Tag: Family

帰京

予定より1日早く、東京に戻ってきた。

12月30日に長野の松本に行き、その日は松本市内を観光し、翌日は松本から日帰りで安曇野へ。岡山から来ていた実家方面の人間たちと会って、そばを食べに行ったりして過ごした。で、今日は松本から名古屋経由で神戸に行く予定だったのだが、神戸の相方の親族の一人に急な不幸があった関係で、急遽計画変更。いったん東京に戻ることになったのだった。

元旦の西荻窪は、大半の店が閉まっていて、とても静かだ。空はよく晴れていて、ひんやりとしている。想定外の展開となった年越しだけど、まあ、何とかやっていこう。

今年の年末年始

年末年始は、文字通りの帰省というわけではないのだが、数日間、東京を離れる。

明日、長野の松本に移動し、街をぶらぶら散策して、そこで二泊。大晦日は松本から安曇野の穂高まで日帰りで行って、岡山から来ている僕の実家方面の人たちと会う。元日は午前中のうちに松本から穂高までもう一往復して、初詣やら何やらをやって、昼から神戸を目指して移動し、相方の実家方面の人たちと会い、神戸で一泊。二日の夜までに東京に戻る、という算段。

去年の年末年始は岡山と神戸を回る感じだったので、今年はだいぶ勝手が違うが、まだちゃんと歩いたことのない松本の観光もある程度できそうだし、これはこれでありかなと。そんなわけで、国内小旅行的な年末年始、楽しんできます。良いお年を。

無事に戻る

僕が旅に出る時、相方は必ず「無事に戻ってくるんだよ」と僕に言う。

普通の旅なら、日本でも海外でも、事故や怪我や病気に遭遇する確率は、そんなに極端には変わらない。ただ、僕の場合、そういう確率がそれなりに高い場所に赴かなければならないことが、結構ある。いつも用心に用心を重ねて、犯さなくていいリスクは極力避けているし、そのおかげでか、これまではどうにか五体満足無事に戻ってこれている。でも、相方には心配をかけさせてしまって、申し訳ないと思っている。

今年初めに行った旅は、自分が今まで経験した中で、たぶん一番リスクの高い旅だった。出発前から、新田次郎の小説「孤高の人」の結末がちらついて、不安が頭から離れなかった。戻るべき場所ができると、それを失うのが、とてつもなく怖くなる。あの旅の途中で本当にきわどかった時は、「絶対に、ここでくたばるわけにはいかない。戻るんだ。何が何でも、戻るんだ」と、自分で自分に必死に言い聞かせていた。読んでもらえればわかると思うけど、今、本にしようとしているのは、そんな旅の話だ。

来年は、そこまできわどい旅をやらかすつもりはないけれど、やっぱり、「無事に戻る」ことを第一の目標にしようと思う。

大人になれない

気がつけば、今日で今年の7月も終わり。明日からは8月だ。ここ数年、この時期には日本にいないことがほとんどなので、今東京でじりじり暑さに耐えているのも、珍しいといえば珍しい。

今年、インドから東京に戻ってきた日は、父の命日でもあった。8年前のことになる。あの時は本当に、いろんな意味でしんどかった。それでもまあ、自分は、どうにかこうにか、今もこうして生きている。

あの頃に比べると、僕はますますおっさん化が進行して、見てくれも所作も、今や紛うことなき普通のおっさんと化している。髪の毛がまだ普通にあるのと、腹が出ていないのだけが救いか。その一方で、精神年齢の方はというと、これがいまだに、なかなか大人になり切れない。ほんのちょっとしたことですぐにいきりたつし、青臭い台詞を吐き散らしては、周囲を面食らわせたりしている。

まあ、これはもう……持って生まれた性格だな。しゃーない。物分かりのいい大人には、一生なれそうにない。

「SANJU/サンジュ」

2018年にインド映画国内興収第2位(1位はラジニカーント主演の「2.0」)を記録した、ラージクマール・ヒラニ監督の「SANJU/サンジュ」が、日本でも6月15日(土)から公開されはじめた。新宿武蔵野館では1日1回、1週間限定公開の予定。「きっと、うまくいく」や「PK」で日本でも結果を残しているヒラニ監督の最新作にしては、やや残念な扱われ方ではある。それはたぶん、この作品の特殊なコンセプトが日本の観客には馴染みにくそう、という判断からなのだろう。

「SANJU/サンジュ」は、インド映画界の実在のスター俳優、サンジャイ・ダットの半生を辿った映画だ。父スニール・ダットと母ナルギスという名優の両親の息子に生まれた彼は、薬物中毒や数多くの女優たちとの噂、そして武器の不法所持に端を発したテロリストとの関与の嫌疑など、インド映画界でもとりわけスキャンダルにまみれた「札付きのワル」とみなされてきた。にもかかわらず、インド映画界では彼を敬愛する者は数多く、スター俳優としてのインド国内での人気も非常に高い。それはいったい、なぜなのか。

ヒラニ監督は、この物語を語らせるのに必要な架空の人物を何人か設定し、逆に実在の関係者各位(苦笑)にはあらぬ迷惑がかからないように配慮しながら、巧みにフィクションを織り交ぜて、サンジュと彼の家族たちの生き様を鮮やかに描き出している。サンジュを演じたランビール・カプール(カプール家との過去の因縁を考えると、運命的な配役ではある)の役作りには文字通り鬼気迫るものがあったし、脇を固める俳優陣も素晴らしかった(ソーナム・カプールやボーマン・イラニの出番が少なくてちょっともったいなかったけど、笑)。サンジャイ・ダットの日本での知名度云々に関わらず、どんな人の心にも届く普遍的なメッセージが、この作品には込められていると僕は思う。

こわもてだけど、弱虫で、でも、どこまでも自分に正直な人。この作品だけでなく、サンジャイ・ダットの次の出演作も日本で観られる日が来ることを願っている。