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誠実な本

終日、部屋で仕事。書籍の再校ゲラを突き合わせ、チェックを重ねていく。

こんなことを書いたら関係者全員にボコられそうだけど(笑)、今作っているこの本は、僕が当初思い描いていたよりも、ずっといい本に仕上がりつつあるような気がする。それは僕の能力でも何でもなく、ひとえに今回力を貸してくださっているスタッフの方々のおかげだ。僕一人では、限界値はたかが知れている。

まったく異なる個性や能力を持つ人たちでも、同じビジョンの目標をしっかりと共有して、それぞれの長所を持ち寄って力を合わせると、こういう化学反応が起きるのだろうか。今回作っているのは、別に読んだ人が涙を流して感動するような類の本ではなく、ある意味コテコテの実用書なのだが、本を手に取ってくれた人を裏切らない誠実さは、しっかりと込められているのではないかと思う。

さて、あともう一息。

完成間近

昨日のエントリーでも書いた書籍の仕事は、今がまさに佳境というか、追い込み時。再校のチェックをしている真っ最中で、今週末に念校をチェックして、来週明けに戻せば、無事に校了ということになる‥‥はず。

デザイナーさんから送られてきたカバーデザインの画像を眺めたりしていると、いよいよだな〜、と気分が高揚してくる。思えば長い道程だった‥‥(遠い目)。いわゆるコテコテの実用書なのだが、本の前半部分は自分で原稿を書いてもいるので、思い入れもひとしおだ。

校了後に見本誌が手元に届けば、完成したという喜びをより一層実感できるはず‥‥なのだが、たぶん、その頃にはもう、僕は日本にいない(苦笑)。去年とまったく同じパターンだなあ‥‥。ま、仕方ないか。

「料理人」としての編集者

ここのところ寝不足な日が続いていたので、昨日の夜は、10時間以上も寝た。でも、いまだに頭がしゃっきりしない。脳が、乾いたスポンジみたいにぱさぱさしている感じ。

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編集という仕事は、料理人の仕事に近いところがあるような気がする。自分の目利きで選びとった食材を、腕によりをかけ、心を込めて調理して、おいしい料理を読者の方にお出しする。自分で執筆や撮影までするなら、それこそ水田に稲を植えるレベルから手がけることになるが、基本的に編集の仕事は、目利きと調理に相当するのではないかと思う。編集者がそうして腕を振るうことができるのは、いい食材を丹精込めて育ててくれる、各分野のスタッフがいてくれてこそだ。

「これでおいしい料理を作ってください!」と、野菜や肉や魚を提供してもらえるなら、そりゃあ燃える。別に高級食材とかでなくても、持てる力を振り絞って、全力でおいしい料理を作る。でも、たまに‥‥まったく食材の目利きをさせてもらえないまま、「これ、とりあえず食べられるようにしてよ」と、生ゴミが詰まった袋をいきなり手渡されるような目にも遭うのだ。用意すべきものも、目指すべき目標も、根本的に間違っている。そういう依頼をしてくる人はたいてい、それが間違っているとは露ほども思っていない。

「とりあえず食べられればいいもの」を作るような仕事は、僕はやりたくない。

やがて綺麗な花に

朝から晩まで、ゲラチェック。

赤いゲルインキのボールペンを握りしめ、三種類のゲラを突き合わせながら、一枚ずつ、赤字を書き込んでいく。部屋の中は、デスクからソファからコーヒーテーブルに至るまで、そこらじゅうにゲラが散乱。修羅場と呼ぶにふさわしい光景(笑)。

夜中まで粘って、どうにか六割くらいのチェックを終える。目がショボショボして、これ以上は集中力は保たない。今日は、近所の中華料理屋に晩飯を食べに行った他は、ほんと、仕事しかしなかった。

でも、今、がんばって土を耕して種を蒔けば、やがて綺麗な花が咲くはず。まあ、派手でゴージャスな花にはならないだろうけど、きっと綺麗な花が。

ゲラは心を映す

午後、市ヶ谷で打ち合わせ。今作っている本の初校ゲラを突き合わせながら、出版社の編集者さんと打ち合わせ。会議室の貸切時間をオーバーするまで、みっちりと話し合う。

ゲラチェックは、雑誌の編集者だった頃からの馴染み深い作業だ。自分が作ったページを他の編集者さんにチェックしてもらったことも、数え切れないほどある。誰がやっても同じような作業と思われがちだが、ゲラへの赤字の入れ方には、その編集者の個性や人柄が如実に出ると思う。

印刷みたいに几帳面な字で書かれた赤字もあれば、ザザザッと勢いよく書き込まれた赤字もある。担当者への誠意が伝わるような丁寧な赤字であることがほとんどだが、たまに、明らかにこちらを見下しているような赤字を受け取ることもある。少しでも内容を面白くしようとあれこれ提案してくれた赤字をもらったこともあれば、たいして興味ないと言わんばかりに投げやりな赤字をもらったこともあった。ゲラに書き込まれた赤字は、編集者の心を映すのだ。

今日受け取った初校ゲラには、最初から最後までびっしりと、そして丁寧に赤字が書き込まれていた。いい本を作りたい。そう思ってくれていることが伝わってくるような赤字だった。