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権力と嘘

新型肺炎COVIC-19をめぐる今の日本の状況は、嘘つきどもに権力を握らせると、いざという時に社会がどういうことになるか、まざまざと見せつけていると思う。

何しろ、森友、加計、桜を見る会などなど、その場しのぎの言い逃れのために、今までさんざん嘘をつき、公文書を隠したり改竄したりしてきた連中である。新型肺炎に関しても、自分たちに都合の悪い情報や数字は隠していると思われても仕方がないし、実際そうしているであろう痕跡は、報道を通じて出回っている情報の至るところに見られる。ウイルス検査に消極的なのも、感染者数として発表される「数字」を減らしたいからだ。数パーセントと言われる致死率に含まれてしまった弱者は、自分たちの権力を守るためなら切り捨てても構わない、と彼らは思っている。他の国々の積極的な対応ぶりに比べると、本当に、暗澹とした思いにかられる。

今の日本政府は、僕たちを守ってはくれない。自分と周囲の人々の命と健康は、できるだけ、自分自身で守っていくしかない。

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ジュンパ・ラヒリ「わたしのいるところ」読了。ラヒリがイタリア語で書いた最初の長編小説というか掌編小説集。訳者あとがきにも書かれているが、かろうじてイタリアということがわかるだけで、人物名や地名などの固有名詞がまったく出てこない、抽象化された世界。物語と呼べるほどの大きなうねりではなく、小さなさざ波のような出来事が淡々と綴られていく中で、主人公はやがて一つの決意に至る。これを、母語ではないイタリア語で書き切ってしまうとは……。

目と脳が限界

約11万字の草稿をゼロからタイプし直しつつ取り組んでいる、本の推敲作業。10日間ほどかけて、ようやく終盤に差し掛かってきた。

膨大な量のテキストをタイプしているとはいえ、指や肩肘の疲労はそんなにきつくない。ただ、目と、脳が、かなりしんどい。一字々々、猛烈に集中して画面を睨みつけながら、これでいいか悪いかを絶え間なくジャッジし続けてるわけだから、まあ、無理もない。それこそ、文中の読点の有無や場所とか、漢字かひらがなかの選択とか、こだわりはじめたら、推敲はもう、果てしないのである。

昨日はとうとう、目と脳の疲労が限界に達した。朝起きた時から、視神経とその先につながる脳みその芯の部分が、ぼわーんとぼやけるような感じで、もう、どうにもならないくらいに疲れ切っていた。午前中に少し作業を進めてみたものの、まったく効率が上がらなくて、一時間半ほど仮眠。それでもすっきりしないので、夜は風呂から出てすぐに、布団に入って寝てしまった。

眠りに眠り続けて、約十二時間。おかげで今日は、だいぶましになって、普通に作業に戻ることができた。こんな風にして、おっさんが一人でヒイコラゼーハー言いながら作ってる新しい本、たぶん4月下旬頃に発売です。よろしく。

MからLへ

近頃、服のサイズが、だんだん大きくなりつつある。

たとえば、ジーンズ。二十歳前後の頃のウエスト28インチとかは、もちろんとうの昔に無理なのだが、それでも十年くらい前までは余裕を持って穿けていた30インチのジーンズが、今ではぴったりというか、あまり余裕のないサイズ感になってしまった。最近は32インチくらいのを選んでいる。

下半身よりもやばいのが上半身で、昔は普通に着られていたシャツも、胸まわりが微妙にきつい。TシャツはMサイズだとピチピチになってしまうので、最近はLサイズを買うようになった。冠婚葬祭用に買って、しばらく着ていなかったワイシャツに至っては、ボタンを閉じてからフンッと胸を張ると、ボタンが全部ちぎれ飛びそうなくらいの小ささになってしまっていた。ひさしぶりに着てみた時、何の冗談かと思った。やれやれ。

日頃の自体重エクササイズのおかげか、腹回りがだぶついたりしてるわけではないのだが、それでも、歳を取るにつれて身体がおっさん的にサイズアップしていくのは、避けようがないのかもしれない。少なくとも、ぴったりサイズを着こなす若さと勇気は、もうとっくにない(笑)。

今年もぐなぐなに

去年と同様、今年のタイ取材でも、帰国直前に少し時間ができたので、自腹でタイマッサージを受けに行った。訪れたのは去年と同じ、バンコクのBTSオンヌット駅近くのマッサージ店が集まる一角。店自体は去年と違うところに入ってみた。

去年は足を中心にした1時間コースだったが、今年は上半身もかなり疲れていたので、上下合わせて2時間コースでお願いしてみた。今回担当してくれたのは、三十代くらいの男性のマッサージ師。マッサージオイルを使いながら、足の指の一本々々から、ゆっくり、きめ細かく、丁寧に施術してくれた。

僕の筋肉は相当に凝り固まっていたはずだったが、マッサージを受けている間、痛さに顔を歪めたり、不用意な加圧で筋が攣りそうになったりしたことは、ただの一度もなかった。どこまでも、丁寧に、なめらかに、一つひとつの筋肉を慎重に揉みほぐしていく。僕自身、学生時代は運動系の部にいたのでマッサージにもそれなりに慣れ親しんできたつもりだったが、今回バンコクで受けたのは、今まで経験したことのないような、別次元のマッサージだった。

本当に上手なタイマッサージというのは、こういうものなのか……。全身ぐなぐなに揉まれながら、何というか、タイマッサージの真髄に触れられたような気がした。

体重の行方

タイ取材に赴く前、9月の連休に下田の温泉へ旅行に行った直後の頃は、体重が自分史上最大値を記録。うまいものをたらふく食べ過ぎた影響で、腹肉がぱんちくりんになって、ベルト穴を1つ緩めなければズボンも穿けないくらいになっていた。今思い返しても、あれはさすがにやばかった(汗)。

で、約3週間半のタイ取材。暑い中、カメラザックを背負って、毎日2万歩ばかりも歩き回り、歩かない日はレンタサイクルで走り回るという日々を送っていると、当然のことながら、みるみるやせる。出発直後はぱつぱつだった短パンのウエストも、あっという間に余裕ができて、するっと穿けるようになってしまった。毎晩、500mlの缶ビールを(経費でなく自腹で買って)宿で飲んでいたにも関わらず、である。

ただ、暑い中を取材で歩き回って消耗してるだけだと、上半身の筋肉まで一緒にやせてしまう(去年まではまさにその通りになってしまっていた)。なので今年は、宿の部屋での腕立て伏せや腹筋などは、割とまめに続けていた。

帰国して家に戻った後、いったい何キロ減ったのだろう、とちょっとわくわくしながら、風呂場に置いている体重計に乗ってみた。驚いたことに、出発前と、まったく同じ。1キロも減っていなかったのだ。

なんでだろ? 家にあるズボンを穿いてベルトを締めてみても、ベルト穴1つ分は確実に細くなっていたのに。腕立て伏せや腹筋をしてたといっても、それはせいぜい筋肉の現状維持で、脂肪が減った分を埋めるほど筋肉がついたとも感じない。うーむ。なぜだ。

この話、謎はいまだに謎のままで、オチはまったくない。ほんと、なんでだろ。我が腹についてた贅肉よ、いったいどこにいった。