ノックアウト

昼、三鷹駅前にある行きつけの歯医者へ。この間から痛みが消えない右下の奥歯を診てもらう。

レントゲンなどを撮ってチェックしてもらったところ、以前治療して金属を被せた歯の横の部分から虫歯になっていたらしく、被せ物を外して、歯の悪い部分を削ることになった。事前に患部に麻酔をしてもらい、観念して口をあんぐりと開けた‥‥のだが。

いたたた。いだだだだだ。痛い痛い痛い。

器械による掘削の振動が、ガガガガガ、と頭蓋骨を震わせるほど響いて、治療の間、僕はひたすら身体を硬直させているしかなかった。ボクシングにたとえるなら、1ラウンド2分過ぎくらいで最初のダウンを奪われ、どうにか立ち上がったものの、その後はレフェリーが割って入るまで棒立ち状態で殴られ続けた‥‥という感じ。完全なるノックアウト。

治療を終えて外に出た時、別に何かに負けたわけでもないのに、何ともいえない敗北感を感じた。ずーん。

残り半分

三日くらい前から、急に歯が痛くなった。右下の奥歯に鈍痛を感じて、食べ物を噛むと痛い。ちょっと前まで歯医者通いをしていた時には、特に虫歯があるようなことは言われてなかったのだが、以前治療して金属を被せた箇所の下に問題があるのかもしれない。

昨日、かかりつけの歯医者に予約の電話を入れたものの、明日の昼までは耐えなければならない。こんな時に頼りになるのが、バファリン。一日に二、三回服用していると、とりあえず目立った痛みは感じずに済んでいる。ふう、まじで助かる‥‥。

ところで、このバファリンの半分はやさしさでできているらしいのだが、残り半分は何なのだろう? ‥‥なんか、いかにも大喜利でネタにされてそうだけど(笑)。

原発事故について思うこと

東日本大震災が発生してから、三週間が過ぎた。事故を起こした福島第一原発は、未だに予断を許さない困難な状況が続いている。それに関連して、今感じていることをつらつらと。

僕個人としては、福島第一原発の現状について、楽観も悲観もしていない。罹災直後の数日間に比べれば、東京を含む遠方のエリアまで危険な状況に陥る可能性はいくぶん低くなった。しかし、福島第一原発に近い周辺地域の住民の方々に対する安全性の担保は、十分であるとは思えない。政府は、陸上および海上の周辺地域での放射線の計測を綿密に進めて、万全の上にさらに万全を期して、住民の方々を絶対に安全な環境下に保護すべきだ。「今すぐ健康被害が及ぶものではない」などという言葉は、けっして安全宣言にはならない。政府の仕事は、国民を安心させることではなく、安全を確保するための正確な情報を提供することだ。

今回の原発事故への一連の対応や情報開示の不明瞭さという点で、東京電力に一定の非があることは間違いないし、それらに対して、専門家による冷静な分析と批判は必要だ。でも今、専門家でもない人たちが、恐怖に駆られて感情的になって、東京電力に罵詈雑言を浴びせかけることは間違っていると思う。福島第一原発では今も、何百人もの作業員の方々が被曝の恐怖と戦いながら、決死の覚悟で復旧作業を進めている。自分の代わりにそんな危険を犯して作業してくれている人たちに対して、僕は申し訳ない気持とともに応援こそすれ、罵声を浴びせる気にはなれない。

この事故をきっかけに、これから日本では「脱原発」への動きが加速していくだろう。僕もそれには賛成だけど、「今すぐ、日本の原発を全部ストップしろ!」などという後先考えないヒステリックな主張には同意できない。そんなことをしたら間違いなく、日本という国の社会と経済が破綻する。これからどういった形で原発への依存度を段階的に減らし、代替エネルギー源をどのように確保していくか。そのための具体的で実現性の高いロードマップを示すことなく、ただ闇雲に「止めろ! 止めろ!」と主張するのは、無責任だと思う。まあ、こうしたロードマップは、政府がいち早く主導して示すべきものだと思うが。

僕自身、どちらかといえば原発に対して否定的な感情を持ちつつも、その原発で生み出された電力を甘受して暮らしてきたという矛盾を抱えている。まずは少しでも早く、福島第一原発が安全な状態にまで復旧し、周辺住民の方々が安堵できる日が来ることを祈りたい。

小さな痛み

今日は四月一日、エイプリル・フール。もし、何でもいいから、何か一つの出来事を嘘にすることができるなら、三週間前に大震災があったことを嘘にしてほしい。そんな風に思った人は、きっとたくさんいるのだろうな、と思う。僕もその一人だ。

でも、震災が起こってしまった現実は、もうどうにもならない。僕たちはその結果を受け入れ、少しでも早く、被災した人々が窮状を脱し、普通の暮らしを取り戻せるように、自分にできることを一つずつやっていくしかない。

今、誰もが胸に感じている痛み。それは、被災地の人々に比べれば、何百分の一の小さな痛みでしかないのかもしれない。でも、大切なのは、その小さな痛みを忘れないこと。自分が穏やかな時間を過ごしている時も、被災地には悲しみに暮れている人がいるという事実を忘れないことだと思う。

小さな痛みを胸に抱えて、僕たちはこれからを生きていく。

ビール不足

白木蓮の花が朽ちはじめたと思ったら、東京でも桜が咲き始めたらしい。

毎日、部屋に閉じこもって仕事をしていると、夜の風呂上がりに飲むビールは、気分転換に欠かせないもの。ただ最近は、震災でいくつかのビール工場が被災した影響で、ビールの銘柄によっては品切れ状態に陥っているようだ。いつもはサッポロビールを出している飲食店も、今は一時的に、サントリーのプレミアムモルツに切り替えているのだとか。ううむ‥‥。

幸い、うちの冷蔵庫には、以前買ったサッポロ黒ラベルの備蓄がまだちょっと残っている。近いうちに供給が復活してくれることを祈りつつ、ありがたくいただくことにする。