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バンコクの電車

タイの首都バンコクは、周辺部を含めると人口が1500万人近くに達する巨大都市。街を行き交う車の数はすさまじく、どこもかしこも常に渋滞。場所や時間帯にもよるけれど、タクシーやトゥクトゥクでは、いつまでたっても目的地に着ける気がしない(苦笑)。だから先日の取材中は、常にBTS(スカイトレイン)とMRT(地下鉄)を軸に、必要に応じてチャオプラヤー・エクスプレス・ボートを組み合わせて街の中を移動していた。

BTSやMRTの車内はキンキンにエアコンが効いていて、椅子などもとても清潔。液晶モニタに流れる広告には日系企業のCMも多い。乗客たち、特に若い子たちはみんな、一心不乱にスマホをいじっている。そんな感じの車内なので、時々、東京で電車に乗ってるような錯覚に陥りそうになる。

ただ、一つ大きく違うと感じたのは、停車駅で年配の人や小さいお子さん連れの人が乗ってくるたびに、それまでスマホをいじってた若い人たちが、スパッ!と立ち上がって席を譲っていたことだった。体力的に弱い立場の人を丁寧に気遣う彼らの態度は、仏教を篤く信仰する国だからというのもあるだろうが、東京の電車内の風景とはずいぶん違う。東京はほんと‥‥バレバレなのに寝たふりしてる若い人とか、結構いるし。

この点において、バンコクは東京に圧勝だなあ、と思う。

つかのまの日本

昨日の朝、2カ月ぶりにインドから日本に戻ってきた。

今年のインド滞在は、大小いろんな仕事が入り乱れていて、あれやこれやとあたふたしてるうちに、いつのまにか終わっていたという印象。出発前には心配事がたくさんあったし、実際に渡航してからも、特にスピティでありとあらゆるトラブルに見舞われたのだが、最後の最後でツキに見放されずに、どうにか乗り切ることができた。そういう意味では、今年もソデチャン(ツイてる人)でよかったなあと思う。

で、ひさしぶりに日本に帰ってきたのはいいのだが、10日後には再び日本を離れることになってしまった。プレスツアーに同行しての取材で、南アフリカに10日間。そのツアーから戻ってきた後、10月初旬からは、毎年恒例のタイ取材に4週間。何が何だかわからないうちに、このまま2015年が終わってしまいそうな気配だ。

今も南アに出発する前にやらなければならない仕事が山積なのだが、とりあえず深呼吸でもして、目の前のものに一つずつ、確実に取り組んでいこう。

それは本ではない

神戸連続児童殺傷事件の犯人が書いた本が、週間ベストセラーランキングで1位になったそうだ。版元は初版の10万部に加え、5万部を増刷。その一方、一部の書店では販売を中止する動きも増えているという。

この本については、出版社と著者が事前に遺族の了解を取っていなかったというその一点だけで、完全にアウトなので、内容の是非を論ずるに値しないと僕は考えている。出版社の社長がこの本についてどれだけそれっぽい社会的意義を並べ立てても、遺族の了解という絶対に外してはいけない手続きを確信犯的に外している事実に変わりはない。正直、反吐が出る。この本を書いた今では少年ではなくなった男にも、出版社の関係者にも、そして、遺族の了解を得ていないとわかっていながらこの本を買った人にも。

本は、人に寄り添い、支えるためのものだ。絶対に、傷ついた人の心をさらにえぐるようなものであってはならない。そんな本があるとしたら、それは本ではなく、紙クズ以下のものだ。

本を作る仕事に携わる者として、力を貸してくれるスタッフや書店員さんたち、そして読者に顔向けができないような本だけは、絶対に作らないようにしなければ、と思う。

膝上と膝下

今年の夏は、男性用の服でもショートパンツが流行ってるらしい。アパレルショップにもたくさん並んでるし、街の中でも、もう結構大勢の人がショートパンツを穿いて歩いている。

僕自身、グラミチのクロップドパンツを新旧合わせて3本持っていて、夏の外出時にはローテで穿いている。ただ、個人的には、膝下まであるクロップドなら問題ないけど、膝上丈のショートパンツを外出用に穿くのは、正直ちょっと気後れしてしまう。何というか‥‥膝小僧が露出すると、守備力が下がっちゃうような気がして(笑)。

そのうち慣れっこになって、部屋着で穿いてるスウェットのショートパンツと同じような感覚で街にも繰り出すようになるのかもしれないけど。まあ、それ以前に、もうええ歳こいたおっさんだしね(苦笑)。

明けによろしく

今日は取材のため、茨城県の水戸へ。午前中に家を出て、中央線で東京まで行き、そこから特急に乗り換え。水戸駅からは機材を積んだカメラマンさんの車に同乗して目的地へ。なかなかの遠出である。

世間的にはすっかりゴールデンウイークに突入したと思われる、うららかな春の日に、こんなことになろうとは。東京駅の地下で買ったイベリコ豚重弁当を車内で食べて、ほんのちょっぴり、行楽気分を味わう。

「いや、今日は平日だから、取材が入ったって暦通りでしょ」と思う人もいるかもしれない。それは確かにそうなのだが‥‥ライターという仕事は、取材したら、原稿を書かなきゃならないのである。いつ書くか? 連休中だよね、そうだよね、進行とか考えると、「明けによろしく」って感じだもんね。

あー。仕方ない。これも仕事だ。