、顔にフォーカスを合わせてもすぐに外れてしまったり、首の先だけひょいとフレームアウトしてしまったりする。あれには本当にあたふたさせられた。

動物撮影の経験値を積むのには確かにいい機会だったけど、あの分野の奥の深さを思い知らされたのも確か。ネイチャーフォトグラファーの人たちって大変だ、ほんとに。

自然の掟

zebra
10日間の南アフリカでの取材を終え、昨日の夜、日本に帰ってきた。

プレスツアー特有の窮屈さと時間のなさはあったものの、初めて訪れたアフリカ最南端の国での日々は、確かに得難い体験だった。特に旅の終盤、ピーランスバーグ国立公園で野生動物の姿を追いかけた二日間は、自分にとって良い経験になったと思う。

ジープで原野を走っている時、写真ではまともに撮れないほどはるか彼方を、ライオンの群れが獲物を追って全速力で駆けている姿を見た。別の場所では、ずっと以前に息絶えた後、ジャッカルやハイエナに肉も骨も食べ尽くされ、皮だけになったキリンの亡骸を見た。そこは動物園などではなく、命のやりとりが日々当たり前のように行われている自然の中なのだということ。そうした自然の掟が支配する中では、一人の人間は本当にちっぽけで無力な存在でしかないことを、身をもって感じた。

あの大陸の大地を、いつかまた、踏みしめる日が来るのかもしれない。