忙殺の季節

新しい本の編集作業はほぼ終わったけれど、それと入れ替わるようにして、大学案件の繁忙期が始まりつつある。

二月も取材がちょこちょこ入ってはいたのだが、三月は、来週の一泊二日の長野出張(汗)を皮切りに、再来週は栃木へ日帰り。都内での取材もみっしり入ってきそうだ。毎年恒例のこととはいえ、しんどい季節である。

今年は本の発売に合わせて複数のイベントや展示が立て続けにあるし(まあそれは自分で決めたことだけど)、Web連載の記事の書き溜め作業もあるし、ラオス取材の成果もまとめなければならない。去年よりは確実に、体力的に厳しくなりそう。何とか乗り切らなければ……。

……とりあえず、来週、長野に行ったら、何かうまいもの食べて、憂さ晴らししてこよう(笑)。

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イザベラ・バードの「日本奥地紀行」読了。初めのうちは「ずいぶんあけすけな物言いのおばさんだなあ」みたいな印象だったのだが、読み進めるうちにだんだん面白くなってきて、特に北海道に上陸してアイヌの村を訪れた時の描写にはぐいぐい引き込まれた。今から140年前に日本でこういう旅をした外国人女性がいたというのは、すごいことだと思う。同時に、ほんの140年前まで、日本はこんなありさまだったのか……と、理屈ではわかっていても結構衝撃的だった。おすすめの一冊。

近づく幕切れ

週末から今日にかけては、ほぼずっと、今作っている本の色校をチェックしていた。印刷会社さんが頑張ってくれたおかげで、現時点でも色の出方は、かなりいい。本紙で刷る時もこの調子で出せれば、初版よりずっとレベルアップした仕上がりになると思う。見本誌を手に取るのが今から楽しみだ。

……と同時に、ちょっと寂しくもある(苦笑)。本を作っている間は、やっぱり、とても楽しいから。自分の頭の中で思い描いているもの、伝えたいこと、それらをあらんかぎりの工夫を凝らして、紙の束の中に封じ込めていく作業。作っている間、自分の手の内には、無限に思えるほどの可能性の選択肢があるような気さえしてくる。

でも、まあ、幕切れは必ずやってくる。本ができあがった時、自分の選択が正しかったか、それとも単なる独りよがりだったか、答えはおのずとわかるはず。これだけ何冊も作ってきていても、いまだに自信は持てないけれど。

まあいいや。幕切れの時間まで、本づくりを精一杯、楽しもう。

食うべき時に食わないと

午前中、本の色校一式が届く。午後は昨日取材した分の原稿を書き、夜から再校の赤字と色校の突き合わせ。夜中までかかって、とりあえず一通り目を通し終える。あと何回かは見直さなければならないけど。

二月は本当に忙しかった。現在進行中の新刊の編集作業はもちろん、大学案件の取材、来月のイベントや展示の準備、その他いろいろ……。確定申告の準備とかまで。何より、二月は、28日間しかない(苦笑)。実際、この短さのせいで、かなり追い込まれてしまっている。そしてたぶん、三月はさらに忙しくなる……。

こういう時の僕の悪い癖は、食事にまったく気が回らなくなることだ。うっかりすると、昼も夜もラーメンとか。人間、食うべき時にがっつり食っておかないと、力が出なくなるし、肝心な時に風邪とかひいてしまう。なので、今日はごはん鍋で米を炊き、豚バラ肉と根菜でカレーを作った。

熱くて辛くてうまいものを、はふはふ言いながら、たっぷり食べる。何だか、ふーっと、落ち着いた。普通に生き物なんだな、俺。

隙間の時間

午後、赤羽で取材。諸事情で手こずった昨日に比べると、今日は相手の方にも助けられて、とてもスムーズに進められた。話が盛り上がりすぎて、収録後の撮影が押してしまいそうになる寸前で、さりげなくまとめることもできたし。誰もそのテクに気付いてないし、ほめてもくれないけど(笑)。

三鷹には夕方の早い時間に着いたので、すぐに家に帰って、パスタか何か適当に晩飯を作ってから昨日今日の原稿に取りかかるつもりでいたのだが、ふと思いとどまって、喫茶店に入る。マンデリンを1杯注文し、読みかけの文庫本を取り出して、1時間くらい、ゆっくりと読む。

何てことのない1時間だったのだが、緊張していた神経が、ゆるゆると解きほぐされた気がした。人間には、こういう隙間のような時間が必要だ。テトリスみたいにすべてを追い込んでいくと、たいてい、ろくなことにならない。

三寒四温と言われても

いきなり、時間が真冬に巻き戻ってしまったかのような寒さ。雨とも言えないほどの小さくて冷たい雫が、ぽたり、ぽたりと、ジャケットの表面で音を立てる。

午後、調布で大学案件の取材。割とすぐに終わるはずが、先方の都合などで思いのほか長引いた。終わった頃にはすっかり真っ暗。あいかわらず雨は冷たい。駅前で煮干しラーメンを食べ、ちょっとほっとしてから、出発間際の三鷹行きバスに飛び乗る。何だろう、今日はそんなにたいしたことないはずなのに、妙に疲れている。

明日の午後も大学案件の取材だ。今年もまたこの季節がやってきたなという感じ。自分の新刊の校了作業もこれからだし、うっかり体調を崩さないように、気を引き締めていこう。