タイ 旅の断片(1)

チェンラーイの街で

九月下旬から約四週間、取材の仕事でタイを旅していた。旅行用のガイドブックの改訂に必要な情報のリサーチと追加撮影という割と地味な内容の取材だったのだが、確認して回らなければならない場所が膨大な数だったので、ほとんど休みも取れないほどタイトなスケジュールでの取材になってしまった。いつもの個人的な動機の旅の時のように、異国で過ごす時間を一人かみしめて味わうような余裕はなかったし、旅の様子をなぞれるほどたくさんの写真は撮れなかったのだけれど、それでもちょっとした合間にかろうじて撮った写真を、ここで何枚か載せていこうかと思う。

ゆるめていく

昨日の夜から今日の昼まで、12時間以上寝た。途中、午前中にトイレに起きたりもしたのだが、どうにも眠くて、また横になって眠り続けた。

考えてみれば、タイでの四週間はほぼ一日も休みのないスケジュールだったし、夏にはスピティとラダック、帰ってきてすぐに雑誌のグラビア記事の制作など、ずいぶん早いペースで飛ばし続けてきたように思う。このあたりでゆるめていかないと、先々で無理が出てきそうな気もする。

昼過ぎに起きてからは、おひるにインスタントラーメンを作り、部屋中に掃除機をかけ、積もった埃を雑巾で拭き、昨日買っておいたまほろばの豆でコーヒーをいれた。ようやく、気持が落ち着いた。ペースをゆるめて、自分の歩幅で。

南国からの帰還

四週間のタイ取材を終え、今朝、東京に戻ってきた。思っていた以上にひんやりとした空気。スカイライナーの車窓から見える景色は、もうすっかり秋の気配だった。

土地勘のない国で、毎日うだるような蒸し暑さの中、タイトなスケジュールに追われながら街から街へと渡り歩いた今回の取材の日々は、かなりハードなものだった。最後まで体調を崩さず、特に大きなトラブルに遭遇することもなく乗り切れたのは、僥倖だったかもしれない。達成感というより、ただただほっとしたというのが正直なところだ。

東京に戻ってからも、やらなければならないことはいろいろあるけれど、とりあえず今夜は、前後不覚にぐっすり眠ろう。暑さで夜中に目が覚めることもないだろうし(笑)。

「ソトコト」2013年11月号

「ソトコト」2013年11月号木楽舎から刊行されている月刊誌「ソトコト」2013年11月号に、写真紀行「ラダックとスピティ 2つのリトル・チベットをつなぐ道」を寄稿しました。巻頭のカラーグラビアで8ページにわたって掲載されています。記事の内容は、昨年と今年にラダックとスピティで行った取材の成果を中心に構成したもので、特にスピティについては、ほとんどの写真が未発表のものです。機会があれば、書店で手に取ってみていただけるとうれしいです。

南国への旅

朝起きて、コンビニのサンドイッチをかじりつつ、ベッドシーツなどの大物を洗濯し、近所のコインランドリーで乾燥機にかける。チェックリストを見ながらの荷造りは、あっという間に仕上がった。いつにも増して、荷物が小さくて軽い。防寒着のいらない南国への旅だし、撮影機材も望遠レンズや超広角レンズは今回不要というのもあるけれど、それにしても、ちょっと不安になるくらい、荷物が軽い(笑)。

夜、リトスタで恒例の最後の晩餐。揚げかぼちゃのスパイスサラダ、ブリのカルパッチョ、新さんまの竜田揚げなどをもふもふ食べる。南国は南国で、きっとうまい食べ物があるだろうけど、今回はとにかく忙しいので、楽しむ余裕があるかどうか。まずは、暑さと疲労で体調を崩さないように気をつけつつ、最低限必要な仕事をきっちりこなすように心がけよう。

というわけで、明日から約四週間、取材の仕事でタイに行ってきます。帰国は10月17日(木)の予定。それまでブログの更新はお休みしますので、よしなに。