Category: Diary

オーバーヒート

今週、水曜の朝くらいから、ちょっと調子がおかしくなった。

半年に一度くらい、たまになる症状なのだが、眼精疲労が限度を超えて、前頭葉がどろりと重く痺れたような感じになり、まったく作業に集中できなくなってしまった。原因は、仕事で根を詰めすぎて過集中の状態が続いて、それを回復させるのに見合う睡眠時間が十分取れていなかったからだと思う。

この状態になってしまうと、本の原稿のリライト作業などは全然無理なので、あきらめて、ベッドに横になってひたすら寝ることにした。眠れない時間でも、目を閉じて横になって、とにかく目と脳を休める。それだけでも、回復度合はずいぶんと違う。

どっぷり眠り続けたおかげで、木曜はだいぶ持ち直し、日中は理髪店まで歩いて出かけられるくらいにまでなった。今日はもう、すっかり回復。目も脳もしゃっきりリフレッシュしていて、原稿のリライトもすいすいはかどった。

若い頃は、こんな風に目と脳がオーバーヒートするまでの限界値も、もっとずっと高くて、無理して粘れていたような気もする。まあでも、それできっちり結果を出せていたかと言うと、それほどでもない気もする(苦笑)。なので、おっさんとして身の程をわきまえつつ、これからも休み休みやっていこうと思う。

東京五輪

2020年の東京五輪には、もともと、まったく興味がなかった。各国の代表選手や関係者の方々には悪いけれど。

僕の自宅にテレビはないし、観戦チケットに応募するという発想も1ミリもなかったし、開催期間中は東京を離れて、ラダックかどこかに滞在するつもりでいた。昨年来のコロナ禍で、東京五輪も、僕の海外渡航も、延期になってしまったわけだが。

僕の海外取材の仕事が復活するのは、どんなに早くても今年の暮れ以降になると予測しているのだが、東京五輪の主要関係者はまだ、今年の夏に予定通り大会を開催すると息巻いているという。東京はいまだに緊急事態宣言の真っ只中で、入院したくてもできない罹患者が何千人もいて、医療従事者も一般市民も疲弊し切っているというのに。

この状況下で、おそらく全部で数万人以上になる世界各国の代表選手団やその関係者を国内に招き入れ、コロナ対策を講じながら大会を開催するのは、どう考えても無理だ。そのために必要な医療従事者の人員を確保できるわけがない。各地の病院は慢性的に人手不足だし、大会と同じ時期には、全国各地でワクチン接種も実施されているはずだし。

そもそも、裏金と賄賂で誘致してきた五輪だった。新国立競技場はコンペの段階からグダグダだったし、大会エンブレムのデザインはパクリだったし、もっともコンパクトな大会になると謳われていた予算は、3兆円にまで膨れ上がった。そして昨年のコロナ禍で、何の根拠もないまま、とりあえずの1年延期。今、世論調査で国民の8割が中止か延期を望んでいる中、日本政府も東京都もIOCも、中止の言い出しっぺになって責任を負いたくないので、だんまりを決め込んでいる。

今は、世界中の人々が、とにかくコロナ禍を生き延びて、自分たちの生活を守り抜くために、ただただ必死にもがいているのだ。各国の代表選手や関係者の方々には悪いけれど、東京五輪は、今のこの状況でやるべきことでは、まったくないと思う。それよりもずっと大切な、社会を挙げて取り組まなければならないことが、たくさんあるはずだ。

推すか敲くか

今年出す予定の新しい本。草稿は三週間ほど前に書き終わり、今は推敲とリライトの作業に入っている。

スケジュールが許すなら、原稿の手直しには時間を使えるだけ使いたいのだが、もちろんそういうわけにはいかない。今回の本の場合、二月末までには原稿を仕上げて、編集者さんとデザイナーさんの手に委ねなければならない。あと一カ月。ほかの仕事もこまごまと入ってきているし、時間の猶予はもうあまりない。

そもそも今回の原稿、はたして面白いのかどうか、それすら確信が持てなくてぐらぐらしてるのだが、どうなんだろう。この自信の持てなさかげんは、最初の単著の本を書いた時から、まったく進歩していない(苦笑)。まあ、一生こんな感じなのだろうな。

というわけで、もうしばらく、推すか敲くかで悩む日々が続きそうである。

焼肉の夢

何人かで連れ立って、焼肉を食べに行く、夢を見た。

どんな人たちとだったかはよく憶えていないが、初対面の人も混じっていたように思う。どんな焼肉を食べたのかもよく憶えていないが、会計の時に財布を開いたら、札が一枚も入ってなくて、カードも全部期限切れで、それでもまったく焦らず、しょうがないなあ、と笑ったことは憶えている。何がなんだかよくわからないが、楽しい夢だった。

考えてみると、いわゆる飲み会というものに、かれこれ一年以上、参加していない。原因はもちろんコロナ禍なのだが、去年の今頃は、まさかここまでトンデモな展開になるとは、想像もしていなかった。これからも、あと半年か一年は、ご無沙汰な状態が続くだろう。

それでも僕の場合、二人暮らしなので、まだ全然恵まれている方だとは思う。家で毎晩ごはんを食べながらいろんな話もできるし、適当なアテを作って二人で家飲みもできるし、用心深い対策をしてくれている近所の仲良しのお店で二人飲みもできる。おかげで、このご時世でも、普段からうまくストレスを解消して、メンタルを平静に保てている。誰かと一緒におしゃべりしながら食事をするというのは、思っていた以上に心を軽くするものなのだな、と思う。

一人暮らしだったりして飲み会に行くに行けない人は、ストレスの発散に苦労しているに違いない。大学生が年越しパーティーで集団感染とかいう話を聞くと、やれやれと思うと同時に、気持ちもわからんでもないとも思う。飲食店の方も、緊急事態宣言の影響で経営が本当に大変だと聞いている。このいまいましい状況が、早く過ぎ去ってくれるのを願うしかない。

お人好しからの卒業

いつのまにか年が明けて、2021年。今年の抱負を何か一つ挙げるとしたら……「お人好しからの卒業」といったところだろうか。

人から仕事的な頼みごとをされたら、その内容をきちんと吟味し、必要な労力に対して健全なスケジュールで正当な対価が得られるかを確認する。相手が知り合いだからだとか、何か大義名分があるからとか、そういう理由で「まあ、やってあげよう」とお人好しに引き受けないようにする。途中でヤバイと気付いたら、迷わずその話から降りるようにする。

裏を返せば、ここ数年、そういう感じで何度も嫌な思いをさせられてきた、という事実がある。いいかげん学習しろよ自分、と我ながら呆れるくらい。

仕事的なものごとに対して、もっとドライになろう。本当に信頼できる人たちとだけ、正当な対価をやりとりできる仕事をしよう。自分でやりたい仕事は、自分で企画を立てて、自分の手で実行しよう。

そんなところかな。今年は、去年よりはましな一年になりますように。