父が生前に撮影した写真。安曇野にある、冬の早朝に白鳥が集まる池で撮ったものだと思う。父が勤めていた高校の元同僚(僕も教わったことがある)でカメラ仲間の方が、葬儀の時にこの写真を大きく引き伸ばして持ってきてくださった。家族もみんな気に入っていたので、父の訃報を伝えるハガキの裏面にこの写真を刷って、知人の方々に送った。
白鳥の歌、か。カッコつけやがって。
昨日、歯の詰め物が取れてしまったところがあったので、今日は朝イチで歯医者へ。治療はすぐに終わったのだが、保険証が先月末で失効していたことに今頃気付いた。それを市役所に取りに行ったりして、朝から結構バタバタ。
午後は神保町で取材。といっても、僕が取材するのではなく、される側。僕が今手がけている仕事の中でも、写真にまつわる話を中心に聞かれた。それはそれで気疲れしたのだが、さらに追い打ちをかけられたのが、写真の撮影。
「じゃ、扉ページ用の写真は、外で撮りましょうか、外で」
‥‥え? ‥‥そ、外?
かくして僕は、大勢の人が行き交う神保町の街のあちこちで、顔をひきつらせながら、写真を撮られる羽目になったのだった。ただでされ撮られ慣れしていないのに、こんな街の中でなんて‥‥。恥ずかしくて死にそうだった。神保町界隈で働いている知り合いに目撃でもされたら、本当に倒れてしまっていただろう。
いやもうほんとに、ああいうのは勘弁してください。
夕方、今関わっている案件の依頼元から電話。で‥‥ひさしぶりに、やっちまった。電話口でのケンカ。あんなことでカッとなってしまって、我ながら大人げない。頭にきた原因はまあいろいろあるのだが、事前にちょっと準備したり説明してくれたりしていれば簡単に回避できたはずの作業が、先方がそれらを怠ったためにこちらが二度手間、三度手間となっているのが、共通した問題。
編集者という仕事は、ライターやデザイナーをはじめとする周囲のスタッフが、できるだけ円滑に気持よく作業ができるように配慮するのが大きな役割の一つだと僕は思っている。その際、経験が豊富かどうかは実はあまり関係ない。駆け出しの編集者でも、丁寧に心配りをしてくれる人は大勢いる。むしろ、中途半端にキャリアを積んで「自分は仕切れる」と思っている(あるいはただ思い込んでる)編集者の方が、相手の手間を考えなくなったり、仕事が雑になったりしがちになる。経験が足枷になっているわけだ。
今回のやりとりで一番失笑したのが、データを納品する際のファイル名の付け方の件。Mac上でZIP圧縮したデータをWindowsで解凍すると、ファイル名の2バイト文字が文字化けしてしまうので、今回はアルファベットにリネームして納品したのだが、「こちらの指示した日本語ファイル名で納品できないなら、そちらのパソコンにWindowsをインストールしてはいかがですか?」と言われた。そんなことするくらいなら、この依頼、最初から断ってる(苦笑)。
しかしこの世の中、便利なものはあるもので、Windowsでも文字化けしないZIPファイルが作れる「WinArchiver」というアプリがあることを友人に教えてもらった。いやー、Mac最高(笑)。
終日、部屋で仕事。今取り組んでいるのは、某Webサイトに掲載する情報のライティング。昨日の打ち合わせで判明した修正点を反映させて、とりあえず明日納品する分のデータを整理する。この案件の作業分はまだ半分以上残っているのだが、何とか再来週までには終わらせなければならない。
来月からは、去年も関わった媒体の仕事で、何カ所か地方取材をすることになった。もしかすると、北は北海道から、南は九州まで‥‥と、文字通り日本縦断モードになるかも(汗)。同じくらいの時期に、ある書籍に収録する記事のための取材も何件かすることになりそう。そしてもちろんその後は、夏にラダックで取材してきた分の仕事も待ち構えている。何というか、多忙といえば多忙だ。
こういう忙しくて目が回りそうな時、僕なりに編み出した脱出法は‥‥とにかく、さくさく進めてしまうこと。「あーやだなーめんどくせー」と思っても、先送りにしたらさらに憂鬱が続くわけで、だったら少しでもその憂鬱を減らす方向で動いた方が、結局、気が楽になる。それであんまりはかどらなくても、とりあえず進めた、という自分への言い訳にはなるし。
まあそれでも、依然として「あーやだなーめんどくせー」とは思ってるわけだが(笑)。
午後、新宿に出かける。先日実家から引き取ってきた古いカメラ機材を買取査定してもらうため、西口のマップカメラへ。かなりの数だったので、バスタオルを緩衝剤にして機材をリュックに詰めて出かけたのだが、重くてへこたれそうだった。買取価格は‥‥年季が入ってる機材ばかりだったし、まあそんなものかな、という感じ。
夕方から、今取り組んでいる仕事の案件についての打ち合わせ。終わった後、桂花で太肉麺を食べ、さて帰ろうと思ったら、途中で通りがかったビルケンシュトックの店のショーウインドーにディスプレイされていたブーツに一目惚れ。ふらふらと店に入って試着してみると、しっくり馴染んでいい感じ。ええい、ままよと、思い切って買ってしまった。
考えてみると、スニーカーとトレッキングシューズ以外の靴を買ったのって、たぶん六、七年ぶりくらいだ‥‥。ビルケンシュトックなら修理やソールの貼り替えもできるし、末永く使っていけそう。大事に履こうと思う。