暴風一過

昨日あたりから「火曜は大荒れの天気になる」という話をテレビやネットで見ていて、「まあ、そんなにたいしたことないだろ」と思いつつも、今日は午前中のうちにスーパーで買い物を済ませてしまう小市民。食糧もビールも十分。ひきこもり準備は万端だ。

「たいしたことないだろ」と思っていた悪天候は、いやいや、たいしたことあった。午後から夜にかけて、ゴォーッと轟くような暴風が窓の外を吹き荒れる。暴風警報? 竜巻注意報? 仕事のメールのやりとりをしていた出版社の編集者さんたちにも、早々に帰宅命令が出たらしい。ツイッターでも「電車が混み過ぎてて乗れない」「あっという間に全身びしょ濡れ」と、阿鼻叫喚のツイートが連なっていく‥‥。

‥‥すんません、ずーっと家でぬくぬくと仕事してて。おや、止んだかな? 雨。

うたたね

午前中から都心へ。チェックを終えたガイドブックのゲラを編集者さんに引き渡す。まだまだ先は長いが、とりあえず一つの段階をクリアしたことは確か。

何だかホッとした気分で、各駅停車の総武線に乗る。窓からうららかな日射しが射し込む、いい天気。電車に揺られてるうちに、ついついうとうと。気が抜けたからか、やけに眠い。

三鷹に着いてからも、眠気はさっぱり収まらず。ふらふらしながら家に帰り、そのまま寝床にぶっ倒れて、三時間ほども眠った。おかげで今、真夜中になってもギンギンに目がさえている(苦笑)。

栄光と凋落

午後、東京国立近代美術館で開催中の、ジャクソン・ポロック展を観に行く。噂に違わぬ、すごい迫力の作品群。全体の構成や、随所に添えられた解説もわかりやすくて、とてもいい展覧会だった。

ポロックといえば、流れる塗料を画面に流し込むように描く「ポーリング」という技法を使ったダイナミックな作風で有名だが、彼がその技法を使っていたのが1947年から50年頃までのごくわずかな間だったことは、今回の展覧会で初めて知った。ピカソをはじめとする同時代の画家たちの巨大な壁を乗り越えようと悪戦苦闘を繰り返し、ついに辿り着いた、彼ならではの作風。そのまま同じ技法を使い続けていれば、もっと長い間、世間からの喝采を浴び続けられていたのではないかと思う。

でも彼は、その作風をあっさり捨て、さらに新しい技法への挑戦を始める。その挑戦は世間では受け入れられず、失意と苦悩の中で酒に溺れたポロックは、飲酒運転中に起こした交通事故によって、44歳の若さでこの世を去った。

全盛期を築いた作風を捨てたポロックの選択は、愚かなことだったのか? 彼はただ、一人の画家として、表現者として、自分自身に正直なだけだったのではないだろうか? 世間の評価など関係なく、自分が描きたいものを描く。彼の生涯は悲しい結末を迎えてしまったけれど、栄光からの凋落を怖れないその勇気は、素晴らしいな、と僕は思う。

日々勉強

ガイドブックのゲラチェック作業も、どうにかこうにか一区切り。週明けには編集者さんに戻せる状態になった。少なくともあと2回は、これと同じような苦労をしなければならないのだが‥‥(汗)。

編集者として、ライターとして、それなりに長い年月を過ごしてきたけれど、新しい本に取り組むたびに、勉強になることがたくさん見つかるなあ、と思う。今回のガイドブックでも、編集者さんと会って打ち合わせをするたびに、ガイドブックならではの手法に基づいた指摘をしてもらって、「なるほど〜」と納得させられることがある。

結局、想像力なんだな。どういった読者がその本を買って、どんなシチュエーションで、何を求めてその本を読むか。読者の身になってシミュレートしてみると、思いがけない弱点が見つかったりする。自分はまだまだ、そういうところが甘い。日々勉強だな。

雌伏の日々

今週は、ガイドブックのゲラチェックにひたすら没頭している。ソファやテーブルいっぱいにゲラを広げ、赤ボールペンを握りしめ、ここを一行削ろう、この写真を修正しよう、とかいう、とてつもなく地味な作業。

取材に出かける時以外はほぼ自宅で作業しているので、きっと近隣の住民からは、「あそこに住んでる男の人は、いい年こいてニートなのかね」と思われてたりするのかもしれない(苦笑)。実際、近所を出歩く時は、不審者としか思えないズルズルの格好だしなあ‥‥。マンションの管理人さんが僕の素性を知ってくれているのは、せめてもの救いか。ちょっと家を留守にする時でも、連絡したら「またインドですか?!」とか言われるけど(苦笑)。

そんなこんなで、不審者と間違われかねない、雌伏の日々。