Tag: Mitaka

彼女ととんかつの行く末

夕方、駅前の定食屋へ。味噌かつ定食を注文。

僕が座った席から通路を挟んで隣にある四人掛けの席に、若い女の子が一人で座っていた。その子はテーブルに上半身を預けてスマホをいじっていたようなのだが、女性の店員さんが、その子の注文したとんかつ定食のお盆を持ってきても、何の反応もない。どうやら、テーブルに突っ伏したまま寝てしまったようだ。

「‥‥お客さん、お客さん」と、女性の店員さんが二、三度肩を揺すったのだが、その女の子はまったく起きようとしない。よほど眠かったのか、それとも花見帰りで酒が入っていたのか。で、店員さんは定食のお盆をテーブルに置き、そのまま厨房に戻ってしまった。それにもちょっとびっくり。

どっちもどっちだなあ、と思いつつ、僕は自分のごはんをもぐもぐ食べていたのだが、やっぱりこういう場合、お店の人は、ちょっときつめに揺さぶって大きな声をかけてでも、女の子を起こすべきだったのでは、と思う。だって本人にしてみれば、うら若き乙女なのに、とんかつ定食が冷めるがままになってる状態でテーブルに突っ伏して爆睡してるなんて、とんでもない赤っ恥の晒しもん状態だし。

彼女ととんかつの行く末がどうなるのか、ちょびっと気になりつつも、僕は店を後にした。

折れない心で

三鷹北口界隈には、何軒かのラーメン屋がある。うちから一番近いのは、チェーン店を除くと、たぶんその中でも一番後発の店だ。

その店がオープンしたばかりの頃は、割と大勢のお客さんが来ていて、外で待たなければならない時もあるほどだった。でも、去年あたりからは、だんだんそういうことも少なくなって、夕方にふらっと行くと、他に誰も客がいないことも珍しくなくなった。まだ若くて愛想のいいご夫婦がやっている店なのだが、そんな風にがらんとした時に店に入ると、二人はしんどさを押し殺すようにして笑顔を見せるのだった。

味はけっして悪くないし、むしろなかなかうまい。店のしつらえからメニューまで、丁寧に気を配っていると思う。ベストを尽くしているはずなのに、うまくいかないもどかしさ。そういう思いは、場所や仕事は違えど、今の世の中でたくさんの人が抱えているものなのかもしれない。僕自身も含めて。

今日の夕方も、その店の暖簾をくぐった時は他に誰もいなかったのだが、その後、とととっと立て続けにお客さんが入ってきたので、少しほっとした。ちょっとなれなれしい感じの二人連れの女性客の一人が店のご主人に「おいしいラーメン屋さんがあるからって、この子を連れてきたんですよ!」と話しかけると、ご主人は「ありがとうございます。これからも続けていけるように、がんばります!」と頭を下げていた。

「ごちそうさま」と言って席を立つと、「いつもありがとうございます! またよろしくお願いします!」という二人の声が背中を追いかけてきた。

お互い、がんばりましょうね。ベストを尽くして。折れない心で。

春うらら

昼、リトスタでおひるを食べながらの打ち合わせ。今日からいちごのババロアも登場ということで、一緒においしくいただいた。打ち合わせの方も、これからいろいろ面白いことが実現できそうで、楽しみになってきた。

それにしても、今日は暖かかった。20℃は余裕で超えてただろう。打ち合わせの後、おなかいっぱいで眠いし、まっすぐ家に戻るのが惜しいくらいのいい天気だったので、吉祥寺方面に散歩してみることに。風の散歩道では、気の早い桜が咲きはじめている。井の頭公園には早々と「宴会は22時まで」の横断幕が(笑)。すっかり春うららだな。

ぐるっと北に回って家まで戻ると、眠気がさめるどころか、ますます眠くなった(笑)。

どうしたものやら

今年に入ってからだけど、街の中でまったく予想もしてなかった場面に遭遇して、どうしたものやらという状態になることが、ちょくちょくある。

少し前の夜、吉祥寺駅のプラットフォームで電車を待っていたら、突然、目の前で一人の若い女の子が号泣しはじめて、そのままその場にへたり込んでしまった。その横では、なよっとした感じの若い男が、人目を気にしておろおろしていた。あれはいったい、何だったんだろう。それまで口ゲンカをしてるようにも見えなかったのに、あのやさ男、どんな号泣スイッチを押してしまったのか。

別の日の深夜、三鷹駅前の松屋で牛丼を食べていた時。明らかに酔っ払ってる年輩のおっさんが入ってきてテイクアウトを注文し、どかっと座って待ってる間に「おい、ビールもってこい、ビール」。店員「ビールはお持ち帰りできないんですが‥‥」おっさん「んぁ? おれがビールもちかえるわけねーだろ! いまのむんだよ! なんだオマエ、ふざけてんのか!」店員「すすすみません」‥‥いや店員さん、あんたは全然悪くない。

まったくとりとめのないままだけど、世の中、どうしたものやらという感じである。

確かにその通り

昨日の夜は、キャンセルになったインド取材の件などでちょくちょく連絡が来ていたこともあり、もやもやした気分でなかなか寝付けなかったのだが、いざ布団に入ってみると、思いのほかどっぷり寝られた。今までに仕事絡みで味わってきた苦い思いの数々に比べれば、少なくとも僕個人の立場にとっては、そんなにたいしたことじゃない。

それでも、昼少し前に起き出して、部屋の隅に置いたままの荷造りを終えたダッフルバッグやカメラバッグが目に入ると、さすがに何とも言えない徒労感を感じた。あれを担ぎもしないまま、またほどかなきゃならないのか‥‥。

腹が減ったので、近所のフレッシュネスへ。スパムバーガーとコーヒーを注文し、運ばれてきたトレーに添えてあったマドラーを見ると、こんな言葉が焼き付けられていた。うん、確かにその通り。今日は家にいることにするよ。

IMG_0840