Category: Diary

面白い人

今年の夏から同居を始めた相方について、「どんな人なんですか?」と周囲からよく訊かれる。

ひとことで言うと、「面白い人」である。

これまでもずいぶん長く付き合ってきたから、彼女の良い部分もそうでない部分もそれなりに知っていたつもりだったけど、一緒に暮らしはじめて、「こんなに面白い人だったのか……!」と、毎日のように新たな発見があって、驚かされている。

相方がいかに面白い人か、日々のエピソードをブログに書き綴っていったら、たぶんかなり話題になると思うのだが、そんなエピソードをWebに晒したらただではすまないので(笑)、自重している。

いや、しかし、ほんと、面白い人である。僕は出会いに恵まれているなあと思う。

「なろう系」のテンプレに思う

少し前に、「なろう系」という言葉を初めて知った。なんじゃらほい、と思って調べたら、「小説家になろう」という小説投稿サイトに投稿されがちな系統の小説を指す言葉なのだとか。たぶん、この言葉が使われる時には、その作品を揶揄するような意味合いが込められることが多いのだろう。

Web上で見つけた情報によると、「なろう系」と呼ばれる作品の多くは、こんな感じのテンプレに沿って書かれているのだという(以下一部引用)。

・主人公が何らかの理由で異世界へ転生・転移する。
・序盤で主人公がチートと呼ばれるほどの力を得る。努力を必要としないことが多い。
・ありふれた知識・能力でも異世界では英雄に等しい活躍ができる。
・行く先々でヒロインを助けてモテてハーレム作り。
・とにかく作品名が長く、作品名だけで内容がわかってしまうことが多い。

僕自身は、こうしたテンプレに沿って書かれた「なろう系」作品を読んだ経験がないので、それが面白いかそうでないかを言える立場にはないし、言うつもりもない。ただ、このテンプレを見てふと思ったのは、これは全部、書き手とそれを支持する読者の、露骨な願望の表れなのだろうなあ、ということ。自分が今生きている嫌な現実から逃れたい。他人を圧倒できる能力を手っ取り早く身に付けたい。それで周りの人たちから賞賛され、モテたい。

もし仮に、自分がそういう人生を実際に生きることができると言われたら……逆に退屈だろうなあ。人生は、ずっこけまくりの挫折しまくりで、どんなにカッコ悪くても、なりふり構わず這い上がって掴み取る方が、ずっと面白いと思う。

夜更かしとクリエイティブ

毎朝7時台に起きて、午前中からチャキチャキと仕事を進め、夜は12時前後に寝てしまうというリズムに、すっかり慣れてきた。以前は10時か11時に起きて、夜中の2時3時に寝るという生活だったが、人間、やればできるものだ。

まあ、それよりもだいぶ昔、三十代になるかならないかの頃から、仕事とかで徹夜をすることは、まったくしていない。当時、かなりムチャクチャな生活をしていて体調を崩してしまったのがその理由だが、徹夜しなければ納品できないような進行スケジュールはそもそも最初から組まないようにする、と決めてしまったら、睡眠時間は割とすんなり確保できるものだとわかった。

クリエイティブ系の仕事をしてる人や、あるいは作家やアーティストの方の中には、夜更かししたり昼夜逆転してたりする方が調子が出てはかどる、と考えている人も多いと思う。その時点でのその人の創作活動には当てはまっているのかもしれないが、昼夜逆転の生活のペースを何年、何十年も続けるのは、まず無理だ。絶対に、身体がもたない。歳を重ねれば重ねるほど、あっちこっちにガタがくる。

海外の著名な作家にも、毎日規則正しい生活リズムを保ちながら、長い期間をかけて淡々と書き進めていくタイプの人は多い。僕もええ歳こいたおっさんなので、まずは健康第一で、今の生活のペースをキープするようにしようと思う。

本を読み返す

J.D.サリンジャー、村上春樹訳「フラニーとズーイ」読了。この間の「ナイン・ストーリーズ」同様、野崎孝訳の「フラニーとゾーイー」を読んだのはおっそろしく昔のことだったのだが(今奥付を見たら、昭和63年の28刷だった)、物語の最後にふわあっとこみ上げてきた何とも言えない感情が、当時感じたのとまったく同じだったので、自分でもちょっとびっくりした。

人は人生の中でたくさんの本を読む(まあ、そんなに読まない人もいるだろう)けれど、何度も手に取られ、読み返される本は、たぶんそんなに多くはない。何度も読み返したくなる本には、人の心を惹きつける何かが宿っているのだろうし、何度読み返しても飽きられない耐久力を持っているのだと思う。何十年ぶりに読み返しても、同じ感情を甦らせるような、底力を。

願わくば、そんな本を自分も作れたら、と思う。

リズムに馴染む

終日、部屋で仕事。午前中は仕事関係のメール連絡と、短めの原稿の編集作業。おひるは冷凍してあったスープを温めて簡単にすませ、スーパーで食材の買い出し。家に帰ると、タイ関係の初校がレターパックで届いていたので、テーブルに広げて校正作業。一段落したところで、夕飯の支度。根菜と豚バラの煮っころがしを仕込む。

こういう生活のリズムに、最近、かなり馴染めてきたように思う。引っ越す前はどうなるかと思ってた朝型生活へのシフトもすんなりできたし、仕事に集中する時間帯と、家のことを片付ける時間帯とをうまく切り分けられるようになってきた。今のところ、どこにも無理は生じてないし、心地よいとすら思えるほど。

でもまあ、そのうち、そういうリズムを、変えたくなくても変えざるを得ない時期が来る。それが今の自分の仕事の宿命。今度は割と長いんだよなあ。来年早々に、二カ月くらい……。ほんと、我ながら、やれやれ、である。