やる気の差

昨日は打ち合わせを終えた後、新宿の西口界隈をしばらく歩き回っていたので、ついでに晩飯に何か食べて帰ることにした。

あてにしていたとんかつ屋は満席。他に何かないかと探していたら、新宿の東口にあるラーメン屋と同じ名前の店が西口にもあるのを見つけた。東口側の店にはよく行くのだが、同じチェーンの支店だし、まあいいか、と入ってみることにした。

席についてから、何か違うな、と感じた。一人だけいるお店の人に元気がないというか、やる気がなさそうというか‥‥。やがて、運ばれてきたラーメンを少し食べてみて、びっくり。東口側の店と同じスープ、同じ麺、同じ具材のはずなのに、なぜかおいしくないのだ。スープの温度? 麺のゆで具合? 具材の準備の仕方? たぶん、そういう一つひとつに、ちょっとずつ差があったのかもしれない。

気のせいじゃないの?と言われて反論できるほど、自分の舌に自信があるわけじゃないけれど、お店の人のちょっとした気配りの違いで味に差が出るというのは、結構あるんじゃないだろうか。作り手にやる気がどれくらいあるのかというのも大事なんだろうな、と思った。

トライ・アゲイン

午前中、白山で取材。終了後、担当さんに別れを告げると同時にダッシュして駅に向かい、次に入っていた打ち合わせ場所へ。取材のために僕一人だけ遅れての参加だったのだ。

打ち合わせは、二月末に行くはずだったのが直前でキャンセルになったインド取材について。今年の初夏にかけて、再びトライすることになったのだという。僕自身はまたゼロから事前調整に右往左往することになるが、これも仕事だ。

この夏、場合によっては、自分のラダック取材と合わせて二カ月くらいインドに行きっぱなしになるかもしれない。長いなあ(苦笑)。まあ、昔に比べればどうってことないけど、秋は秋でまたタイ取材が入りそうだし。

その前に、まずはいよいよ始まった大学案件の繁忙期をどうにか乗り切ろう‥‥。

Tromso, Night and Day

ブルーボトルコーヒー

3月11日、あれから四年。急ぎの仕事もないし、何もせずに家にいても、いろいろもやもや考えてしまう。ひさしぶりに天気もいいし、特にあてもないまま、出かけてみる。

電車に乗ってる間に思いついたのは、先週末に表参道にオープンしたというブルーボトルコーヒー2号店に行ってみようか、ということ。昨年来メディアにこぞって取り上げられたせいで激混みだと聞いていたが、平日の午後ならまだ何とかなるのでは、と思ったのだ。

店の場所は、昔のクライアントの出版社が入ってたビルの隣(笑)。行列はあったもののそれほどでもなく、20分ほど待つと中に入れた。店内はシンプルですっきりしていて、店員さんたちの応対も、マニュアルの型にはめられてない感じのよさ。シングルオリジンのケニアと、キャラメルソースのベニエをオーダー。何人かの店員さんが、目の前でコーヒーを次々とペーパードリップしていく。思いのほか注湯のスピードが速くて、ちょっとびっくり。

肝心のコーヒーは、普通にちゃんとしていて、おいしかった。個人的に、コーヒーは「普通にちゃんとしてる」のが、すごく大事だと思っている。特殊な味のコーヒーは、フルーティーだの何だの言われても、どうも苦手で‥‥。これなら大丈夫だと思い、家で飲んでみる用に、ジャイアント・ステップスという一番濃い味のブレンドの豆を購入。200グラムで1500円と、僕にとってはちょっとお高い豆。

ブルーボトルコーヒー、確かに良いお店だし、話題になるのもわかる気がする。でもまあ、平日ですら並ばなければならないあの混みようだと、落ち着いてコーヒーを味わうにはちょっと厳しい。あと一、二年経ってほとぼりが冷めるのを待つか。この界隈、残念ながら大坊珈琲店はもうないけど、渋谷まで行けばマメヒコもあるしね。

というわけで、珍しく流行りに乗ってみたエントリーでした(笑)。

ガイドブックのない旅

二十代の頃、割と長めの旅を二度やった。生まれて初めての一人旅は、上海まで船で渡り、シベリア鉄道に乗った後にヨーロッパを回る約四カ月の旅。二度目の旅は、ロサンゼルスからバスを乗り継いでメキシコと中米を回る約三カ月の旅。この二度の旅の時、僕はガイドブックの類を日本から持って行かなかった。確か最初の旅の時は、バイト先の人から餞別にもらったヨーロッパ全体の地図をバッグに入れてたっけ。

今思い返してみると、別に何か思うところがあったわけでもなく、単にカッコつけてイキがってただけに違いないのだが(苦笑)、最初にガイドブックのない旅から始めたことは、僕にとって、とてもいいレッスンになったと思う。

見知らぬ街に着くと、まず情報を探す。ツーリストインフォメーションや街の本屋で地図を探し、あれこれ人に聞いてみたり。どこに安宿やユースホステルがあるのか、どこに市場や安食堂があるのか、歩いて探す。もちろん不安にかられはするのだけれど、それ以上に、何ともいえない、ぞくぞくするような愉しさがあった。うまくいく時もあれば、いかない時もある。それもこれも全部ひっくるめたものが、僕にとっての旅だった。

今は、世界のどんな辺境でも何かしらのガイドブックや、Webにまとめられた情報がある。スマートフォンが一つあれば、見知らぬ街でも目的の場所まで迷わず一直線に辿り着ける。どこにどんな安宿があって、どこで地元の名物が食べられるのかもすぐに調べられる。確かに便利だ。でもそこには、僕が二十代の頃に感じていた旅の愉しさはない。

おすすめはしないけれど、ガイドブックのない旅も、愉しいものだよ、とは言っておきたい。