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戦は続く

昨日の夕方、近所のスーパーに食材の買い出しに行って、レジに並んでいると、前にいた若い女の子が、ラージサイズのガーナチョコレートを何枚か、何かのクリームのようなもの、クッキングシートみたいなものを、わさっ、と買っていた。そうか、彼女にとっては、これから戦か。バレンタインデー前日だものな。がんばれー、と内心思った。

……戦が続いているのは、むしろ自分である。

新しい本の編集作業、いよいよ佳境。ゲラを何度も見直すうちに、冷や汗の出るようなミスを見つけてしまったりするので、本当に心臓に悪い。目はショボショボするし、集中力は落ちてくるし。まあでも、ここから月末までが正念場だ。万事ぬかりなくやり遂げて、きっといい本にしてみせる。

夕暮れの中を歩く

午前中、八丁堀で打ち合わせ。今作っている本の初校戻しと、PR関係の確認など。昼には終わったので、八重洲まで歩いて、地下のエリックサウスでランチミールス。平日ランチタイムの店内は戦場のような忙しさだったが、お客さんを笑顔で巧みにさばき続けるスタッフさんたちのチームワークに感心させられた。

午後は小石川のジュレーラダック事務所に寄って、買い取ってもらった本につける小冊子とポストカードの納品と代金の清算。それから荻窪の雷鳥社に行って、社内で発掘してもらった小冊子とポストカードの引き取り。その後、ひさしぶりにTitleさんに寄った。眺めているだけで楽しくてワクワクする本棚。奥のカフェでコーヒーとアップルパイをいただきながら、本を読む。気になってた本も一冊買った。

店の外に出ると、澄んだ空が暮れ色に染まりはじめていた。そんなに風も冷たくなかったし、歩けるだけ歩いたれ、と思って、西に向かって歩き出す。途中、わざと知らない道に入っていってみたり。きれいな夕暮れだった。街がシルエットになり、灯りが点きはじめる。三鷹の自分の家まで、1時間半くらい歩いただろうか。頭と身体の内側がすっきりするような散歩だった。

また会えると思っていた

終日、部屋で仕事。夜までかかったが、とりあえず最後のページまで、一通り目を通し終えた。あとは関係各所からのフィードバックを待ちつつ、もう一度見直しをすれば、初校は問題なく戻せるだろう。今のところ、さほど大きな問題もなさそうだ。

……と、ちょっとほっとしたのもつかの間、Facebook経由で、年上の知人の方の訃報が。ご高齢だったので意外とまでは思わなかったが、それでも去年お会いした時は溌剌と元気にしておられたので、やっぱり、愕然としてしまう。あと3カ月ほど経てば、またお会いして、いつものように近況報告や雑談ができると思い込んでいた。

今度の新しい本を、お見せしたかったなあ……。

2018年の抱負

去年の今頃、「1日1回、運動をして、身体を作り直す」という目標を何となく決めたのだが、それを自分でも思いがけないほど継続することができて、身体もそれなりに軽く、動かしやすくなった。僕という人間は、何かしら目標を公言しておいた方が、そのまま遵守できるたちなのかもしれない。

というわけで、2018年の抱負も、決めた。「1日1回、少なくとも1時間、本を読む」。

ここしばらく、本を読む時間が、なかなか作れなくなってきていた。今も家には、まだ読めていない本が10冊以上はある。言い訳めいたことを書くと、日々の仕事自体が執筆や編集で四六時中文字と向き合う作業なので、忙しくて疲れ切っている時に他人の書いた文章を脳に詰め込むのは、なかなかしんどいのである。でも、その一方で、仕事を終えた後も夜更けまでネットをだらだら眺めてたりもするわけで、その時間を1日1時間でも紙の本に振り分ければ、もっと読めるだろうに、と。

というわけで、今読んでいるのは、ずっと前からなかなか読了できないでいた、ソローの「森の生活」。難解な本だからといって放棄するのもちと悔しいので、とりあえず最後まで読み切る所存。

本屋がなければ

昼のうちに今年最後の原稿を推敲して、写真データとともに納品。午後は部屋で音楽を聴きながら、ぱらぱらと本を読む。こういうの、ひさしぶりな気がする。

晩飯に作るカレーの材料と、明日の朝に食べる食パンを買うため、夕方、三鷹駅まで出かける。そういえば、と思って、駅ビルにある文教堂書店へ。年明けに閉店することになったと、Twitter経由で知ったので。行ってみると、店自体の雰囲気はさほど変わらないものの、あちこちに閉店を知らせる貼り紙がしてあって、何だかせつなくなった。

僕が三鷹で暮らすようになって、途中ラダック関係でブランクはあったものの、かれこれ十数年になる。その間に閉店が決まった本屋は、たしかこれで3軒目だ。この界隈に残る新刊書店は、南口のコラル内にある啓文堂書店と、北口から徒歩5分の場所にあるTSUTAYAくらいではないだろうか。

本が、雑誌が売れない。本屋が持ちこたえられずに閉店する。本の流通が減る。この悪循環は、もう止めようがないのかもしれない。それでも、街に本屋がなければ、やっぱり困る。僕らの暮らしの中から、何か決定的なものが欠けてしまうような気がする。だからといって、どうすればいいのか、僕にはわからないのだが。

本づくりを生業にする人間として、いろいろ考えさせられる、年の末。