夜更けのジントニック

先週の土曜日、九品仏のD&DEPARTMENTで、新しいグラスを買った。背高で縁の薄い、ビールとかを飲むのによさそうなタンブラーだ。もちろんビールを飲む時にも使おうと思っているが、うちでの主な用途は、ジントニック。先々月に手に入れたアイル・オブ・ハリスジンがたいそう気に入ったので、よりおいしく飲めそうなグラスを探していたという次第。

アイル・オブ・ハリスジンは、スコットランドのハリス島にある蒸溜所で造られているジンで、ボタニカルの一つにシュガーケルプという昆布を使っている。飲んでみると、味がするのだ、昆布の。氷を入れた背高グラスにハリスジンを注ぎ、その2、3倍の量の炭酸水を注ぐ。口に含むと、爽やかなのに、ほのかな甘みと旨みがある。グラスの形や縁の薄さも、ずいぶん味や気分を左右するものだなと思う。

夜更けに背高グラスで飲む、ジントニック。ささやかな愉しみが、一つ増えた。

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ブルース・チャトウィン「ソングライン」(新訳版)読了。いつか文庫化されたら買って旅先で読もう、と思い続けていたのだが、なかなか文庫化されないのでハードカバーを買った。紀行本というより、旅の時間、過去の記憶、古今東西の文献に記された言葉など、無数の断片を虚実ない交ぜに繋ぎ合わせて、人はなぜ旅をするのか、その理由を追い求めた、彼の思索の書だと思う。個人的には、以前読んだ「パタゴニア」の方が、より破天荒で自由自在な印象があって、好みかも。いつの日か「ソングライン」が文庫化されたら買い足して、旅先で暇を持て余した時に、またゆっくり読み耽りたい。

たたききゅうり

最近、晩飯の副菜に、たたききゅうりをよく作るようになった。

きゅうりを適当な鈍器でたたいて全体に割れ目を入れ、食べやすい大きさに割き、おろし生姜、黒酢、醤油、塩、ごま油で和え、冷蔵庫で冷やす。火も使わずに作れるお手軽メニューなので、夏の暑いこの時期には重宝している。

ただ、最初にたたききゅうりを作ろうとした時、何を使ってたたけばいいんだろう? とちょっと戸惑った。というのも、うちには、すりこぎのような適当な棒や鈍器がなかったのだ。

あれこれ試行錯誤の末に辿り着いたのは、かどやのごま油の瓶。空き瓶があればベストだが、ない場合は中身が噴出しないように口の部分をしっかり手で押さえて、底の方でボクボクたたく。今のところ、うちにある鈍器ではこれがベストだ。

……ここまで自分で書いといて何だが、もんのすごくどうでもいいことだな、これ(苦笑)。

余すことなく

終日、部屋で原稿を書く。昨日ほどではないが、まずまずの進捗。作業のペースも、文体の速度感も、だいぶつかめてきた。

今日の晩飯は、一昨日と昨日に使った食材で余った分を、きっちり使いきれるような献立にした。豚コマとナスとトマトの甘酢炒め、たたききゅうり、舞茸と長ネギの味噌汁。余り食材、割とうまく活用できたと思う。冷蔵庫の中も片付いたし、節約にもなったし、味も悪くなかった。

世の専業主婦・主夫の方々にとっては、こんな風に食材を余さず活用することなど、当たり前のお茶の子サイサイなのだろうな。自分はまだまだ修行が足りぬ。

ゆで塩豚

終日、部屋で原稿を書く。今日は午前中からかなりはかどって、一気に2500字ほど書けたのだが、午後3時頃にはすっかり目と脳が疲れ果て、画面で文字を追うのもしんどくなってしまった。

気分転換にラジオ体操をして、いつもの自重トレーニングのメニューをこなす。スパイダープランク、腕立て伏せ2種、腹筋、スクワット。これで身体の方もまあまあ疲れた。で、そのまま晩飯の支度に突入。

今日作るのは、相方の持っていた高山なおみさんの料理本に載っていた、ゆで塩豚。昨日のうちに塩をすり込んで冷蔵庫で寝かせておいた豚バラ肉のブロックを、酒と昆布、ネギの青いとこ、生姜、ニンニクと一緒に鍋に入れ、ひたひたになるまで水を足し、一度沸騰させてアクを取ってから、弱火でコトコト40分。火を止めて豚肉以外のものを取り出し、粗熱が取れるまで放置。あとはスライスして、パクチーや大葉など好みの香草と一緒に盛りつければ、できあがり。

調味料には、肉と一緒にゆでたニンニクをつぶして味噌などと一緒にあえたニンニク味噌と、南国っぽくスイートチリソースを添えてみた。いやー、うまい。肉、堪能。500グラムはあった豚バラ肉が、二人がかりとはいえ、またたく間になくなってしまった。

何か特別なことをしたわけではないけれど、それでも何と言うか、ささやかな達成感のある一日だった。

ぽんこつ物書き

本を書いている時の物書きは、脳内が常時、文字で埋まってしまってるので、往々にして、日常生活でぽんこつな振る舞いをしでかす。

たとえば、僕自身がついさっきやらかしたのだが、風呂に入りに行って、洗い場でシャワーを使って身体を洗った後、風呂そのものに浸かるのをすっかり忘れたまま、タオルで身体を拭いて出てきてしまったり。居間に戻ってからハッと気付いて、風呂に浸かり直しに行ったけども。

執筆の方はまだまだ始まったばかりなので、これからもいろいろぽんこつなことをしでかしてしまいそうで、ちょっと怖い。まあ、ぽんこつなのは、今に始まったことじゃないけれど。