Tag: Editing

期待という名の賭け金

昼、印刷会社から連絡。ガイドブックの第一次修正作業が終わって、データを用意してくれたとのこと。さっそくPDFをダウンロードしてチェックする。

この修正作業、先週末までに僕と編集者さんが用意した、修正指示で真っ赤になったゲラを基に、今週いっぱいかけて印刷会社のオペレーターさんが取り組んでくれていたものだった。途中聞いていた話では「とても手に負えない部分もあるので、かなりの部分をまたデザイナーさんにお願いするかもしれない」という雲行きだったのだが、PDFを見て、びっくり。「ここまで直ってるとは」とちょっと驚いてしまうほど、綺麗に手を入れてくれていた。これなら、この後の作業は格段に楽になる。

一冊の本は、一人の力だけではできない。たくさんの人たちが力を貸してくれて、初めて作り上げることができる。単なる仕事や人付き合いの枠を越えて、みんなは言い出しっぺの僕に、期待という名の賭け金を賭けてくれているのだ。それは、時にとてつもなく重く感じるけど、同時に自分を支えてくれてもいる。

あともう少し、がんばらねば。

日々勉強

ガイドブックのゲラチェック作業も、どうにかこうにか一区切り。週明けには編集者さんに戻せる状態になった。少なくともあと2回は、これと同じような苦労をしなければならないのだが‥‥(汗)。

編集者として、ライターとして、それなりに長い年月を過ごしてきたけれど、新しい本に取り組むたびに、勉強になることがたくさん見つかるなあ、と思う。今回のガイドブックでも、編集者さんと会って打ち合わせをするたびに、ガイドブックならではの手法に基づいた指摘をしてもらって、「なるほど〜」と納得させられることがある。

結局、想像力なんだな。どういった読者がその本を買って、どんなシチュエーションで、何を求めてその本を読むか。読者の身になってシミュレートしてみると、思いがけない弱点が見つかったりする。自分はまだまだ、そういうところが甘い。日々勉強だな。

ありのままを

昨日の夜、ラダックガイドブックの初校が上がってきた。紙のゲラは明日届くのだが、一足先にPDFで全体の様子を見渡してチェックしている。

見ていて思うのは、何というか、「ラダックの風息」と同じ気配をまとった本だなあ、ということ。今回の本はガイドブックだから、内容も造りもまったく違うはずなのだが、全体を通じて伝わってくる気配は、まぎれもなく「風息」のものだ。書き手と撮り手とデザイナーが前と同じだから、というだけでは説明できない理由がある気がする。

たぶん、どちらも「ありのままのラダック」を伝えようと悪戦苦闘している本だから、そんな風に感じられるのかもしれない。伝わっているかどうかは、わからない。でも、僕が伝えたいことは、どちらの本にもありったけ、ぶち込んでいるという自負はある。

編集作業も、いよいよ佳境。最後まで気を抜かずに、いい本を作る。

いい仕事への対価

昨日の夕方、ガイドブック制作関連のメールがダダダッと届いて、それに対応するためにあれやこれやと動いていたのだが、どうにか落ちつく。今日は平穏な時間を過ごしている。ふー。

今作っているガイドブックでは、とても有能なスタッフの方々と組ませていただいていて、僕はすっかり大船に乗った気でいるのだが(早いって)、今回はいつにも増して、とても気持よく作業させてもらえている気がする。その理由を考えると、それぞれの作業のスペシャリストががっちりサポートしてくれる体制が整っているからだと思い当たった。編集は編集者さん、デザイン・レイアウトはデザイナーさん、地図製作は地図職人さん、校正は校正者さん、DTP作業と印刷は印刷会社さんといった具合に。

「そんなの当たり前じゃん」と言われそうな気もするが、最近の中小規模の出版社では、出版不況で予算が制約される関係で、編集者が校正まで全部やったり、細かいDTP作業までやったりするのが常態化しているのだ。多少の兼務なら効率化に役立つかもしれないが、大きなボリュームをがっつりとなると、時間的にも質的にも、やはり差が出る。そして、いろいろ兼務させられる編集者やデザイナーも、ギャラの上乗せどころか減額が提示されるという有様(涙)。

いい仕事には、それにふさわしい対価が発生するものだし、それが支払われるのが当然だと個人的には思う。各分野のスペシャリストたちがきっちり報われるような環境作りを、あきらめてしまいたくはない。同じ内容の仕事を昔のギャラの半額でやらせるような出版社の姿勢は、やはり間違っていると思うから。

閉店フェア

昼、外苑前のオフィスで、ラダックのガイドブックの打ち合わせ。僕が書き上げた原稿や写真などのデータ一式をデザイナーさんに渡し、編集者さんや印刷担当の方を交えて、今後の段取りなどを決める。いよいよ佳境に突入といったところ。とにかく、校了まで全力で突っ走るだけだ。

帰りに新宿に寄り道して、今月いっぱいで閉店することになったジュンク堂書店新宿店に行く。店内のあちこちで展開されている「閉店フェア」。書店員さんたちの手書きのポップには、本への思い入れと愛情と、この店を離れなければならない悔しさがにじんでいた。ジュンク堂自体の売上云々ではなく、三越が撤退してビックカメラにビルを一括賃貸するというツマラナイ判断をしたせいなのだから、なおさらだろう。

今、僕が携わっている本づくりという仕事は、本を売ってくれる書店がなければ成り立たないものだ。作り手と、売り手と、そして読み手。すべてが揃って初めて、本という存在が生命を持つ。自分一人の力で生きてるわけじゃないんだということを、忘れないようにしなければいけないな、と思う。