灼熱からの帰還

昨日の朝、予定通りの便で、タイから東京に戻ってきた。

今年のタイ取材は、出発の時こそ台風で波乱含みのスタートだったが、現地に着いてみると、最初のチェンラーイでの2日間と、後半のカンチャナブリーでの2日間、そして最後のバンコクでの短時間の気まぐれなスコールを除いて、まったく雨に降られなかった。過去5回の取材をふりかえっても、こんな年は本当に珍しい。

まあ、雨が降らないということは、取材中も毎日ずっとカンカン照りの中を歩き回ったり自転車を漕いだりしないといけないわけで、案の定、顔や手足の露出してる部分の皮膚は、自分でも鏡を見て引くくらいの黒焦げ。結構まめに日焼け止めを塗っていたのだが、灼熱の太陽はまったく容赦してくれなかった。取材中も、行く先々で現地のタイの人に「暑いのに大変ですねえ。水、飲みます?」と気の毒がられてたし(苦笑)。

そんな暑い中での連日の取材なので、例年だと、タイから戻ってくると身体が重だるくて、ダメージが抜けるのに1週間くらいはかかってたのだが、実は今年はそこまでダメージが蓄積していない。それはなぜか、という件については、次のエントリーで。

嵐の前の日曜日

タイへの出発前日。今日は割とのんびりした、いい一日だった。

ゆっくり寝て起きて、先週恵比寿のヴェルデで買った豆でコーヒーをいれ、三鷹から西荻窪に移転したパン屋トキドキの食パンで朝ごはん。午前中のうちに荷造りを仕上げ、家のすぐ近くのパスタ屋(ブリュードッグのビールが4種類も揃っている!)でナポリタンとジャックハマーのおひる。駅前のスーパーで少し買い物をして、午後は家で仕事関係のメール書き。夕方から米を炊いて、晩ごはんは豚バラのしょうが焼きと、長ネギとお揚げの味噌汁。

しかし、そうこうしてる間にも、台風24号はひたひたと迫ってきている。たぶん、今日の真夜中頃に東京に最接近するのだろう。今日の昼過ぎには、首都圏のすべての在来線が20時で運転を取りやめると発表されていた。ある意味、日曜だからできる判断なのだろうが、それだけやばいレベルの台風が近づいてきてるということでもある。

明日、どうにか無事に出発できたら、しばらくこのブログの更新はお休みします。帰国は10月27日(土)の予定。

チャーミー接近

昼、町田へ。前々から依頼されていた、町田市立国際版画美術館で開催中のヨルク・シュマイサー展の会場で、ラダックについてのギャラリートーク。あいにくの雨だし、場所も町田の駅から結構離れたところなので、人はあまり集まらないかなと思っていたのだが、思いの外、大勢の方々にお越しいただいた。今年の夏のツアーのお客さんもお二人来てくださったし、本の読者の方も何人かいらしてくださって、ありがたいことだなあ、と思う。ともあれ、出発前の外での仕事は、これで片付いた。

そう、来週月曜から約4週間、恒例のタイ取材が始まる。やっと東京も涼しくなってきたというのに、僕だけ夏に逆戻り(苦笑)。まあ仕事は仕事だし、何だかんだで今年で6年目なので、しょうがないと思ってる面はあるのだが、ここに来て最大の問題は、チャーミー。台風24号である。

数日前の天気予報では、僕が乗る羽田発バンコク行きの便が出発する月曜の午前中に関東地方も台風に巻き込まれるという予想が出ていて、これはまずい、と僕も焦って関係各所に相談したりしていた。その後、台風の移動速度が速まって、日曜の未明には通り過ぎそうだという予報に。とりあえずほっとしたのだが、残る問題は、風だ。台風が通過した後も強風が収まらないようだと、場合によっては飛行機の出発時間が遅れるかもしれない。2時間以上遅れると、バンコクからのチェンラーイ行きの便に乗り継げないので、かなりめんどくさいことになる。

くっそ、チャーミーめ。そうでなくてもしんどい長旅の始まりなんだから、せめて心穏やかに旅立たせてくれい。

コツをつかむ

購入して以来、食事を作る際に試行錯誤を続けている、ストウブの鍋での調理法。この間は無水調理に挑戦して失敗してしまったが、昨日はホワイトシチュー、今日はひき肉じゃがを作って、どちらも割とうまくいった。

ストウブの鍋は、他の普通の鍋と同じ分量、同じ火加減でいくとあまり思い通りにいかない。その違いが生じる原因は、いったん熱くなると保温効果が持続する分厚い鍋と、内部の蒸気が逃げにくい重い蓋にある。

なので、煮物系の料理を作る時は、使う野菜の種類や量にもよるが、水やだし汁の類はレシピなどで示されている量の3分の2か4分の3くらいに。火加減は、最初に中火である程度煮立ってきたら、弱火よりもさらに弱いトロ火にまで落とす。煮る時間も1.5〜2倍くらい長めにして、火を止めた後も蓋を閉じたまま、しばらく余熱調理をかける。

こういう感じで煮物を作ると、野菜から出た水分で煮汁がちょうどいい分量になり、野菜の旨味もいい感じで煮汁に移る。鍋自体の熱保持力でじわじわ加熱していくので、じゃがいもやにんじんもきっちり火が通りながらも野菜らしい食感を残して煮上がる。

こんな風に書くといいことずくめのように思えるかもしれないが、弱めの火加減でじっくりコトコト、というのが基本の鍋なので、時間がない時に急いで調理するのにはあまり向いてない気もする。放置時間が長いので手間はそんなにかからないけど、準備時間に余裕がある時に使うのがよさそうだ。

ともあれ、だんだん、コツがつかめてきた気がする。

無水調理に挑む

先日買ってカレーを作ってみて以来、すっかり気に入ってしまったストウブの鍋。その後、この鍋を使った調理法をまとめた本を本屋で探してるうちに「ストウブで無水調理」という本を入手。今夜はこの本に載っていた「鶏肉の無水煮込み」というレシピを試してみた。

鍋にオリーブオイルを入れて中火にかけ、大きく櫛形に切った玉ねぎを入れて少し焼き目をつけ、その上に事前にしっかり塩で下味をつけた鶏もも肉を並べ、ぶなしめじをどっさりと。塩を振って蓋をして、隙間から湯気が出てきたら弱火にして、約40分から1時間。その後も鍋が冷めるまで放置して余熱調理して、食べる前に少し温めて塩胡椒をしたら完成。

……という手順で挑戦してみたのだが、結果は、失敗。無水調理で出てくるはずの煮汁があまり出て来ず、玉ねぎが鍋底で焦げ付いてしまった。原因としては、玉ねぎの量がちょっと少なかったこと、最初に蓋をしてからの加熱がやや足りず、その後の弱火の火加減は逆にやや強すぎたこと。弱火にかける時間もちょっと長すぎた。反省。

ただ、玉ねぎは大半が鍋底で焦げ付いてしまったのだが、その上の鶏肉やぶなしめじはとてもいい感じで火が通っていて、ほぼ塩だけで味付けしたとは思えない柔らかさとうまさだった。ストウブの鍋のポテンシャル自体に間違いはない。これから先、何度かトライしていけば、うちの台所での最適な調理の段取りもつかめると思う。

まあ、無水調理という手法自体にそこまでこだわりがあるわけでもないんだけど。明日は普通にホワイトシチューを煮るつもり。