Category: Diary

カフェマメヒコ宇田川町店

午後、渋谷へ。モンベルまで旅先に着て行く少し厚手のロンTを探しに行ったのだが、一番の目的は、マメヒコの宇田川町店に行くこと。7月2日で、閉店してしまうのだという。以前、週末に行こうとしたら長蛇の列ができてて入れなかったので、そのリベンジに。

さすがに平日の午後は空いていて、ゆったり座れた。中央の大きなテーブルの一番端の席に座り、アイスコーヒーとフルーツサンドのハーフサイズ。どちらも王道のうまさ。本を1時間ほど読む。

宇田川町にこの店ができたのは11年前だというから、僕が時々立ち寄りはじめたのは、その数年後からだと思う。その後できた公園通り店と併せて、渋谷がアウェイな僕にとっては本当に数少ない、ほっと落ち着ける店だった。半地下の薄暗い店内、大きなテーブルとランプの明かり、丁寧で感じのいい店員さんたち。

そこに行けばいつも必ずあるはずだ、と思い込んでいた場所が、なくなる。近場に移転するという噂も聞いたけれど、あの場所は、なくなってしまうのだなあ。

あともう一、二回行って、今度はカツサンドを食べておかねば。

それは当たり前ではなく

先週末、母が上京してきた。新宿のホテルに宿を取ったというので、実家のある岡山にはなかなかないというタイ料理店で、一緒に晩飯を食べた。

タイ料理店から喫茶店に場所を移そうということになり、街を歩いていると、「紀伊國屋書店を見てみたい」と言われた。地下一階の旅行書コーナーでは、三月末に出たばかりの僕の本が10冊ほど面陳して置かれていた。

「こんな風に置かれてるの、見たことなかったわ」と母が言った。まあ東京だから……と言いかけて、それは当たり前のことではない、と思い直した。本がこの世に生み出されて、書店の店頭に並べられ、お客さんが手に取って、レジに持っていく。それが、どれだけ大変なことか。どれだけ多くの人の力を借りなければならないか。

本を作り、読者に届ける。この仕事の重さを、あらためて感じた。

ライザップとリバウンド

仕事の取引先の担当者さんの一人が、今年に入って、急にやせた。別の担当の人からのまた聞きによると、一念発起してライザップに申し込み、20キロかそこら減量したのだそうだ。

さすがに20キロともなると、見た目にも明らかに体型が変わっていて、取材先では、以前よりハキハキと快活にふるまっていた。合コンなどにも、自分から進んで参加するようになったとか。自分に自信が持てるようになったのは、いいことだなあと思う。

「しかし、それだけ一気に減らすと、リバウンドが怖いですよねー」と、また聞きさせてもらった別の担当者さんに言うと、「いや、逆に、ライザップに何十万円も突っ込んじゃったから、リバウンドしたらその金が水の泡になっちゃうって、ものすごく気をつけてるそうですよ」と教えてくれた。

そうか。ライザップには、「リバウンドしたら突っ込んだ金が水の泡」という、精神的なブレーキがかかる利点があるのか。なるほどなあ。

でも、そこまでの状況で突っ張れる鋼の意志の力があるなら、最初から体重計を1つだけ買って、毎日体重を測りつつ、家で地味にエクササイズをして、食事をちょっと気をつけさえすれば、びた一文かからず減量できるのに、とも思う。それがわかってても、できないのが、人間なのかな。

ゴールデンキウイ

去年くらいからだと思うが、家でキウイフルーツを割とよく食べるようになった。年がら年中というわけではなく、ちゃんと熟したものが出回っていると思われる、春から秋にかけての時期だけど。

キウイフルーツは、果肉が緑色のグリーンキウイと、やや黄色がかっているゴールデンキウイの2種類にだいたい分かれている。昔から馴染みのあるのはグリーンの方だが、最近個人的に気に入っているのは、ゴールデンの方だ。果肉がより柔らかくて、甘みが強い気がする。含まれている栄養価も、ゴールデンキウイの方がやや高めらしい。その分値段も高めだけど。

比較的まめに自炊をしてるとはいえ、おっさんの一人暮らしだとどうしても栄養バランスが偏りがちなので、キウイフルーツとかを食べるのを習慣づけた方が、ビタミンやら食物繊維やらポリフェノールやらを手っ取り早く摂取できる。おかげで最近、体はだいぶ調子がいい。

ちなみにキウイフルーツについてネットで調べてみると、もともとは中国原産のマタタビの一種だそうで、百年ほど前にニュージーランドで品種改良されて栽培されるようになった果物なのだそうだ。まさかのマタタビの仲間。ある意味ものすごくどうでもいいトリビアを取得してしまった。

青山ブックセンター六本木店

青山ブックセンター六本木店が、6月下旬に閉店になるというニュースが流れてきた。

田舎の高校を卒業して上京してきたばかりの頃、六本木の青山ブックセンターは、僕にとって憧れの書店だった。デザインやアートや写真の本がずらりと並び、他では見たこともない雑誌や洋書にも、あの店でなら出会える気がしていた。六本木という街自体、僕には敷居が高すぎて、なかなか足が向かなかったが、逆に、何か用事があって六本木の近くに来た時は、必ずと言っていいほど立ち寄る書店でもあった。

大学を卒業した後、僕はじたばた苦しみもがきながら、少しずつ少しずつ、記事を書いたり、雑誌や本の編集に携わったり、自分自身で本を書いたりするようになった。その成果物である雑誌や本が、六本木の青山ブックセンターに並べられているのを見かけると、こんなことがあるのだなあと、不思議な、ふわふわした気分になった。

そんな憧れの書店だった場所が、38年の歴史に幕を閉じる。十数年前にも親会社の破産などで一時閉店になったりした時期があったから、寝耳に水というほどの驚きはない。ただ、本が本として大切にされていた場所が、また一つ減ってしまうのだなあと、寂しい気持にはなる。

僕は、本に対して、何ができるのだろう。