Category: Diary

しなやかに動けるように

一年ちょっと前から始めた、毎晩の身体を動かす習慣。何かと飽きっぽい僕にしては珍しく、いまだに地味に続けているのだが、最近はちょっと意識の置きどころを変えている。むやみに負荷や回数を上げていくのではなく、各関節の可動範囲を意識したやり方を取り入れるようにしたのだ。

こういうアプローチは、去年の暮れに買った「プリズナートレーニング」という本(表紙のイラストは結構ギョッとするが、内容は至極まじめ)を読んでから意識するようになった。たとえば、肘にしろ、膝にしろ、浅く曲げて伸ばす時の筋肉の使われ方と、めいっぱい深く曲げてから伸ばす時の筋肉の使われ方は、かなり違う。いろんな種類の動きに対応できるようにするには、深く曲げた状態からでも無理なく力を出せるようなエクササイズを、段階を踏んで積み重ねる必要がある。

たとえば、僕は数年前に撮影中に膝を傷めてしまって、痛みがなくなってからも、結構恐る恐る脚を動かしていた。スクワットをする時も、浅めの角度で回数も抑えめ、といった具合に。でも、去年の暮れ頃からは、机などに手をかけて脚にかかる負荷を分散させながら、脚をゆっくり、じんわりと、深い角度まで曲げる形のスクワットに取り組むようになった。すると、膝周りの心もとない感触が消えてきて、深く曲げ伸ばしする動かし方でも不安がなくなったのだ。一種のリハビリに近い効果があったのだろう。今はノーマルなハーフスクワットに移行していて、この後はフルスクワットも無理なくできるようになればと思う。

腕立て伏せの方でも、両手を肩幅くらいに置いてやるノーマルのやり方から、両手の人差し指が触れるくらい幅を狭めた状態で、肘を深く曲げ伸ばしするやり方を取り入れてみた。今まであまり使っていなかった腕の筋肉を動かせるようになった感覚がある。これも真面目に続けていけば、いつかは片手腕立て伏せとかもできるようになるかもしれないが、まあ、二、三年後くらいかな(苦笑)。

僕はアスリートでもボディビルダーでもないけれど、ええ年こいたおっさんになっても、自分の身体はそれなりに思い通りに、しなやかに動けるようにしておきたいとは思う。なので、今後も地味に、続けていく所存。

はっと我に返る

昨日の夜のうちに仕訳帳を整理して数字の確認を終え、今日は昼のうちに、決算書や申告書類を作るための準備。これであとは、来週末以降に税務署に行って、最終的な書類を作って出すだけだ。ほとほと疲れ果てたけど、一番嫌な作業が片付いたので、ほっとした。

晩飯にレタスと根菜のスープを作って食べ、さて次は何の作業をすればいいのか……とりあえずシャワーを浴びながら考えよう……と思って、熱い湯を浴びているうちに、はっと我に返った。毎日々々、朝から晩まで、常に何かをやり続ける必要はない。それでなくても、ここしばらく、いろんな作業に振り回され続けていたのに。明日の昼には新しい本の再校もどっさり届くし、今夜くらい何もしない時間を作らないと、そのうち神経が焼き切れてしまう(苦笑)。

「時間のあるうちに、何かしておかなきゃ」という強迫観念に、いつのまにか飲み込まれかけていた。落ち着け自分。

ごった混ぜ進行

とにもかくにも、今の時期、確定申告の準備がつらすぎる。

それでなくても、新しい本の編集作業は佳境に突入しているし、各方面との連絡業務、展示やイベントの準備、国内での取材の準備、先日のラオス取材の写真の現像と整理もある。あらゆることがごった混ぜの同時進行。そんなところに確定申告みたいなものをぶちこまれた日には……。もともとシングルタスクな旧人類なので、こういう状況に陥ると、目が回りそうになる。

ともあれ、仕訳帳などの整理はさっきどうにか終わって、あとは決算書などを準備すれば……というところまで漕ぎつけた。達成感とかはまるでなく、ただただ感じるのは、徒労感。やれやれ。

残りの時間

昨日、本屋に入って、ぶらぶらしながら棚を眺めていて、ふと、僕にはもう、ここに並んでいる本を全部読み通すだけの時間は、たぶん残っていないのだろうな、と思い当たった。

世界地図を眺めてみると、確かに、今までに行ったことのある国はそれなりに多いけど、行ったことのない国、行きたい場所に全部行けるかというと、たぶん、そこまでの時間は残っていない。

今、僕は本を作る仕事をしているけれど、はたして、あと何冊、作ることができるだろうか。10冊? 5冊? それとも……。

願いを全部叶えるだけの時間は、僕にはない。結構歳も取ったし、そもそも人間の寿命なんてたかが知れている。残りの時間の中で、何を選び取るか。これからは、今まで以上に慎重に、考えなければならないのかな、と思う。

夕暮れの中を歩く

午前中、八丁堀で打ち合わせ。今作っている本の初校戻しと、PR関係の確認など。昼には終わったので、八重洲まで歩いて、地下のエリックサウスでランチミールス。平日ランチタイムの店内は戦場のような忙しさだったが、お客さんを笑顔で巧みにさばき続けるスタッフさんたちのチームワークに感心させられた。

午後は小石川のジュレーラダック事務所に寄って、買い取ってもらった本につける小冊子とポストカードの納品と代金の清算。それから荻窪の雷鳥社に行って、社内で発掘してもらった小冊子とポストカードの引き取り。その後、ひさしぶりにTitleさんに寄った。眺めているだけで楽しくてワクワクする本棚。奥のカフェでコーヒーとアップルパイをいただきながら、本を読む。気になってた本も一冊買った。

店の外に出ると、澄んだ空が暮れ色に染まりはじめていた。そんなに風も冷たくなかったし、歩けるだけ歩いたれ、と思って、西に向かって歩き出す。途中、わざと知らない道に入っていってみたり。きれいな夕暮れだった。街がシルエットになり、灯りが点きはじめる。三鷹の自分の家まで、1時間半くらい歩いただろうか。頭と身体の内側がすっきりするような散歩だった。