Category: Diary

本は人を繋ぐ

昨日は、昼の間に書店回りをし、午後は板橋方面で取材。その後、夕方から渋谷にある旅行会社さんの事務所で、打ち合わせという名の飲み会。餃子の達人と厚焼き卵の達人がいらしたおかげで、うまい料理とうまい酒を、たらふくごちそうになってしまった。参加してくださったみなさんもとても楽しそうで、何よりだった。

しかし昨日の集まりは、何だか、とても不思議な気分にさせられた。もし、僕が過去に作ってきた何冊かの本の仕事がなければ、あの場所にいた人たちは、互いに出会う接点もまったくないまま、今に至っていたかもしれないのだ。

自分が引き合わせたなどと傲慢なことを言うつもりは毛頭ない。ただ、その時その時の自分のベストを尽くして良い本を作ろう、ともがき続け、ささやかながら世に送り出してきた本たちが、結果的にある種のかすがいとなって、今もいろんな人たちを繋いでくれているのかもしれない、とは思う。

本は、人と人とを繋いでくれる。

エアポケット

毎年、この時期は大学案件の取材の繁忙期なのだが、先週末からずっと家にいられる状態が続いていて、ちょっとほっとしている。

というのも、今週から来週にかけて、結構な本数の取材が固め打ちで入りそうという打診が依頼元の会社からあって、どの日に取材が入っても対応できるように依頼元が僕のスケジュールをまるっとキープしたのだが、それらの予定がズレにズレて、今週入ったのは金曜日の1件のみ。他の大学の取材は別のライターさんたちに割り振られていたので、まるっとキープされていた僕だけ、まるっとヒマになってしまったという次第(苦笑)。

まあ、こんなエアポケットのような時間をもらえたのも、ラッキーといえばラッキーかもしれない。というのも、来月上旬から掲載予定のWeb連載の原稿が、まだ全然できてなかったから(汗)。なので、家にはずっといるものの、結局あくせくと働いている。むしろだいぶ忙しい。

で、今週から入る予定だった固め打ちの取材がどうなったかというと、連休の始まる直前と、連休の中日に、ごっそり入ってしまった。やれやれ。今年の僕の連休は、もう終了してしまったらしい(苦笑)。

人見知りのままで

半世紀近く生きてきて、ようやくはっきりと自覚したのだが、僕は根本的に、人見知りなのだと思う。

年がら年中、国内外で初対面の人に取材しまくってるくせに、と言われそうだけど、取材の時は仕事と割り切ってるので、業務モードのうっすらとした仮面をつけてふるまっている。だからそこそこ無難に立ち回れるのだが、たまにどうしようもなく「あ、この人、絶対に合わない」という人に取材先で出くわしてしまうと、自分の中の拒絶反応を抑えるのにものすごく苦労する。たぶん、2割くらいは表に出ちゃってるんだろうな(苦笑)。

業務モードでない時は、多人数の飲み会とかもごくたまに勇気を振り絞って足を運んではみるのだが、たいてい一番隅っこの席に逃げ込んで、一人でビールを飲みながら「時よ早く過ぎろ」と念じている(苦笑)。知ってる人ばかりだと大丈夫なのに、やはり初対面の人には気後れしてしまう。

でもまあ、それはそれでいいか、と思う。別に、他人との出会いをシャカリキに求めてるわけでも、自分を認めてほしいと渇望してるわけでもないし。自分は自分。やるべきことを淡々と積み重ねながら、毎日を生きていく。繋がる人とはいつか繋がるし、繋がらない人とは無理に繋がる必要もないし。

明日も、明後日も、淡々と、生きていこう。

余白の時間

何日かぶりに丸一日、家にいられた。先週から手元にたまっていた取材原稿も、深夜にちまちま書き進めておいた甲斐あって、だいぶ片付いてきた。ようやく、手綱をたぐり寄せることができた気がする。

コーヒーを淹れたり、晩飯にスープを煮たり、腕立て伏せをしたり、本を読んだり。何気ないことを、ゆったりとやる。そういう余白のような時間が、ずっと必要だった。余白の時間があるからこそ、ぼんやりとあれこれ考えごとができるし、その中から、ぽん、とアイデアが浮かんだりするし。

しばらく前に浮かんだアイデアは、我ながら、なかなかいい。もうしばらくぼんやりしながら、この生みたての卵みたいなアイデアを、温めることにしよう。

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ジェームス・ワット「ビジネス・フォー・パンクス」読了。破天荒な戦略で急成長したスコットランドのクラフトビール会社、ブリュードッグ創業者の書いた本。ビジネス書というより、純粋に彼と彼の仲間たちの生き様の本だと思った。「人の話は聞くな、アドバイスは無視しろ」……ふりかえってみれば、自分もそうだったかも(笑)。サクサクと小気味よく読める本だが、編集者として気になった点が2つ。1つは、僕が手にしたのは4刷目の本だったのだが、それでも結構な数の初歩的な誤植がまだ本文中に残っていたこと。もう1つは、よりによって自分はビールを飲めない(!)とのたまう大学の先生に、長々と解説文を書かせているということ。

「どぶ汁」堪能

昨日の夜は、新刊「ラダック ザンスカール スピティ[増補改訂版]」の制作チームでの打ち上げ。八丁堀の出版社の近くにある海鮮居酒屋にて。

供されたのは、北茨城の漁港から直送されるという魚介の数々。かれいその他の刺身盛り合わせ、平目のえんがわの煮付け、あんこうの刺身、あん肝の天ぷら。そして〆はあんこう鍋。現地では「どぶ汁」と呼ばれる漁師料理だそうで、具は大根とネギ以外、あんこうの各部位とあん肝だけ。水はいっさい入れないそうだ。ものすごく濃厚に見えて、すすってみると意外とさっぱりとした旨み。残りの汁で仕立ててもらった雑炊がまた絶品だった。

生まれてこのかた、これだけ一度にあんこうを食べたのは初めてだったのだが、何だかくせになりそうだ。いつかまた、一冊いい本を作り終えることができたなら、また「どぶ汁」を食べに行こうと思う。