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最高の晩餐

夜、西荻窪のたべごと屋のらぼうに行く。年に一度の誕生日くらいは、最高の晩餐でひっそり祝いたいから(笑)。

開店から八年、すっかり有名になったこのお店。今日も予約客でぎっしり満席で、飛び込みで来たものの、入れなくて残念そうに帰っていくお客さんもちらほらいた。それくらい、のらぼうの料理はおいしい。今日注文したのは、聖護院大根とスペアリブの煮物、炙りサバ、牡蠣と牛蒡の土鍋ごはん‥‥などなど。エーデルピルスで喉を潤しながら、運ばれてくる料理をかたっぱしからたいらげる。何だろう? うまく言葉にできないけど‥‥味の次元がほかとはちょっと違うような気がする。

料理の味も、店内の雰囲気も、お店の方々の接客も、何もかもが申し分なし。本当に最高の晩餐になった。ごちそうさまでした。来年、また行きます。

菜食と肉食

昼、西荻窪で二人の知人に会う。僕がラダックで撮影したダライ・ラマ法王の写真を引き延ばしてプリントしたものが欲しいということだったので、それを進呈するため。米の子という玄米菜食の定食を出す店で一緒におひるを食べる。僕は野菜の煮物定食を注文したのだが、特に具だくさんの味噌汁がうまかった。野菜がちゃんとしてるというのは、こういうシンプルな料理の味に直結するのだなあと思う。

二人と別れた後、隣駅の荻窪へ。昔の職場の同僚を中心にしたメンバーとの忘年会に参加する。会場はもつ吉という京風もつ鍋の店。個室で掘りゴタツという、だらだら飲むには最適なシチュエーション(笑)。ふわふわやわらかいホルモンを西京味噌で仕立てたもつ鍋は、思いのほかあっさり食べられる。シメの雑炊までおいしくいただいた。

それにしても、一日のうちに玄米菜食ともつ鍋を続けざまに食べるとは、両極端にもほどがある(笑)。

酔っぱらいのルール

夕方、三鷹の駅前にあるわざやというパスタ専門店へ。ここは昔からちょくちょく行っている店で、単価はちょっと高めだけど、ちゃんとした味のパスタを食べさせてくれる。大盛りが無料なのも、食べ盛りにはありがたい(笑)。今の季節は、牡蠣を使ったパスタがあるはずなので、それを目当てに。

ところが今日は、店に入ってみると、何だか様子がおかしい。見ると、細長い店内の奥の席で、四人くらいのおっちゃんとおばちゃんが、ものすごい大声でゲラゲラ笑いながらくっちゃべっている。テーブルの上には、空のボトルと、飲みかけのワイン。どうやら、すっかり酔っぱらっているようだ。最初は彼らの隣の席に案内されたのだが、こっちの声が全然聞こえないほどうるさいので、入口近くの離れた席に移動させてもらった。

それにしても、パスタ専門店であれだけ派手に酔っぱらう人たちも珍しい。店の人たちは困惑しているし、ほかのお客さんたちも食べ終えるとすぐ逃げるように店を出て行くありさま。たぶんあの人たちは昼のうちからどこかで飲んで、すっかりできあがってからなだれ込んできたのだろう。どうせなら、すぐ近くにある和民か白木屋にでも行けばよかったのに。

酔っぱらいは、酔っぱらうことを許されている店で、酔っぱらってくれたまえ。

感じのよさ

夕方のちょっと早い時間に、国立のニチニチに行く。いつ以来だろう? ずいぶんひさしぶりのような気が‥‥。いつものように南風荘ビールを飲みながら、あさりの黒オリーブ炒めやサンマの南蛮漬け、奄美の鶏飯などをいただく。店内はほとんど満員。家族連れも老夫婦も、愉しそうに飲んだり、食べたり、いい雰囲気。

昨日も飲み会だったので、ほどほどのところで切り上げて、電車に一駅乗って西国分寺へ。前から気になっていたクルミドコーヒーというカフェに行く。店に入ってこぢんまりとした席に座ると、まるで大きな木のうろに入り込んですっぽりと包まれたような、不思議な居心地のよさ。水出しで淹れているというコーヒーはまろやかで飲みやすく、期間限定のくるみ餅もていねいに作られていて、おいしい。ここもいい店だなあと思う。

ニチニチクルミドコーヒーのような店に共通しているのは、雰囲気もメニューも店員さんの対応も、すべてがものすごく高いレベルで「感じがいい」ということ。それも、お店の人たちが日々のやるべきことをこつこつと積み重ねた上で、裏表のない素直な気持でお客さんに接しているからこその「感じのよさ」だと思う。

時々、「自分は感じよくお客さんに接している」と思い込んでいる店員さんに、うわべだけの愛想をふりまかれる経験があるのだが、そんな人に限って、ちょっとしたことから、裏で何を考えているのかがぽろっとバレてしまうものだ。普通にぶっきらぼうな接客より、そういう裏表が見える接客の方が、よっぽど残念なのに。

銀杏と映画と生牡蠣と

明け方まで降っていた雨も止んだ。CAFE 246でランチを食べがてら、神宮外苑の銀杏並木を見に行く。すごい人の数だ。みんなケータイを宙に構えている。黄葉は八分くらいで、早い木からはもう、はらはらと葉が散りはじめていた。

地下鉄で移動して銀座へ。東京フィルメックスで特別招待作品として上映されるアッバス・キアロスタミ監督の最新作「トスカーナの贋作」を観るためだ。席で上映が始まるのを待っていると、すぐ近くのドアから入ってきた人が‥‥キアロスタミ監督だ! 心臓が止まりそうになる。自分が一番尊敬する映画監督と同じ空間で、最新作を観ることができるなんて‥‥。まるで、アイドルの追っかけにでもなったみたいにテンションが上がってしまった(笑)。映画の感想は、また別のエントリーで。

素晴らしい時間を過ごした後、テンションが上がりまくったそのイキオイで、丸の内にあるグランドセントラルオイスターバー&レストランに行き、今季初の生牡蠣を食べる。いい意味で、アメリカの大衆的なレストランの雰囲気があって、居心地がいい。数人で飲み食いすると楽しい店かも。

まったくもって申し分のない、秋の休日だった。明日からはまた、がっつり働こう。