Category: Diary

進化と退化

MacとiPhoneで使っていたTwitterアプリを、Twitter純正のものから「Tweetbot for Twitter」に変えた。Mac OS版のTwitter純正アプリのサポートが終了してしまったというのが理由の一つ。複数のアカウントを管理しているので、ブラウザなんぞでいちいち見てられないし。

Tweetbotはアプリとしては少々値が張る(1200円と600円)が、動作はチャキチャキと小気味いいし、機能的にも特に欠点らしき点はない。iCloudを介して異なるデバイス間でも未読管理などのデータを同期できるのも便利。もっと早く導入しておけばよかったと、ちと後悔。

で、あらためて感じたのは、TweetbotのようなシンプルなツールでTwitterを使うと、こんなにも快適なのか、ということ。特に最近のTwitter純正iPhoneアプリは、余計な機能を次から次へと突っ込まれて、カオスとしか言いようのないツールになってしまっていたから。「最近のハイライト」などによる時系列表示の混乱、他人が「いいね」したツイートをなぜか第三者のタイムラインに表示、トドメはこの上なく下世話な広告の大量投下。

開発側は、ユーザーをつなぎ止めるためにあれこれと新機能をひねり出しては継ぎ足しているのだろうが、先々のビジョンの見えない機能追加は、ツール本来のコンセプトとよさを損ねる結果にしかならない。進化させようとしたつもりが、実は退化にしかならなかった、みたいな。これは、世の中にある他のいろんな物事にも当てはまるような気がする。

遠出を終えて

一昨日と昨日は、1泊2日で長野に出張。上田市と長野市で、取材を計3件こなしてきた。

2日間ともいい天気だったのだが、まあ、明らかに寒かった(苦笑)。朝夕の気温は氷点下前後で、冷たい風がぴりぴりと頰を刺した。それでも地元の人たちは思いのほか薄着で、ちょっとびっくりした。ひよわな東京暮らしの僕とは、普段からの鍛えられ方が違うのかもしれない。

今回は、地元のうまい食事に首尾よくありつくことができた。初日の夜は戸隠そばの店で天ざるを食べて、2日目の昼はソースカツ丼。長野駅のすぐ近くに取った宿の朝ごはんもおいしかった。駅ビルのおみやげ屋の品揃えも充実していたし。

来年あたり、また依頼があったら取材に来るのも悪くないかもなー、とのん気に思っていたところ、この春のうちにまた取材で長野に行かされるかも、という情報が。まじっすか。さすがにそれは、しんどいなあ……(苦笑)。

まだ春じゃない

仕事に追われてあくせくしてるうちに、いつのまにか、ずいぶん暖かくなってきたような気がする。寝床に湯たんぽを仕込まなくても眠れるようになったし、台所で洗い物をする時にお湯を使わなくても平気になった。仕事机の下に置いているオイルヒーターも、つけている時間がだいぶ短くなった。

今日は渋谷にウォン・カーウァイの「欲望の翼」を観に行ったのだが、気の早いことにもう半袖で歩いている人も見かけた。映画を観た後にオープン・エアのビアバーで一杯ひっかけたりもしたが、このくらいの気温だと、外で飲むビールもずいぶんうまく感じる。

でも、まだ春じゃない。少なくとも僕にとっては。火曜日からの1泊2日の長野出張、予想最高気温は、1日目が5℃、2日目が7℃。普通に厳寒期装備が必要だ。まだ春じゃない。

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タラブックス インドのちいさな出版社、まっすぐに本をつくる」「詩集 小さなユリと」読了。どちらも、本をつくる仕事を選んだ自分の人生に、勇気を与えてくれる本だった。

本を読む時間

今年は、毎日少しずつでも本を読む時間を作るという目標を掲げていて、ラオス取材などで飛び飛びになりつつもまだ続けている。それであらためて思うのは、本の価値というのは、人がそれを読んでいる時間そのものにあるのだなあ、ということ。

たとえば、これからテクノロジーが妙な方向に発展して、人間の頭に端子をくっつけてデータを送信すれば、どんな分厚い本の内容も一瞬で理解できるようになったとする。プルーストの「失われた時を求めて」だろうが、トルストイの「戦争と平和」だろうが、一瞬に。そうなったとしたら……ものすごくつまらないだろうな、と思う。一枚ずつページをめくり、行と行の間を行きつ戻りつしながら、一文々々、味わっていく。その時間こそが、本ならではの価値なのだから。

さて。今夜もずいぶん遅い時間だけど、ちょっとだけでも、ページをめくることにしよう。

忙殺の季節

新しい本の編集作業はほぼ終わったけれど、それと入れ替わるようにして、大学案件の繁忙期が始まりつつある。

二月も取材がちょこちょこ入ってはいたのだが、三月は、来週の一泊二日の長野出張(汗)を皮切りに、再来週は栃木へ日帰り。都内での取材もみっしり入ってきそうだ。毎年恒例のこととはいえ、しんどい季節である。

今年は本の発売に合わせて複数のイベントや展示が立て続けにあるし(まあそれは自分で決めたことだけど)、Web連載の記事の書き溜め作業もあるし、ラオス取材の成果もまとめなければならない。去年よりは確実に、体力的に厳しくなりそう。何とか乗り切らなければ……。

……とりあえず、来週、長野に行ったら、何かうまいもの食べて、憂さ晴らししてこよう(笑)。

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イザベラ・バードの「日本奥地紀行」読了。初めのうちは「ずいぶんあけすけな物言いのおばさんだなあ」みたいな印象だったのだが、読み進めるうちにだんだん面白くなってきて、特に北海道に上陸してアイヌの村を訪れた時の描写にはぐいぐい引き込まれた。今から140年前に日本でこういう旅をした外国人女性がいたというのは、すごいことだと思う。同時に、ほんの140年前まで、日本はこんなありさまだったのか……と、理屈ではわかっていても結構衝撃的だった。おすすめの一冊。