ごはんの記憶

夜、リトスタで今年最後の食べ納め。ブリと白菜のサラダ、カキフライ、菜の花とベーコンの塩炒めなど、たらふくいただく。

同じ時間帯に、小さな女の子たちのいる家族連れのお客さんが来ていたのだが、女の子のうちの一人が、ごはんを前にきゃいきゃいはしゃいだり、ちょっと何かあってむずがって泣いたりしていた。でも、なんだかそれもほのぼのなごむというか、リトスタらしい情景だよなあ、とあらためて思う。

きっとあの子の記憶の片隅には、今夜のことが、この先もちょこっと残り続けるのだ。古い雑居ビルの階上にあるお店で、みんなと一緒に「おいしいね〜」と言いながらごはんを食べたり、どうでもいいことで泣いたりした記憶が。そのちょこっとしたごはんの記憶は、ささやかだけど、かけがえのないものでもあると思う。

そういうごはんの記憶が宿る場所を、誰も見てないところで毎日一生懸命に準備しながら作り続けている、リトスタのスタッフのみなさん。今年もごちそうさまでした。来年もまたよろしくお願いします。

一応、仕事納め

世間的には、昨日か今日が仕事納めという会社が多いのだろう。しがない自営業である僕も、とりあえず今日で仕事納め、のはず。

先週取材した分の原稿は、かなり件数が多かったものの、どうにかこうにか片付いた。そのうち一、二件が諸事情で執筆が先送りになってしまい、結局年をまたぐことになったのが気がかりだが‥‥。年明けすぐには、割と大きなインタビューの仕事があるし、大事な打ち合わせや、行く末が気がかりな会議などもあるので、何気に気を抜けない。

結局、頭の中がごちゃごちゃと仕事のことで占められたまま、年を越すことになりそうだ。まあ、仕事がまったくなくてヒマを持て余すよりはましだけど。

海外での年越し

ここ何年かは日本で年越しをしてるのだが、それ以前は年末年始に休みを捻出して旅に出て、海外でクリスマスや正月を迎えるという場合も結構多かった。

ふりかえってみると、エルサルバドルでクリスマス、ニカラグアで正月という年もあったし、モロッコ、ミャンマー、南インド、そしてラダックでは二度ほど。旅先で会った人と酒を飲んでた時もあったが、たいていは、一人で何をするでもなく、ごく普通に過ごしてたように思う。もともと、やれクリスマスだ年越しだと世間のムードに影響されるのがあまり好きではないというのもあるが、そもそも海外では、日本のように街の雰囲気までもががらっと変わるようなことは、そんなにないし。

もし、どこか未知の国でクリスマスや年越しを迎える機会があるなら、僕から、一つアドバイスがある。それは、最低限、宿の部屋で口にできるような食べ物と飲み物を確保しておくこと。国にもよると思うけど、こういう時期は、街の飲食店やスーパーなどが一気に早じまいして、食べ物と飲み物が極端に手に入りにくくなる場合があるからだ。僕も以前、それでえらい目にあったことがある。

せっかくの海外での年越しなのに、ハラペコでひもじい思いをしたというのは、かなりせつない思い出だな(笑)。

自分に自信を持つ方法

昨日のクリスマスイブの夜、J-WAVEで毎年放送されている沢木耕太郎さんの番組「MIDNIGHT EXPRESS 天涯へ」を聴いていた。

この番組の中では、毎回何人かのリスナーと沢木さんが電話でやりとりするのが恒例になっている。その中で、就職活動中の大学生の男の子が「自分に自信を持つにはどうすればいいですか?」という質問をしていたのだが、沢木さんはそれにこんな風に答えていた。

「僕には、ある一点においてだけ自信を持って言えることがあります。それは、自分の仕事に関しては、絶対に手を抜かないでやってきたことです」

そうだよな、と思う。沢木さんはもちろんのこと、僕みたいな物書きのはしくれでも、もし手を抜いてしまったら、その結果は自分の名前と一緒にずっと残ってしまうのだ。自分の心の中で消えない呵責としても。

才能もセンスもアイデアもテクニックも、本当にきつい正念場では、自信のよりどころにはなってくれない。それまでに手を抜かずに丹念に積み重ねてきたものだけが、ほんのわずかな自信を持たせてくれる。

僕は、今まで自信らしい自信を持てたためしがないけど(苦笑)、これからも積み重ねていくことをあきらめないようにしようと思う。

がけっぷちからの脱出

夕方、某社の編集者さんよりメール。去年から預かってもらっている新しい書籍の企画が、実務者レベルの会議で承認を得られたとのこと。

この企画、実は今月初旬に一度差し戻しになったのを再提出したもので、今回もダメならその出版社との交渉はあきらめざるを得ない、いわばがけっぷちの状況だった。だから、本っっ当にほっとした。ここしばらく、ずっとこの企画のことが心にひっかかっていて、重苦しい気分から抜け出せないでいたから。

とはいえ、状況はまだ半歩前進といったところ。来月中旬の新刊会議で最終的な承認を得られなければ、大手を振って制作を始められない。企画を通し切るべく、最後の一押しの作業をがんばらねば。