こだわりと独りよがりの間

三日間、ほぼずっと家にいられたからか、身体の疲れもだいぶ取れてきた。身体がしゃっきりしてくると、仕事の効率も上がる。

一冊の本の企画を思いつき、それを作っている間には、周囲の人々から、いろんなことを言われる。ここはこうした方が、あそこはああした方が、それはちょっと違うんじゃないか‥‥などなど。その本のことを深く理解した上で意見してくれている人もいれば、そうでもない感じで割と好き放題に言う人もいる。

もちろん、すべての意見を受け入れる必要はない。でも、時には聞く耳も持たなければ、ただの独りよがりになってしまう。その見極めをどうするか。大事なのは、自分がどれだけその本に対して確固たる信念を持てているか。こだわらなければならないところは徹底的にこだわって、雑音から本を守り抜かねばならない。でも、信念を歪めることなく本のクオリティを上げられるような意見であれば、素直に受け入れる度量を持つべきだろう。

こだわりと独りよがりの間で揺れながら、細いロープにすがりつくようにして、僕は本を作っている。

自炊再開

終日、家で仕事。新しい本のためのインタビューのテープ起こしと、その原稿の執筆。

先月あたりから、忙しさにかまけて食事がおざなりになり、家で作るのもラーメンやうどんやパスタばかりになってしまっていた。来週からは取材件数も減り、自宅で仕事ができる日が増える。だから今日はスーパーで食材を多めに仕入れてきて、本腰を入れて自炊を再開することにした。

今夜作ったのは、ひさしぶりの春の味。菜の花と厚切りベーコンを刻んで、ガーリックオリーブオイルでじゃじゃっと炒め、醤油を回しがけして、どんぶりによそった炊きたてごはんの上にのっける。シンプルな料理だけど、ほんとにうまい。緑の濃い野菜をたっぷりと摂取して、身体も心なしかしゃっきりした気がする。

食べたいものを、自分で作って食べる。やっぱり自炊は楽しいし、ようやく家で落ち着いて仕事をして過ごすペースに戻れた気がする。明日は何を作ろうかな。

中間地点

11時間か12時間、ひたすら眠り続けた。昼過ぎにようやく寝床から起き上がると、身体の後ろ半分が、バッキバキに凝っていて痛い。シャワーで身体を温め、コーヒーをすすると、少しずつ人心地がついてくる。

昨日の取材を終えて、この春でフィジカル的に一番きつい時期はどうにか乗り越えた。もちろん、取材をしたら書かなければならないわけだが、〆切を先に延ばしてもらうようにあらかじめ交渉しておいたので、そこまでスケジュールが切迫しているわけでもない。もちろん、ゴールデンウイークも普通に家で仕事をするという前提での話だが(苦笑)。

今作っている新しい本の作業も、全体のスケジュールで言えば中間地点というところ。掲載する素材がほぼ出揃い、これから編集作業が本格化する。当面の目標は、6月20日に予定している印刷所へのデータ入稿までに、すべてのページの制作を間に合わせること。

気が抜けない日々が続くが、ここからが編集者の仕事だ。

おいしいもの

今日は朝から晩まで、ずっと取材。朝イチで渋谷、そこから向ケ丘遊園に移動し、夜は神保町。取材件数が多い上に、移動も伴う。おまけに、春なのを忘れたような冷たい雨と風。今月に入って一番きつい一日だった。

それでもどうにか乗り切れたのは、一本目の取材の後、移動前に公園通りのマメヒコで、おひるを食べることができたからだと思う。ポット入りのコーヒーと、BLTサンドイッチ。店内はほぼ貸切状態で、窓辺から道行く人々を眺めながら、コーヒーをすすって、しばし気持を落ち着かせることができた。もし、メンドクサがってコンビニかハンバーガーですませてたとしたら、後でもっと消耗していただろう。

おいしいものって、人を支えてくれるものなのだな。しみじみうまかった。

澱が溜まる

朝からあたふたと連絡業務に追われ、昼からは、鷹の台近辺での取材。どうにか今日もやりおおせて、駅に向かって歩いていると、急に身体がだるくなり、頭がずきずきしてきた。

額を触ってみても、熱はなく、むしろ冷たいくらい。これはもう、単なる疲労だな‥‥。先月以来の取材と執筆のくりかえしで、疲れが澱のように溜まってきていたのだろう。睡眠も栄養も気を配ってはいたが、すり減る神経はなかなかリカバーできなかったようだ。

とりあえず今日は、さっさと寝る。明日は6時起きで、朝から夜まで移動しながらの取材。何とか生き延びよう。