Category: Diary

2017年に買ってよかったもの

2017年に買ったものの中で、一番「買ってよかったなあ」と思ったのは、ダントツで、体重計(笑)。タニタのHD-661-WHという、ただ体重を計る機能だけの、超シンプルな製品。

思い起こせば、去年の年末年始、安曇野の温泉の脱衣場で何の気なしに体重計に乗ってみたら、自分史上過去最大の68キロ台を記録していたのだった。忙しさにかまけての不摂生と慢性的な運動不足が祟ったのだろう。で、帰京してすぐにアマゾンで体重計を注文し、それまで毎晩1缶飲んでいたビールを2日に1缶に減らし、腕立て伏せと腹筋とスクワットを毎晩やりはじめた。体重計には毎朝起き抜けに乗り、前日からの増減を確認することにした。

毎朝体重をチェックしていると、しぜんと無茶な不摂生は控えるようになる。たまに飲み会でしこたま飲んでも、翌日と翌々日はちょっと節制してリカバリーに充てたり。食事制限のように変に何かをストイックに我慢することはまったくしていないのだが、自分の身体の状態が数値で目に見えるというだけで、人間の意識は結構変わるものだ。

その後、体重自体は1カ月ほどですとんと3キロ落ちたが、毎晩身体を動かしながら痛感したのは、二十代の頃に比べて明らかに筋力が低下していたことだった。体重は昔と大差なくても、筋肉と脂肪の割合が変わってしまっている。だから体重がある程度目標値まで落ちてからも、毎晩のエクササイズは継続し、少しずつ負荷を上げていった。これも、続けることがストレスになるような無理なやり方にならないように気をつけた。

今では、毎朝体重計に乗って、毎晩身体をちょこっと動かすことが、日々のちょっとしたお楽しみのような感じになっている。身体と手足が自分の思いのままに軽々と動かせるのは、やっぱり気持いい。重い撮影機材を背負って取材現場を駆けずり回る時も、ある程度は無理が効く。この習慣、来年以降もちまちまと続けていこうと思う。

夕焼けの色

午後、八王子で大学案件の取材。帰りの中央線の中で見た夕焼けの淡い色が、とても綺麗だった。冬になって、大気が乾いて澄んでくると、ああいう淡い色になるのかもしれない。そういえば、ラダックで見る夕焼けは、ほとんどが淡い色だったような気がする。色が変わったと思ったら、あっという間に夜になるような。

以前、夏のカンボジアを乗合のワゴン車で移動していた時に見た夕焼けは、すごかった。熟れに熟れたザクロのような真紅の夕焼けが、東西南北、空のすべてを覆い尽くすように広がっていた。東南アジアの湿気で潤んだ大気の中だと、空もあんな風に染まるのだろう。

極北の地、アラスカでは、夕焼けの色も淡いのかといえば、そうでもない。大気に湿気は感じないのだけれど、夕焼けの色は、時にはまるで超高温で燃える炎のように鮮やかで、自然のものとは思えないような色になる。しかも、日によって、天気によって、同じ場所でも空の表情はまるで違うのだ。

そんなことを考えていたら、そろそろまた、旅に出たくなってきた。

世界を変える美しい本

この間の日曜は、吉祥寺からバスに乗って成増まで行き、終点からしばらく歩いて、板橋区立美術館へ。「世界を変える美しい本 インド・タラブックスの挑戦」展を見に行った。

インド各地の民俗画家たちの描いた絵を、手漉きの紙にシルクスクリーンで印刷し、手作業で綴じた本。チェンナイにある小さな出版社、タラブックスは、今の時代の流れとは真逆に位置する本たちを、世に送り出している。彼らの作る本の美しさは、それ自体に作り手たちの考え方や働き方、生き方が色濃く投影されているからこそだと感じた。同じ本づくりを生業にする者として、うらやましく思えるほどに。

本づくりという仕事を、あきらめるにはまだ早い。そんな勇気をもらえたような気がした。

はかどる日

今日は家で仕事。夕方、近所の歯医者に歯石除去をしてもらいに行ったが、その前後に、大学案件の原稿を結構順調に書き進めることができた。それでいて、夜はちゃんと米を炊いて、白菜と豚バラの酒蒸しを作ったし。我ながらよくがんばったと言える。

こういう、何もかもはかどる日というのもあるんだな、と思いつつ、ちょっといい気になっていたら、急に情報が入ってきて、新しい本に追加するためのデータ作成に急遽突入。結局、今日の仕事が終わったのは、真夜中過ぎだった。

世の中、そういうものである。

美しき世界

昼、列車を乗り継いで、都心へ。今作っている本の打ち合わせ。先月ずっと整理作業に取り組んでいたゲラ一式を引き渡し、細々とした項目のチェックと、今後の段取りの確認。盤石の布陣の制作チームなので、安心しておまかせできる。ここまでかなりの突貫作業だったから、正直、ほっとした。

出版社を出た後、八丁堀から八重洲まで歩く。黄金色の銀杏の葉が、西日に燦々と輝いている。風が冷たい。八重洲の地下街に降りて、スタバで普通のコーヒーと、温めてもらったワッフルを注文。中央線に乗り、三鷹へ。電車の車内にも、暮色の空からこぼれてくる西日の光があふれていて、眩しい。ベレー帽をかぶった丸眼鏡の女の子が、イヤフォンをつけたまま、一心不乱にiPadを見つめている。

どうということのない時間なのだけれど、世界は美しいな、と思った。