ミルクホール

朝早くから家を出て、尾山台にある大学で取材を二件。一件目が終わった後、構内の学食でおひるを食べる。学食で食事をするなんて、何年ぶりだろう。‥‥思い出せない(苦笑)。

僕が大学に通ってた頃、母校の古い校舎の一階には、とにかく安いけどそれ以外に長所を見つけにくい(笑)メニューを揃えた生協の学食があった。確かあれは、ミルクホールと呼ばれてたんじゃなかったかな。

そう思ってググってみると、母校のキャンパスにはものすごく豪華な学食が新設され、件のミルクホールはこじゃれたベーカリーショップに変わっていた。いいもん食ってるんだなあ、最近の学生さんは。

僕の学生時代は、正直、いい思い出を見つけることが難しいくらいの蹉跌の日々だった。ただ、そこで鬱屈したパワーを溜め込んだことが、その後社会に出てからのさらに苛酷な日々を乗り越える原動力になった気もする。

まあでも、もし、もう一度学生時代に戻れるとしたら、普通に遊びたいな。せめて人並みに(笑)。

ありのままを

昨日の夜、ラダックガイドブックの初校が上がってきた。紙のゲラは明日届くのだが、一足先にPDFで全体の様子を見渡してチェックしている。

見ていて思うのは、何というか、「ラダックの風息」と同じ気配をまとった本だなあ、ということ。今回の本はガイドブックだから、内容も造りもまったく違うはずなのだが、全体を通じて伝わってくる気配は、まぎれもなく「風息」のものだ。書き手と撮り手とデザイナーが前と同じだから、というだけでは説明できない理由がある気がする。

たぶん、どちらも「ありのままのラダック」を伝えようと悪戦苦闘している本だから、そんな風に感じられるのかもしれない。伝わっているかどうかは、わからない。でも、僕が伝えたいことは、どちらの本にもありったけ、ぶち込んでいるという自負はある。

編集作業も、いよいよ佳境。最後まで気を抜かずに、いい本を作る。

こういう時にかぎって

昼のうちから、あれこれと細かい仕事に追われる。ガイドブックの地図職人さんからは次々と作成済みの地図の校正が届くし、先週取材した案件の依頼元からは新しい取材依頼が来るし、夕方には、ガイドブック本編の最初のレイアウトデータがアップされてくるしで、ばたばたしてるうちに、もう深夜。

僕みたいにフリーランスで仕事をしていると、一年を通じて平均的にまんべんなく仕事が入ることはあまりなくて、来ない時はさっぱり来ないし、来る時は一度にわっと来たりして、なかなか思うようには捌けない。「あー、こういう時にかぎって、何でまた‥‥」と、惜しい断り方をしなければならないこともあったりする。

それはさておき、こういう時にかぎって、近所の道路工事が夜の10時頃までゴロゴロと続けられてるというのは、まじで勘弁してほしいのだが。武蔵野市には、ほんとに愛想が尽きた。

生き方を選ぶ

昨日の夜は、渋谷のしまぶくろという沖縄居酒屋での飲み会。以前、ジュレーラダックの事務局で働いていた荒川さんが、カナダの農場でのWWOOF生活から一年ぶりに帰国したので、そのおかえりなさい会だったのだ。

僕がジュレーラダックの人たちと知り合ったのはかれこれ五年も前のことになるが、その頃からの顔なじみの面々もたくさん揃って、何だかとても懐かしい気分になった。五年の間に、仕事が変わった人、結婚した人、いろいろあったけれど、それぞれの人生が続いているのだなあ、と感じたり。

人生では往々にして、どういう道を進むか、誰とともに生きるか、生き方を選ばなければならないことがある。そういう選択を一度も誤らずに一生を終える人はまれで、ほとんどの人は、間違えたり、つまずいたり、踏み外したりする。感情に左右されて冷静な判断ができずに、時には誰かを傷つけてしまうこともあるかもしれない。僕自身、今まで何度も間違いを重ねてきた。

でも、最近になって思うのは、生き方を選ぶ時は、それを選ぶ自分自身を後からでも肯定できるような選び方をしたいな、ということ。あとで後悔するかもしれないけど、その時の自分自身まで否定したくはないから。

最後の最後に、「まあ、そんなにひどい人生でもなかったな」と思いながら終われたら、と思う。

音楽のない人生なんて

欲しいCDが何枚か見つかったので、ひさしぶりに店に買いに行くことにした。最近は、アマゾンのアフィリエイト収入として送られてくるギフト券でオンライン購入することがほとんどだったので、かなり新鮮。

出かけたのは、某大手CD量販店。入口から中に入って感じたのは‥‥「あれ?」という違和感。昔はこういう店に入ると、すべてが鮮やかにきらきらと輝いていて、ぶらつきながら棚を眺めてるだけで、不思議にわくわくしたものだった。でも今は、そこかしこに貼られているパネルなどの宣材も、安っぽいというか、色褪せているというか、そこまで気を配る時間もお金もないという感じ。手描きのポップも、すっかり古びてしまってるものが多い印象だった。あくまで個人的な印象だが‥‥苦しいんだろうな、音楽業界も。

だからというわけではないけど、今日は高めのCDを二枚、大人買い。ちょっとは貢献できたかな。音楽のない人生なんて、考えられないし。