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「ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]」

ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]ラダックの風息 空の果てで暮らした日々[新装版]
文・写真:山本高樹
価格:本体1800円+税
発行:雷鳥社
A5変形判288ページ(カラー120ページ)
ISBN 978-4844136958

2009年3月に上梓した僕の最初の単著「ラダックの風息 空の果てで暮らした日々」が、カラー写真のページを倍増させ、書き下ろしのエピローグを加えた「新装版」として発売されます。ラダックについて書かれた本として、ラダックの写真集として、僕が当初から思い描いていた理想的な形に最も近い一冊になったと自負しています。

この本は、全国各地の書店やネット書店のほかに、3月末から5月末まで東京・三鷹で開催予定の写真展や、4月と5月に都内で開催する予定のトークイベント会場でも販売されます。写真展とトークイベント会場で購入してくださった方には、本には未収録のエピソードの小冊子と新旧表紙写真のポストカード2種を進呈します。そうした会場に足を運べない方には、ジュレーラダックの通信販売でこれらの特典を同梱した「ラダックの風息[新装版]限定特典セット」を提供しています。

僕にとって一番大切な、かけがえのない一冊になりました。よろしくお願いします。

五年、そして今思うこと

午前中、市ヶ谷で取材。終わった後、午後は荻窪の雷鳥社へ。新刊「ラダックの風息[新装版]」の見本誌をチェックして、自分用に数冊受け取る。ようやくこの瞬間が来た。本を作る時、この瞬間は毎回感無量だけど、この本は、準備段階から費やした時間も労力も、注ぎ込んだ思いも桁違いだから、その分、喜びもひとしおだ。いい本に仕上がったと思う。

五年前の3月11日、あの震災が起こって、あまりにも非現実的で理不尽にも思える惨事が報じられ続けた日々。お金を寄付してみたりもしたけれど、本当の意味で何をすべきなのかと考えた僕は、「自分が世の中に対してできることを精一杯やる」という選択に行き着いた。僕の場合、それは本を作ることだった。その年の夏、僕は取材費用を自腹で立て替えてラダックに飛び、「ラダック ザンスカール トラベルガイド」を作るための取材に取り組んだ。

それから五年の間に、僕は「撮り・旅!」を含めて、自分の企画の本を3冊作ったことになる。編集者としては多いとは言えない。まして、その3冊が世の中で何かの役に立つともあまり思えない。存在しなければしないで、誰も何も気にしない程度の本でしかないのかもしれない。

でも、今の世の中で、みんながそれぞれの場所で自分にできることに精一杯取り組めば、たとえ一つひとつはささやかなものでしかなくても、何かが少しずつ良い方向に向くのでは、とも思うのだ。そうして精一杯生きることが、五年前に理不尽な形で立ち去っていかざるを得なかった人々に対しての敬意のようなものなのかもしれない、と僕は思う。

忘れないこと。ささやかでも、精一杯生きること。これからも続けていければと思う。

南アフリカ観光局「旅人インタビュー」

南アフリカ観光局「旅人インタビュー」南アフリカ観光局のサイト内にある「My South Africa Story 旅人インタビュー」のコーナーに、昨年プレスツアーで南アフリカを訪れた際のレポートと写真を寄稿させていただきました(コーナー名はインタビューとなっていますが、自分で執筆した文章です)。「アフリカの自然と野生動物に会いに行く ゲーム・ドライブを体験して」という記事タイトルをクリックすると表示されます。内容はゲームドライブの際のカメラ機材や撮影のTIPS、体験したエピソードについてなど。よかったらご一読いただけると嬉しいです。

「うまくなる」ということ

文章も、写真も、もっとうまくなりたい。いつもそう思っている。

今の自分に実力が不足しているのは自覚しているけれど、僕にとって文章や写真が「うまくなる」ということは、単に力を高めるというのとは、ちょっと意味合いが違う気がする。どちらかというと、「引き出しの数を増やす」というのに近い。どんな場面に遭遇しても、自分の意図を伝えるのに一番ふさわしい方法をスッと選べる、余裕のようなもの。引き出しの数の多さに頼るのではなく、独りよがりに力でねじ伏せるのでもなく、対象により集中して向き合う余裕を持つためというか。

文章や写真の実力は、周囲の人々からの評価の度合いによって測られるものだと思うけど、周囲からの評価を高めること自体が目的化するのは、たぶんあまりよくない。一時的なチャレンジならまだしも、それが常態化するのはちょっと違う気がする。結局、その文章で、その写真で、何を伝えるのかが一番大事。引き出しの多さも、磨き上げたスキルも、伝えるという目標を達成するための手段でしかない。

だから、もっとうまくなりたい。たぶん、死ぬまでずっとそう思い続けている。

気は抜けない

夕方、赤羽橋へ。来月発売される予定の本の色校のチェックと打ち合わせ。

何だかんだで、ほぼすべての写真の色味を調整し直すことになり、デザイナーさんと相談しながら、120ページ分の写真の一枚々々に修正指示を加えていく。印刷所にとってはまた面倒な作業になると思うが、ここで妥協したら元も子もない。明日の色校の引き渡しにも立ち会って、僕からも要望を印刷所に直接伝えることにした。

最後の最後まで、何一つ、気を抜けない。それが本づくりの大変さであり、醍醐味でもある。